2024年3月に出かけたエジプト10日間の旅では、3泊4日のナイル川クルーズが組み込まれていました。このクルーズ船はアスワンとルクソールの間を航行していて、クルーズ船に乗りながらこの区間にある遺跡を訪ねます。こちらの記事では乗船後3日目に訪れたルクソールの遺跡訪問をまとめています。ルクソールは私にとっては007聖地巡礼でもあります。
ルクソール観光
クルーズ船が早朝、ルクソールに到着しました。ナイル川中流に位置するルクソールは、かつてはテーベと呼ばれ、古代エジプト王朝の首都として栄えていた町です。なんとなく街の感じがこれまで立ち寄ってきた街にくらべ、都会な印象がありました。
ナイル川の西側は太陽が沈む方向なので死者の街、東側は太陽が昇る生者の街とされています。私達のツアーはまずは死者の街である西岸から観光しました。
王家の谷
船内で朝食を食べた後、午前中はナイル川西岸の王家の谷を観光します。当初はクルーズ船を下りた後、バスに乗って王家の谷に向かう予定でしたが、ナイル川を渡る橋まで距離があり、時間がかかるということで、急遽渡し船を利用することになりました。これもクルーズ船が渡し船乗り場に近い所に接岸したので、現地ガイドさんが機転を利かせて行程を変更してくれました。
ナイル川を渡し船で渡ったところにバスが待機していてくれ、バスに乗り込み王家の谷に向かいました。
まずはビジターセンターがあります。中には王家の谷の模型がありました。白い部分が岩山でその中にたくさんの王墓があります。
さっそく谷に向かうことにします。谷までは少し距離があるので電動カートで送ってもらいました。
今まで巡ってきた遺跡より圧倒的に人が多い。
ツタンカーメンのお墓
まずはツタンカーメンの王墓へ。ほとんどの墓が盗掘にあいましたが、ツタンカーメンの墓は3000年以上の月日を経ても盗掘を免れていました。ハワード・カーター氏が王家の谷の発掘をしていた時、現地の少年がこぼした水が一か所に吸い込まれていったことから、そこに墓があることに気づいたのだそうです。
棺を開けて、中に入っていた黄金のマスクを見た時は一体どんな気持ちだったのか。想像するだけで感動して震えました。本当に世紀の大発見と思います。
では入場します。
中にはミイラが。これ本物なのかしら。
ツタンカーメンが神様に挨拶している様子などが描かれた壁。
お墓の規模としては小さいものでした。これはツタンカーメン自身が若くして世を去ったため、小規模な墓になったのでは、とのこと。
内部の保存状態が良いセティ1世のお墓
参加したツアーでは、当初はネフェルタリ王妃の墓を見学する予定でした。内部の装飾がとてもよく保存されていることで有名なお墓なのですが、直前になって修復のために入場できないことになり、急遽セティ1世のお墓に入ることとなりました。
中はツタンカーメンのお墓よりずっと奥行きがあり、広いです。保存状態が良いといわれるだけあって、壁画も素晴らしい。他の遺跡では神様の顔や王の顔がキリスト教徒などによりつぶされているものが多かったですが、こちらの壁画は残っていました。
天井の装飾もよく残っています。
こちらの壁も素晴らしい。
ハトシェプスト女王葬祭殿
王家の谷の観光を終えた後、バスに戻りハトシェプスト女王葬祭殿に向かいました。バスに乗っている時間は10分弱です。
ゲートを入ると遠くに葬祭殿が見えました。距離があるのでここでも電動カートで近くまで送ってもらいます。
この場所では1997年にテロ事件があり、日本人観光客も犠牲になりました。今回のツアーはちょうどラマダンの時期に当たっていて、ラマダンの時期やその前後はテロが多いので注意せよ、という外務省からの通知もあり、ちょっと緊張しながら訪問しました。
階段を1段あがった第二テラスです。
右端にあるアヌビス神の礼拝所に行ってみました。ここには彩色壁画が残っています。アヌビス神は犬の姿をした死者の神で、ミイラ作りと関係の深い神です。
もう一つ上の階に行くと、ハトシェプスト女王の顔をしたオシリス神の像が並んでいます。
像が並んだ場所から門をくぐって第三テラスへ。
第三テラスの奥には至聖所があります。こちらも壁画が残っていました。
至聖所の奥には柵があって門番さんがいます。その門番さんに誘われて柵の奥の写真をカメラに収めた女性は、門番さんからチップを要求されていました。
第二テラスに戻り、左手にあるハトホル女神の礼拝所に行きました。遺跡ではたくさんのレリーフを見ますが、人物の顔のたとえば頬の膨らみとかがとても美しく作られていて、古代エジプト人の細かな技術にも本当に驚きです。
ハトシェプスト女王葬祭殿の見学は途中から各自自由見学となり、最後はカート乗り場横のカフェに集合でした。暑い中、日陰がほとんどない葬祭殿を散策した後だったので、こちらのカフェで飲んだフルーツジュースが美味しかったです。
ルクソール神殿
王家の谷の見学の後、一度クルーズ船に戻りランチを食べてしばし休息。夕方からナイル川東側にたつルクソール神殿に出かけました。
ルクソール神殿の塔門の前にはラムセス2世の像と天を衝くオベリスクが1本。オベリスクはもともとは2本あって対で立っていたのに。なくなったもう1本は、今はパリのコンコルド広場に立っています。
オベリスクがパリのコンコルド広場に立っているのは、エジプトからフランスへの贈り物として贈られたからなのですが、その返礼としてフランはからは時計塔が届きました。その時計はエジプト到着初日に観光したムハンマド・アリ・モスクにありました。たった35分しか動かなかった時計なんだとか。こちらで紹介しています。
第一塔門から入ると、ラムセス2世の中庭があります。
神殿内にはもう一つ、アメンホテプ3世の中庭という場所もあります。
2つの中庭をつなぐ通路には高さ17mほどの大きな柱が立ち並んでいて壮観です。
ルクソール神殿は3キロほど離れた場所にあるカルナック神殿の副神殿という位置付けのようですが、とても副とは思えない大きくて立派な神殿でした。そのカルナック神殿とはスフィンクス参道で結ばれています。
カルナック神殿
ここまで紹介してきたルクソール神殿を観光した後、私たちはクルーズ船に戻り夕食。そのままクルーズ船に泊まって、翌朝船をチェックアウトした後にカルナック神殿を訪れました。カルナック神殿は007のロケが行われた場所なので、007ファンの私としては聖地巡礼も兼ねての観光です。
スフィンクス参道の奥に大きな第一塔門があります。
スフィンクスのお顔は羊さんのようです。
塔門の裏側にはこんな支柱と言うか足場が残されていました。
こちらは現在の修復のための足場ですね。
第二塔門の前にはラムセス2世の像が立っていました。左足を前に出しているポーズは生きている時のポーズです。
第二塔門を入ると、007の舞台にもなった大列柱室です。本当に大きな柱がいくつも並んでいる様子に圧倒されます。
007が立った柱はどの柱なのかはわかりませんでしたが、勝手に感動していた私です。ここで撮影されたのは、「私を愛したスパイ」という作品です。
色が残っている部分もありました。
007の映画の中で、ボンドはタキシード、ボンドガールのアマソワ少佐はイブニングドレスと言う、砂漠色の遺跡とは最も対照的ないでたちだったのがとても印象に残っています。
カルナック神殿の大列柱室を抜けると天を衝くオベリスク。こちらのオベリスクはハトシェプスト女王のものとされています。
右手に進むと聖なる池。
池のほとりには観光客がグルグルと回っているポイントがあります。台の上にはスカラベ(ふんころがし)の石像があり、ここを反時計回りに7周すると願いがかなうとされているのです。
台の上のスカラベはこんな感じ。ナイルの氾濫のあと、まず初めに活動を始めるのがフンコロガシということで、繁栄や幸せの象徴という位置付けのようで、キーホルダーやマグネットなどのスカラベグッズをエジプトのあちこちで見かけました。
観光を終えてゲートを出ると、これから入場する人でセキュリティのところが大混雑。ちょっと時間が違うだけでこの混雑なんですね。おそらく定番のコースは、先にルクソール神殿に寄り、そのあとカルナック神殿に向かうということなのでしょう。私達は前日の夕方にルクソール神殿の観光は済ませてあったので、まだ空いている時間にカルナック神殿を訪問できて良かったです。こういう行程の組み方はとても重要と思いました。
まとめ
エジプトに到着してから、ここまでアブシンベル、アスワンと回ってきました。回路を除くと、ルクソールは都会的な感じのする街でした。かつてテーベと呼ばれて首都として栄えていたとのことです。
ルクソールではハトシェプスト女王葬祭殿のテロ事件があったり、今は日本のツアーはどこも採用していないと聞きましたが、早朝の気球ツアーで死亡事故があったりと、日本人旅行者が犠牲になる事件や事故もありました。ラマダンの時期の旅行だったので、少々びびっていたのですが、安全面で怖いことは全くありませんでした。
よくテレビや雑誌などで見てきた古代エジプトの遺跡を実際に訪れることができてものすごく感動しました。世界中から観光客が押し寄せるのも理解できます。私としても007の聖地巡礼ができて良かったです。
私の007聖地巡礼
007の聖地巡礼で今までに行ったところは、パリのエッフェル塔。これは「美しき獲物たち」で登場しました。この作品はデュラン・デュランのテーマ曲も良かったです。
「トゥモロー・ネバー・ダイ」に登場したドイツのハンブルグにあるケンピンスキーホテルも良いホテルでした。
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3日目からはナイル川クルーズ3泊4日でした。
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