温泉の成分表を見ると、低張性アルカリ性高温泉とか、高張性中性高温泉といった記載があることを皆さんもご存じでしょう。温泉水1kgに10g(10g/kg)以上の温泉成分が含まれる温泉を高張性温泉、8g以上10g未満が等張性と表示されます。ざっくり言うと、高張性は成分量が多い温泉で、つまり濃い温泉と言えます。でも日本の温泉の成分表を見ると、圧倒的に低張性が多く、高張性や等張性の温泉にはなかなか巡り合いません。
こちらの記事では濃い温泉や、濃い温泉に入れる温泉宿をリストアップしています。今後新たに発見したら追加します。
★がついている宿は、私が実際に宿泊していて、高張性あるいは低張性であることを宿内に掲載の温泉成分表で確認している宿です。
※濃い温泉が良い温泉、ということは全くありません。
北海道
函館市 湯の川温泉 (等張性)
函館の湯の川温泉は宿の数も多く、循環併用の宿もありますが、せっかくの濃い温泉なら放流式の源泉かけ流し温泉の宿に泊まりたい、というのが人情。ということで、探してみました。
こちらのサイトに湯の川温泉の旅館情報などが乗っています。各宿の温泉の使用状況が放流式なのか、循環併用なのかが明記されているのがとても良いです。
湯の川温泉の源泉は22本で、湧出量は、毎分4,861リットル以上の湯量があるそうです。
上記のサイトから放流式の宿をピックアップしました。浸透圧の情報は各宿に掲載がないので、放流式でも低張性の温泉の場合もあるかもしれません。
KKRホテルズ&リゾーツはこだて(等張性中性高温泉)
公共の宿なので、お値段もリーズナブルなのが嬉しい。
ホテル 笑 函館屋
こちらは26室と小規模な宿。お風呂は放流式の源泉かけ流しのようですが、1人の場合はワーケーションルーム限定のプランのみ表示され、夕食・朝食はお弁当となっている。1泊2食で15,000円くらい。外食しても良いのかも。
ホテルかもめ館
素泊まり利用が基本のようですが、2食付きプランもあり。豪華な温泉宿の夕食ではないけど、温泉主体ならリーズナブルで良いかも。2食付きでも1万円しない。
竹葉 新葉亭
泉質は含二酸化炭素ナトリウム塩化物泉で源泉かけ流しと公式サイトに表示がありますが、浸透圧についての表示はありませんでした。ネットに宿泊記を上げている方のブログを拝見すると、源泉が熱いため、加水しているという情報がありました。一人でも泊まれるプラン・日にちはある。2食付きで35,000円くらい。
いわない温泉 おかえりなさい (高張性中性高温泉)
公共交通機関の場合は、小樽から路線バスで岩内バスターミナルまで1時間半くらいの岩内町にある温泉宿。
長万部温泉 (高張性弱アルカリ高温泉)
JRの長万部駅周辺に7軒ほどの宿があります。駅から徒歩圏内なのはありがたいです。
たとえば丸金旅館とか。部屋の定員には1~4名などと表示があるけど、実際に予約サイトで1人で検索すると、該当するプランがないと出てしまう。電話予約なら良いのかしら。
ホテルという名前の宿もありましたが、こちらも1人だと平日でも空室無し。
青森県
★黄金崎不老ふ死温泉(高張性中性高温泉)
海辺の露天風呂は波しぶきがかかりそうな位置にあり、ポスターなどでも見かけます。日没時に海に沈む夕日を眺めながら温泉に入りたい方が多く、その時間帯はかなり混雑していました。泉質は含鉄-ナトリウム-塩化物強塩泉。
★日景温泉
青森と秋田の県境の矢立峠にある温泉です。山間の一軒宿で周囲には何もありませんが、青白いにごり湯を楽しめます。一人でも泊まれて、最寄りの駅から送迎してもらえます。
温泉分析表に高張性の記載はありませんが、「溶存物質(ガス性のものを除く)」は18.95g/kgとありました。
秋田県
★強首温泉 樅峰閣
褐色の温泉の泉質は以前の表示だとよう素泉というそうです。大きな赤い屋根の昔ながらの建物も趣があります。成分表の泉質欄に、高張性という表示はなかったのですが、溶存物質量は22g/kgと表示がありました。とても塩辛いというか、苦いくらいの温泉でした。事前に予約しておくと、最寄り駅や秋田空港へ送迎してもらえます。
岩手県
新安比温泉 静流閣
1人でも泊まれるプランが表示される。2食付きで16,000円くらい。
栃木県
井頭温泉 ホテル井頭温泉チャットパレス(弱アルカリ性、高張性高温泉)
太古の海水が地層に閉じ込められ、地熱によって温められ温泉となった「化石水型温泉」とのこと。
日にちは限られるが、1人泊でも泊まれる。2食付きで14,000円くらい。最寄り駅は真岡駅で、駅からはタクシーで10分程度とのこと。
新潟県
★越後長野温泉 嵐渓荘(高張性 中性 冷鉱泉)
木造3階建ての建物が残るレトロな宿。冷鉱泉なので加温していますが、メチャ塩辛い温泉です。冬に1人で宿泊し、部屋からもお風呂からも雪景色を楽しめました。宿泊者は燕三条駅から無料送迎してもらえます。
★松之山温泉 凌雲閣(高張性中性高温泉)
松之山温泉は日本三大薬湯の一つで、とても塩分が濃い温泉で温まります。建物は木造3階建て。各部屋ごとにお部屋の設えが異なり、館内のあちこちに大工さんの工夫が感じられます。
富山県
氷見温泉郷
宿リストはこちら。一人旅の受け入れ可否がわかって便利。低張性温泉なのか高張性温泉なのかまでは表示がないので、各宿の公式サイトで高張性・等張性の表示がある宿をリストアップしています。
ひみ栄和温泉元湯 叶 (高張性弱アルカリ性高温泉)
客室数7室。 自家源泉の源泉かけ流し。1人泊だとプランが出てこないので、1人旅は受け付けていないのかもしれない。2人泊で2食付き、1人18,000円くらい。口コミ評価も高い。送迎の案内は記載がないのでタクシー利用かな?駅から歩いて1時間くらいの距離。
うみあかり
高張性と等張性の2本に自家源泉を使用。1人でも泊まれるプランがある。氷見駅から送迎バスあり。
なだうら温泉 元湯 磯波風
等張性の温泉。1名だとプランが出てこないので1人泊ができないかも。
長野県
松代温泉 黄金の湯 松代荘 (高張性中性高温泉)
鉄分が豊富で茶っ褐色のお湯がいかにも濃い温泉という感じがします。毎分740リットルのお湯が湧き、加熱せず、加水せず、循環ろ過せずで提供されている。シングルルームがあり、1人でも泊まれる。2食付きで13,000円くらい。
静岡県
川根温泉 川根温泉ホテル(高張性弱アルカリ性高温泉)
SLが走ることで有名な大井川鉄道が経営している温泉宿です。静岡県に住む私としては、こんな近くに高張性の温泉があったとは、という感じです。露天風呂は炭酸泉だそうで、是非行ってみたいです。
和歌山県
白浜温泉
白浜温泉は日本三古湯(白浜、有馬、道後)の一つです。温泉協会のサイトは、高張性で検索ができるのが素晴らしい。各宿の泉質に浸透圧の表示があり、源泉かけ流しなのか、循環併用なのかまで掲載されていて、宿選びに良いです。
★紀伊勝浦温泉(等張性弱アルカリ性高温泉)
紀伊勝浦温泉の温泉がすべて濃い温泉というわけではないのですが、勝浦湾に浮かぶ中の島まるまる一島ホテルの「熊野別邸 中の島」の温泉は、等張性の温泉でした。
兵庫県
★有馬温泉 花小宿(高張性中性高温泉)
全9室のこじんまりした大人の宿。濃い温泉を常に貸し切りで楽しめるのも嬉しい、上質な宿。
島根県
★ひのみさき温泉 界出雲(高張性中性低温泉)
出雲大社の近く、日御碕灯台の隣にある宿で、星野グループの温泉宿ブランドの宿です。掲示されている成分表には、高張性中性低温泉の表示がありました。塩分が濃い温泉です。加温、循環、消毒はしているとの表示がありました。
高知県
土佐龍温泉三陽荘 (高張性中性高温泉)
泉質は「ナトリウム・カルシウムー塩化物温泉」とのことなので、温まりそうです。公式サイトによれば、高知県内唯一の高濃度&高温度温泉とのこと。海沿いの宿で景色も良さそうです。客室数は56室。高知駅からの無料送迎あり。土曜日でも1人で泊まれるプランがあり、次回高知に行ったら泊まってみたい。
徳島県
ホテルサンルート徳島 (高張性中性冷鉱泉)
徳島駅前という街中のホテルですが、大浴場は温泉。毎分280リットルという湧出量があるそうです。冷鉱泉なので加温ありと思いますが、利用状況の記載がないので、完全放流式の源泉かけ流しかどうかは不明。でも源泉しか使っていないという表示です。
愛媛県
石鎚京屋観光旅館 京屋 (高張性中性冷鉱泉)
宿のサイトに泉質の表示はないですが、「いよ観ねっと」内の宿の紹介ページに高張性中性冷鉱泉の表示があります。なかなか珍しい白濁の炭酸泉とのこと。石鎚山ロープウェイの乗り場の近く。
長崎県
★壱岐 壱岐リトリート海里村上
長崎県の離島の一つ壱岐にある高級リゾートホテルで、各部屋に源泉かけ流しの露天風呂が用意されている。部屋の窓からの眺めは絶景で、お料理もメチャ美味しい。
鹿児島県
★指宿温泉 休暇村指宿(高張性中性高温泉)
公共の宿の一つ、休暇村は一人でも泊まれるのがありがたいです。貸切風呂付のプランを利用して、のんびり湯あみを楽しみました。塩分がとても濃く、湯冷めしにくいお湯です。
さいごに
冒頭にも書きましたが、濃い温泉が良い温泉ではありません。でも濃い温泉があると聞いたら入ってみたくなりますよ。濃い温泉は成分が体に入りやすく、湯あたりしやすいということなので、楽しむ時には気を付けて入りたいと思います。
他にも濃い温泉あると思いますので、見つけたら追記して行こうと思います。
2024年1月8日: 初回投稿
2024年1月21日: 紀伊勝浦温泉を追加