JR東日本の地温泉のポスターを見たことはありますか?こんなやつです。35軒の個性とパワーあふれる温泉を楽しめる宿とその宿の湯守さんが載っています。
このポスターで野地温泉を知り、泊まってみたいと思っていたのです。できることなら雪見温泉にしたかったので、2024年1月の大人の休日倶楽部パスの旅で泊まってきました。硫黄のにおいがする白濁の温泉はさすが地・温泉という感じで素晴らしく、加えてスタッフの皆さんがてきぱきとお仕事をされていてとても気持ち良かったです。高級旅館と言うわけでもないし、泊まったお部屋は小さな6畳間でしたが、まったく過不足のない宿だと思いました。(硫黄のにおいは実は硫化水素のにおいですが、便宜的にこちらのブログでは硫黄のにおいとしています)
野地温泉ホテルの概要
- 福島県の磐梯朝日国立公園の中にある宿。標高1200mに立つ
- 福島駅から一日1往復無料送迎バスがある。バスの所要時間は50分くらい。
- 部屋数は61室
- お部屋でWifiは問題なく使える
- 金曜日の夜に1人で宿泊して、2食付きで18,000円くらい
公式サイト
福島駅から宿に向かう
野地温泉ホテルの最寄り駅は福島駅。東北新幹線が停まります。宿は福島駅からは20キロくらい離れているし、標高1200mの山の中ということで、公共交通機関利用の方は送迎バスを利用するのが一般的です。大型の観光バスタイプの車両で送迎してくれます。福島駅を13時半出発です(2024年1月時点)。事前に予約が必要です。
マイカー派の方も冬季は路面が凍結しているので、宿の専用駐車場に車を停めて、送迎バスを利用することをおススメします。
宿の前の道路はこんな状態ですので。冬道の装備がなかったり運転に不慣れな場合は、送迎バスが良いでしょう。
チェックイン
バスが宿についたら、玄関で靴を脱ぎ、フロントのチェックインの列に並びます。バスは前の方の席を確保し、バスから降りたらどんどん列に並ぶ方が早くお部屋に行けます。皆さん同じことを考えていますから、どっと人が玄関に押し寄せるのですが、宿のスタッフの手際が素晴らしく、靴を間違えないように番号札をお客さんに渡し、脱いだそばからどんどんと靴箱に入れていきます。そしてフロントスタッフもテキパキとチェックイン手続きを行い、並んでいる行列は確実に前に進んでいくのが気持ち良い。いや、お見事です。
今回宿泊したお部屋
野地温泉ホテルには本館と別館があります。別館の方が少しゆったりした造りのようですが、ひとり旅だったので一番お安い本館6畳のお部屋を選びました。建物のレイアウトはこんな感じで、左の建物が別館で、私のお部屋は右側の本館の3階のお部屋でした。予約の時に駐車場側(福島市街地が見える側)か山側かを選びます。本館の方がお風呂に近いです。
建物の端にあり角部屋で2方向に窓があります。
駐車場側のお部屋を選んだので、窓からは福島の市街地が見えました。東の方向を向いているのか、朝焼けも楽しめました。
窓側から撮影するとこんな感じ。奥の扉の中がトイレです。全室にトイレがついているのはとても嬉しいです。
もちろん洗面台もあります。手をふくタオルも用意されていて完璧。あるとないとでは大違いです。ペーパータオルを用意してくれている宿もありますが、洗えばまた使えるタオルの方が環境には優しく感じます。一人泊だとそんなに濡れないし。
テレビ台の横にはいろいろな備品がギュッとまとまっています。枕元灯があるのは大変ありがたいです。しかもこの枕元灯はちゃんと明るい電球と常夜灯のような小さい灯の電球の2玉式。小さなことですが、便利さは断然違います。
加湿器は象印の加熱タイプ。このタイプは水を沸騰させて加湿するので、電気代はかかりますが、衛生的です。我が家で使っているのもこのタイプ。お値段も結構するのに、この加湿器があるのは素晴らしい。加湿器を用意してある宿はありますが、フィルター清掃が必要なタイプのこともあり、フィルターが清潔に保たれているかどうかわからないので、部屋にあっても使わないことも多いんです。このタイプなら安心です。
テーブルの上にはテレビと照明のリモコン。お布団入ったまま天井の照明を消すことができ、枕元灯もあるって、もう完璧でしょう。
WifiはPWつきの無料Wifiがあり、館内どこでも快適に使用できました。
客室内にコンセントは2か所あります。1か所はテレビの裏にあるので、ちょっと使いづらい。もう1か所はお布団が入っている押し入れの前にあり、スマホなどの充電と枕元灯は押し入れの前のコンセントを使用しました。
空調は、エアコンがついていましたが冷房専用のようでした。冬の時期は全館暖房でお部屋には風量調整のつまみがありました。ゼロにするとだんだんと室温が下がるのがわかりますが、寒くていられないようなことはなく、トイレに行くにも廊下に出るにしても、ほわっと館内どこも暖かくて快適でした。
お部屋には小さな冷蔵庫がついています。中身は空です。
お湯は電気ポットで都度沸かします。お茶セットの中は緑茶のみなので、コーヒーカップはありません。私はコーヒーカップとドリップバックを持ち歩いているのですが、この日は用意されていた緑茶とお茶請けのお菓子をいただきました。
夕食を食べている間にお布団を敷いてくれます。この時に冷水のポットを用意してあり、昼間に私が使った急須と湯呑も新しいものに交換してくれてありました。
一息ついたら温泉巡りに出かけます。こちらの宿には男女別の内湯以外にいくつか湯船があるのが楽しいのです。クローゼットに浴衣やタオル類の用意があるので支度して温泉に向かいました。足袋はなかったですが、あの足袋って使い捨てですよねぇ。だとすればなくても問題ありません。クローゼットの中にはドライヤーもありました。
温泉
こちらの宿には男女別の大浴場と、時間帯によって男女の入れ替えがある浴室が3か所あります。
大浴場は時間帯での入れ替えはありません。つまり私が入れないお風呂は男性大浴場の「剣の湯」です。脱衣所や浴室はすべて撮影禁止なので、写真は撮っていません。脱衣所にはスリッパクリップの用意がありました。
天狗の湯
お部屋で一息ついてから行けるお風呂は女性用の大浴場と天狗の湯でした。女性用の大浴場は何時でも入れるので後回しにすることにして、天狗の湯にまずは向かいました。入れ替え制のお風呂の入り口には、今どちらの時間帯化を示す電気式の看板があります。入れ替え時間の間に空白時間はなく、19時で入れ替えなら19時でパっと切り替わるので、切り替わる時間の10分前からの入浴はご遠慮くださいと書かれていました。
天狗の湯は内湯からお湯につかったまま露天に出られる、野地温泉ならではの名物風呂です。洗い場付きでシャンプーや体を洗うこともできます。露天は屋根がついています。
(公式サイトのお写真をお借りしています)
こちらは鬼面の湯。時間帯によって男女が入れ替わります。私が行った時もこんな雪見風呂でした。夜はライトアップされています。
鬼面の湯(公式サイトのお写真をお借りしています)
千寿の湯
こちらは檜のお風呂で浴槽が3つ並んでいて、お湯の温度が高・中・低と分かれています。好みの湯温で温泉を楽しめるのがとても良かったです。
千寿の湯(公式サイトのお写真をお借りしています)
という具合に趣が異なるお風呂がたくさんあって、湯めぐりが楽しめます。詳しくは公式サイトをご覧ください。
泉質
泉質は単純硫黄泉で、宿についた時からぷーんと硫黄の匂いがして、いかにも温泉に来たぞ、という感じがします。宿の裏手にはもうもうと源泉の噴気があがっています。
こちらの温泉は蒸気造成泉で造成量は1分間に307リットルとのこと。いくつもの湯船にかけ流しできるのはこの湯量があるからなのでしょう。源泉温度が高いので加水していそうです。
お食事
夕食・朝食ともに宴会場のような畳敷きの広間にテーブルとイスを並べてお食事処にしています。他のお客さんとの間に衝立とかはないので、皆さんこんにちは状態です。私も隣の席の男性2人組の会話がしっかり耳に入ってきてしまい、あぁ、大学病院の先生なんだなー、などと思いながらいただきました。
食事が終わったお客さんが、私の背中と襖の隙間の通路を通って戻って行きましたが、自分が食事している間に、前も後も人が通るってのは落ち着きません。一人旅の人も見受けられたので、端の方に固めて置くとか、もうちょっとレイアウトに工夫があると良いなと思いました。
夕食
夕食は17:30から30分刻みで最終は19時から。私はゆっくり温泉を楽しみたかったので、19時からの夕食にしました。会場に行くとほとんどのお料理がテーブルに並んでいました。
こちらがお品書きです。ちょっと奮発してグレードアッププランにしています。
ノンアルコールのドリンクメニューは、ウーロン茶とサイダー、オレンジジュースくらいしかなかったので、お茶にしました。福島県はフルーツ王国なので、ご当地ドリンクがあっても良いと思うのですが。是非工夫してアルコール飲まない人にも注文がとれるようにしてほしいです。
まずは前菜。手前右側はにしんの山椒漬けで福島の郷土料理です。以前会津若松の向瀧でも食べたことがあり、大好きです。
こちらはお造りです。おしながきには赤貝とありますが、私は食べられないことを伝えてあったので、甘えびに変更されていました。
グレードアッププランならではは、黒毛牛サーロインと、ズワイ蟹です。
グレードアッププランだと鍋の中身もスタンダードと異なり、伊達鶏が使われています。
蒸し物と煮物。煮物は会津の郷土料理のこづゆです。
揚げ物もありました。結構早い段階に揚げ物が運ばれてきまして、冷めないうちにどんどん食べました。
一気にお料理が並んだので、どんどん食べた感じがします。並んでいたお料理をほぼ食べつくすとお食事が運ばれてきました。
最後にデザートが出て夕食は終わりです。1時間くらいで食べ終わりました。
朝食
朝食も夕食と同じテーブルでいただきます。左のコンロは豆乳の中にお豆腐があり、温めていると湯葉もできました。右側のコンロはお味噌汁です。卵は温泉卵でお醤油でいただきます。
食後のコーヒーはラウンジで1杯400円で提供されています。宿の公式サイトから申し込むと500円のクーポンがもらえたので、私はこのクーポンでモーニングコーヒーをいただきました。
館内
モモンガのモモちゃん
こちらの宿にはマスコットがいまして、ロビーでお客様をお出迎えしています。と言っても寝ていることが多いそうですが、モモンガのモモちゃんです。
ロビーラウンジ
フロント横にはクラシックな感じのラウンジスペースが広く取られていて、こちらでモーニングコーヒーを楽しめます。
自販機
自販機は客室棟から温泉棟に向かう通路に設置がありました。
その他の施設
宿の案内によるとカラオケルームもあるようですが、休止中でした。
ロケーション
野地温泉は吾妻山と安達太良山の間の土湯峠付近にあり、宿の裏手には鬼面山が聳えています。冬の時期に行くと、すっぽり雪に包まれた静寂の温泉でしたが、グリーンシーズンは周辺のぶな林の中を散策できます。宿裏手の鬼面山は標高1482mなので宿との標高差は300mありませんから、山を歩きなれている方なら登頂もできそうです。
宿のすぐ横には安達太良山への登山口もあり、鬼面山を経由して安達太良山にも登れるようです。
鬼面山の反対側には、高山と言う山があり、山頂には電波の反射板があります。山の向こう側には浄土平があり、一切経山や吾妻小富士など山があります。
磐梯朝日国立公園の中にある温泉なので、裏磐梯方面や浄土平などへのアクセスも良いです。グリーンシーズンはこの界隈を巡るドライブの途中の宿泊地としても良いと思います。私は以前、この辺りをグリーンシーズンにドライブしたりハイキングしたりして、眺めの良さに感動しました。
福島駅からの送迎バスの中からは、吾妻小富士も見えました。この辺りを楽しむには良い場所にある宿です。
迷惑なお客さんもいた
宿の問題ではないのですが、オヤジ3人組にはちょっと閉口しました。ラウンジでくつろいでいる時、自分の足をテーブルに乗せるというお行儀の悪さ。そのテーブルは次の人がコーヒー置いたりするテーブルなんですよ。自宅じゃないんだからさ。
このオヤジ3人組は帰りのバスも一人で2席確保してしまい、後から乗車してきたペアの人達が並んで座れる座席がなくても平気な顔していたんですよ。ホント迷惑なオヤジ3人組でした。
まとめ
硫黄の匂い(実は硫化水素臭)がする白濁の湯を、かつ露天風呂では雪見温泉も楽しめました。宿のスタッフの対応がとても良く、痒い所に手が届くといった感じがしました。夕食中にお布団を敷く際に使用済の急須を交換するなんてのは、以前は当たり前のサービスだったと思いますが、最近は人手不足やスタッフが室内に入らないようにという配慮から、行われない宿もあるので、夕食から戻って来て急須が新しくなっているのは嬉しかったです。他にも私が嬉しいと思ったのは
- 天井の照明はリモコンで消せる
- 枕元灯がある
- 洗面所に手を拭くタオルが用意されている
- 加湿器が加熱式タイプ
- スリッパクリップがある
- どのスタッフもやる気に満ちている感じがする
建物やお食事はごくごく普通な感じでしたが、入りたかった温泉に存分につかることができ、大変良い滞在でした。冬はレンタカーで向かうのは自信ないけど、福島駅からの無料送迎を利用すれば問題ないし、グリーンシーズンは周辺を歩いたりドライブしたりした後に、温泉で癒される、そんな休日が過ごせそうな宿でした。
関連リンク
雪見温泉の宿リスト
私は雪が降らない地域に住んでいるので、冬は雪見温泉に行きたくなります。ひとり旅でも泊まれる雪見宿の温泉宿リストです。
福島県の温泉宿
野地温泉からそう遠くない場所に高湯温泉という白濁の湯を楽しめる温泉地があります。こちらの温泉も湯量が豊富で源泉かけ流しで楽しめます。
会津若松市も福島県ですね。会津若松市の東山温泉にも私の大好きな宿があります。露天風呂はないですが、歴史ある温泉を貸し切りで楽しめたり、重要文化財に登録されている建物もステキです。
ちょっと熱めのお湯が好きな方には飯坂温泉を。
東北の温泉を巡る時には、私は大人の休日倶楽部パスを活用することが多いです。おススメコースをまとめた記事です。