2020年末に〆湯として入ったのが、福島県の高湯温泉「安達屋」の白濁の湯でした。硫黄成分の濃さでは、万座温泉に次いで日本第二位なんだとか。期待を裏切らない濃い硫黄泉にどっぷりつかることができました。湯量豊富な高湯温泉らしく、川のような大きな露天風呂もあれば、無料の貸し切り湯もあり、匂いも色もいかにも温泉というお湯を堪能できます。部屋数が20室とコンパクトなのも私好み。福島駅からは無料の送迎バスがあるのも助かります。
高湯温泉
高湯温泉は福島市西部の吾妻山中腹にあり、到着すると硫黄のいい匂いがぷーんと漂います。それもそのはず、濃い硫黄泉が9つの源泉から毎分2900リットル以上も湧いています。これだけの湯量があるので、地区内の8軒の宿ではすべて源泉かけ流しで温泉を楽しめます。どの宿でも源泉から地形の高低差を利用しそのまま引湯された源泉を楽しめるのが魅力です。
また昔から「一切の鳴り物を禁ず」という申し合わせがあり、静かに温泉を楽しみたい私にとっては、たいへん嬉しい環境です。高湯温泉についてはこちらの公式サイトに大変詳しい情報が掲載されています。
安達屋旅館のお風呂
今回は高湯温泉の宿の中から、川のような大きな露天風呂で白濁した硫黄泉を楽しめる安達屋旅館に宿泊しました。いつもならお部屋から順に紹介していきますが、今回は魅力のお風呂からご紹介していきます。
内湯
内湯は男女別に1つずつあります。浴室に入ると、湯気もうもう。湯船には白濁したお湯が満たされています。
湯口からはかなりの量のお湯が投入されています。温度は冷えた体にはちょっと熱く感じましたが、だんだんと慣れました。42度くらいでしょうか?
内湯から直接行ける露天風呂があります。ここまでは女性専用です。
女性の露天風呂を進むと、塀のところに「この先男子露天風呂」の看板が。そうなんです、ここから先が川のような大露天風呂「大気の湯」なのですが、そこは混浴なのです。
大露天風呂「大気の湯」
それでは先に進みましょう。下の写真は女性用露天風呂から混浴ゾーンに入ったところで、うたせ湯がありますね。その右側には洞窟風呂もあります。この写真の奥の方にさらに露天風呂は続いています。外気に触れているせいか、内湯より温度が低くて長くつかっていられました。
この先はお客さんがいたので、撮影はしていません。このお風呂の大きさは是非宿の公式サイトでご覧ください。
タオル巻きも湯あみ着も不可ですが、湯が白濁しているので、沈みながら進めば問題なく、混浴としては入りやすいお風呂です。また18:00-21:00は女性専用時間帯です。今回は夫婦で出かけたので、混浴時間帯に利用しました。が、湯船が大きく、湯気もうもうなので、どこに相方がいるのかわからずちょっと困りました(笑)
無料の貸切内湯「ひめさ湯り」
無料の貸し切り湯があるのも嬉しいです。21時までは予約制で、22時から翌朝6時までは空いていればいつでも入れるシステムの貸切内湯です。湯船は小さくて2人でいっぱいな感じ。湯温はちょっと熱めでした。カランとシャワーが1か所ありました。
無料の貸切露天「薬師の湯」
貸し切りで楽しめる露天風呂があるのも嬉しいです。薬師の湯は「壱ノ湯」と「弐ノ湯」の2か所あります。こちらは14時~21時と翌朝7時~10時は予約制。22時から24時までは空いていれば自由に貸切可能というシステムです。確実に雪見露天を楽しみたかったので、翌朝7時からを予約しました。
薬師の湯は客室がある建物からちょっと歩いた場所にあります。
こちらが貸切露天風呂。貸切内湯より広く、雪見風呂が楽しめます。
源泉がドバドバ注がれて、どんどんかけ流されています。あー幸せ。
お湯の温度は熱すぎず、ゆっくりと雪見温泉を堪能できました。外にこれだけ雪が積もっているので気温は低く、脱衣所と湯船の間に扉がないので脱衣所内は寒いのですが、床にホットカーペットがあり、とても助かりました。
泉質
高湯温泉全体で9つの源泉があり、安達屋旅館では湯花沢3番、5番、6番を使用しているようです。高湯温泉のサイトによると、高湯26番も安達屋で使用されていると出ていたので、浴室によって使用している源泉が異なるのかもしれません。
泉質は酸性-含硫黄-カルシウム・アルミニウム-硫酸塩温泉(硫化水素型)です。pHは2.7。ガス性成分を除いた溶存物質は1,040mg/kgです。
お部屋
安達屋旅館には和室、ベッドが入った和室など5種類のお部屋があります。今回は8畳の和室の部屋をチョイスしました。
料金も一番お安いお部屋だと思いますが、個別のエアコンがあり、ミネラルウォーターのサービスもあります。
狭いながらも洗面台とトイレが室内にあるのも助かります。水道の蛇口は黒く変色していましたが、温泉の硫黄成分のせいでしょう。
お茶菓子は2種類、お茶っ葉は緑茶のティーバッグのみなので、夜にほうじ茶が飲みたい方は持参しましょう。
部屋でもwifiが使えました。コンセントは少なくて、自前の延長コードでたこ足にしてスマホなどを充電しました。夜は枕元のスタンドも使いますからね。
浴衣やタオル、アメニティは一通りそろっています。湯籠があるのは助かります。綿の入った半纏は冬の時期はマストアイテムかも。
フロントの横に色浴衣が積んであったので、プランによっては、あるいは追加料金で色浴衣が選べるのかも。
食事
食事は夕食は個室の食事処、朝食は夕食とは異なる食事処でいただきます。
夕食
夕食はグループごとの個室でいただきます。宿泊した日に7人のグループが宴会の予定を宿の人と話をしていて、そんなグループと同じ空間だったら嫌だな、と思っていましたが、グループごとの個室だったので安心しました。
テーブルには囲炉裏があり、囲炉裏で焼きながら食べるのがメインの献立です。今回はお食事をグレードアップしたプランにしています。
ノンアルコールのおしゃれな感じのドリンクがあったので注文。飲まない人向けにも飲みたくなるドリンクメニューがあるのは大事です。
囲炉裏焼きは第一部と第二部があり、前菜に続いて第一部が出てきます。イワナ、ニシン、竹、そばがきです。
網に乗せて焼きます。
もちろんお造りなどのお料理も合間に出てきます。
囲炉裏焼き第二部はこちら。お肉がのってますが、本来はホタテなんです。私は貝が食べられないので、代替品が牛肉でした。すごいね。係の人も替わりに牛肉ってみたことないです、とおっしゃっていました。
このあと、和牛ソテーが出てきます。小松菜のソースがかかっているのですが、今までの囲炉裏焼きとは趣がかわるので、食が進んでしまいます。お肉がとっても柔らかい。
〆は自然薯鍋。自然薯のお団子が入ったみそ仕立てのお鍋です。ここまで来るとかなりお腹が膨れています。
この後ご飯が出て、最後のデザートは場所を変え、ラウンジでいただきます。ラウンジにはコーヒーマシンやお茶などがセルフサービスでいつでも飲めるようになっているのでお好みの飲み物とともにデザートをいただきます。
グレードアップしたお食事プランだったせいか、食べ終わった後は動けないくらいおなか一杯になりました。最後の自然薯鍋がとっても効いた感じがします。でもどのお料理もとても美味しかったです。
朝食
朝食は暖炉のある食事処でいただきます。個室ではなく、テーブルが適度な感覚で並んでいます。
飲み物はセルフサービスですが、そのほかの食事はスタッフの方が運んできてくれました。
アクセス
最寄りの駅は福島駅。ここから路線バスでもアクセスできるし、宿の無料送迎を利用することも可能です。
路線バスの場合は「高湯」で下車すると、安達屋さんは目の前です。
バス停の時刻表を見ると、チェックインは14時から可能なので、高湯に14:14着の路線バスが便利そうです。このバスは福島駅西口を13:38に出発します。
バスだとだいたい40分くらいで、料金は840円(2021年1月現在)。バスの時刻や運賃は福島交通のサイトを確認しましょう。
宿の無料送迎は福島駅西口を15時出発なので、宿に到着するのは15:40くらいです。14時からチェックインができることを考えると、路線バスで向かう方がより長く温泉三昧ができそうです。また宿の送迎車は10人乗りくらいのワンボックス車。私が行った時は満席状態で、前後左右のお客さんとの距離がめちゃくちゃ近いです。そんな中、背後に座った女性2人組が車中ずっとおしゃべりしていたのが、とても気になりました。
まとめ
宿の送迎車が高湯温泉郷に入った途端、車内にいても硫黄の匂いが漂いました。お湯は期待通りの濃い硫黄泉。白濁の湯は空気に触れるからこそ、と知ってはいても、透明のお湯よりも温泉らしさを感じてしまいます。周囲を雪に囲まれた露天風呂で白濁の湯の湯あみはもう最高です。スタッフもてきぱきと対応していて、とても気持ち良かったです。こんなにステキな硫黄泉が福島駅から車で40分、2人1部屋で1泊2食付きのスタンダードプランが、土曜の夜でも1人1万8千円以下というのはお財布には良さそう。1人旅プランが見当たらないのが残念です。同じ送迎車には1人旅の人、乗っていたんですよ。なので時期によっては、あるいは直前だと1人旅プランがあるのかもしれません。
こんな人におススメ
濃い硫黄泉や白濁の湯を露天風呂で楽しみたい人にぴったりの宿だと思います。温泉場全体で「一切の鳴り物を禁ず」というルールがあるので、静かに温泉を楽しみたい人にも良いでしょう。今回は雪見風呂の季節に訪れましたが、グリーンシーズンは宿の前の道をドライブすれば安達太良山方面に出られるので、そういうドライブを楽しんだり、次の宿を磐梯山や会津若松あたりに取る周遊旅も良いと思いました。
高湯温泉の他の宿
高湯温泉には高湯温泉には秘湯の会の宿も2軒ありますが、こちらは1人泊プランがありませんでした。
安達屋さんへの再訪も良いですが、次回は1人旅プランがある玉子湯さんに泊まって、高湯温泉の濃い硫黄泉を楽しんでみたいです。