今週のお題「残暑を乗り切る」
ぬる湯でのんびりしたので、ブログに書こうと思ったら、今週のお題がまさにぴったりのお題。書きかけのエントリもありますが、先にこちらのエントリを仕上げることにしました。行先は静岡県の畑毛温泉「大仙家」という温泉宿です。宿泊の3日前に検索したら週末に一人でも宿泊できるプランがあり、2食付いて税込16,130円でした。畑毛温泉は「ぬる湯」の温泉です。「ぬる湯」の温泉宿初体験でしたが、暑い時期に入る温泉として、ぬる湯っていいな~と思ったので、ご紹介します。畑毛温泉は東京からのアクセスは車でも鉄道でも割と良くて、宿泊料もそれほど高くないので、気軽にお出かけできますよ。
畑毛温泉とは
畑毛温泉てあまり聞いたことがないかもしれませんが、静岡県東部にある温泉で、実は400年以上の歴史をもつ温泉です。国民保養温泉(環境省)に指定されている温泉でもあるのです。JRの最寄駅は函南駅で、一つ東の熱海駅は国内外からどっと人が押し寄せていますが、函南駅は乗降客も少なく、山間の小さな駅です。函南駅から車で10分くらいで到着できます。山間というほど山ではなく、かといって、平地かというとそうでもないのですが、宿の前はたんぼが広がるのどかな場所です。
温泉宿が2~3軒、日帰り温泉施設が1か所あるという小さな温泉場です。その分静かに過ごせるのが一人旅の私にはなかなか好都合。そして温泉の特徴は「ぬる湯」だということ。源泉の温度は30℃くらいで、宿ではほぼ源泉の温度のままの浴槽と、ひと肌程度に加温した浴槽、仕上げの湯として40℃くらいに加温した浴槽の3種類の浴槽をもっています。冬だと30℃の浴槽にはいるのはちょっと勇気がいりますが、暑い夏は温水プールに入るような感じで長湯ができますよ。
大仙家
今回宿泊したのは「大仙家」という宿。ひなびた温泉場の宿だから、建物も古くて・・・と思っていくと、予想外に新しく立派なホテルのような旅館でした。
大仙家の公式サイトはこちらです。
客室は洋室
温泉宿ですが、ほとんどがベッド2台の洋室です。和室もあるので、和室が良い人は和室に泊まるプランを選びましょう。今回は一人でツインルームを使うわけなので、広さは十分です。
カーテンの向こうには小さなベランダがあり、椅子が一脚。そして灰皿。灰皿があるということは、ベランダは喫煙可能なのかな・・・。
でも室内のテーブルにはこんな注意書きがあり、決められた喫煙所の中にベランダが含まれるのかどうか、よくわかりませんでした。
公式サイトには「客室内禁煙」と書いてありまして、本当にタバコが嫌な人にとっては、ベランダでタバコ吸われるのも嫌な人もいそうな気がします。ここはベランダも含めて禁煙室と、室内は禁煙だけどベランダは喫煙できる部屋と区別した方がお客さま志向のように思いました。
アメニティ
部屋のアメニティは、歯ブラシ、ブラシ、シャワーキャップ、コットンなど一通りあります。
化粧品類は女性用のものはなく、男性用のヘアケア商品が3つ置いてありました。男性のお客さんが多いのかな?
ハンドソープの用意があり、また洗面台を拭くためのタオルなのか、手を拭くためのタオルかはわかりませんが、タオルが置いてあります。結構便利です、このタオル。またお湯と水の水栓は別々のタイプですが、お湯の水栓を開くと割とすぐお湯が出てくるのは良いと思いました。
色浴衣がサービスのプラン
浴衣は部屋の引き出しに入っています。あと羽織も用意がありました。
私が泊まったプランは通常800円必要な色浴衣が無料と言うサービスがついていたので借りてみることに。色浴衣はロビー横に置いてあり、チェックインの時に選ばせてくれます。
赤系にしようか、涼しげな青系にしようか悩んだ末に赤系の浴衣にしました。が、館内で色浴衣着ている人に出会いませんでした。皆さん別のプランだったのかもしれません。
クローゼットの中にはスリッパと、外に出る時のための雪駄が用意されています。
お茶や冷蔵庫など
部屋には沸かす機能のみの電気ポットがあります。デロンギのポットが用意されている宿って初めてです。(でも今回は使用しませんでした)
お茶セットは緑茶のティーバックのみ。
冷蔵庫はそこそこサイズのあるタイプで、有料の飲み物が中に入っていて、チェックアウトの時に自分で伝票に書いて提出するスタイルです。水のペットボトルが200円。館内の自販機なら150円です。
Wi-fiやコンセント、エアコンなど
Wi-fiはパスワードなしのWi-fiが無料で使用できます。サクサク使えました。コンセントはデスク横に2口あります。
ベッド周りにはコンセントがなかったので、スマホを目覚まし代わりにして充電しながら眠るのにはちょっと不便ですが、朝早く起きる必要もない旅なので特に問題はなかったです。ベッド横のテーブルには昔ながらの目覚まし時計もついています。
エアコンは集中制御型で、各部屋ではベッド横のテーブルに風量の調整のみ可能となっていました。エアコンの設定温度は幾分低めになっていたと思います。ずっとつけていると手足が冷えてきました。なので風量をONにしたりOFFにしたりしていました。けれど温度をあげちゃうと、汗かく人もいると思うので、やや低めの設定で良いと思います。
水回り
室内にバス・トイレ付です。お風呂は大浴場があるのでたぶん使う人はいないと思いますが・・・。トイレはちょっと昔のウォシュレット。特に使用に支障はありません。
ドライヤーも設置されていますが、昔のビジネスホテルにあるようなタイプでした。ただフロントで貸し出し用のドライヤーがあるようなので、もっと風量のあるドライヤーが必要な場合はフロントで借りるのも手だと思います。ただ洗面台周辺にコンセントが見当たりませんでした。あとは大浴場の脱衣所には風量のあるドライヤーがあります。
お風呂に行く時には部屋のタオルを持っていきます。温泉旅館だと、宿の名前が印刷されたお持ち帰り可能なタオルが用意されていることが多いですが、こちらのタオルは宿名の記載がなく、持ち帰りも不可でした。タオルがあると記念にはなりますが、最近温泉宿に行くことが増えて、実は持ち帰ったタオルが結構増えてきたところだったので、持ち帰り不可でも特に支障はありません。
ぬる湯にゆっくりつかろう
それでは畑毛温泉ならではの「ぬる湯」につかりに大浴場に行きましょう。大浴場は1階にあります。男女別の大浴場が1か所ずつあり、男女の入れ替えはありません。夜は深夜1時まで使用でき、翌朝は5時から入浴できます。
脱衣所入り口にスリッパがないので貸切か?と思ったら、実はスリッパは自分の脱衣かご横のボックスに入れるシステムです。他人のスリッパと間違えて履いて帰る心配がなく良いアイデアですが、今浴室内が混雑しているのかしていないのかがぱっと見てわからないのがちょっと難かも。
脱衣所はこんな感じ。貴重品を入れる鍵がかかるボックスもありました。洗面台は3つで、ドライヤーも3台用意されています。
脱衣所は天井に近いところで壁が終わっていて、男湯側の脱衣所と空気はつながっています。さすがによじ登って女性の脱衣所を覗く人はいないと思いますが、話声はよく聞こえてきました。
いついっても数人の方が入浴していて、浴室内の写真は撮れませんでした。内湯に湯船が3つ、内湯から直接出られる露天風呂が一つ。露天風呂に横にはサウナもありました。内湯の湯船は、韮山の湯という源泉を引いている30℃くらいのぬる湯の浴槽、こちらの宿の自家源泉「大仙の湯」から引いている38℃くらいの浴槽、仕上げの41℃くらいの浴槽の3つがあります。露天風呂は屋根がついているので、雨でも入れます。湯の温度は41℃くらいでしょうか。シャンプー、コンディショナー、ボディーソープ、洗顔フォームが洗い場に用意されています。
畑毛温泉の特徴であるぬる湯を楽しむ方法が部屋の中に用意されていました。なんでも冷泉に30分以上入りましょうとのこと。
長湯になるので退屈しないようにと、濡れても大丈夫な本が脱衣所に用意されています。
昼間は本を読める十分な明るさがありますが、日が落ちると浴室内は本が読めるほど明るくはないです。読書を楽しむのなら日中が良いでしょう。本がなくても、ぬる湯に目を閉じて使っているだけで十分退屈せずにくつろげました。38℃のひと肌温度の浴槽は本当に気持ち良かったです。浴槽の木枠に頭を乗せて、うつらうつら。そして最後に熱めの湯で温まって上がるというわけですね。
温泉成分表
脱衣所には2本の源泉の温泉成分表が掲示されていました。こちらは「韮山の湯」。泉質はアルカリ性単純温泉。泉温は29.7℃です。pHは8.7です。
こちらは自家源泉の「大仙の湯」の成分表。泉質はナトリウム-硫酸塩温泉で、泉温は37.6℃。韮山の湯より少し高いですね。pHは8.8です。
どちらもpHの数値が高いので、ぬるぬる感を期待していたのですが、そういう感じはあまりなく、むしろさっぱりした感じ。こちらの温泉は循環式で塩素消毒もしていると表示がありました。実際最後に入る仕上げの湯に入っていると、かすかに塩素のにおいがしました。お湯の新鮮さにやや欠ける点が残念ではありますが、初ぬる湯体験を楽しめました。
食事
食事は夕食も朝食も食事処でいただきました。特筆すべき料理とかはなかったですが、お腹にはちょうど良い量で特に不満もありません。
夕食
夕食のスタート時間は18時か19時半のいずれかからチョイスです。
ノンアルコールのカクテルとかがあれば注文しようかと思ったのですが、席に案内されて、ドリンクメニューを見る間もなく「お飲み物は?」と聞かれてしまい、「お茶をお願いします」にしてしまいましたが、ノンアルコールのカクテルもありました。
メインは豚しゃぶです。食前酒は日本酒、静岡由比の銘酒「正雪」でした。
こちらも夕食のお料理。最後にご飯ととろろ汁で、とろろをかけていただきました。
朝食
朝食のスタート時間は7時、7時半、8時半の3つから選択です。ハーフバイキングで、あらかじめセットされているお料理に加えて、スクランブルエッグやベーコン、サラダ、ご飯、ジュース類は自分で取ってくるスタイルです。
朝食で良いな、と思ったのは静岡名物の黒はんぺんや野菜を焼きながら食べるというもの。わさび醤油がよく合いました。
コーヒーは部屋に持ち帰ることができるように紙コップが用意されています。
ただ本当に普通の紙コップで持つと結構熱い(笑)
館内いろいろ
カフェ
チェックインの時に、カフェで抹茶糖のサービス券をいただいたので、カフェに行ってみました。コーヒー以外にトーストなんてのもあって、軽食も食べられそうです。
ギャラリー
こんなギャラリーがありました。というのも、こちらの宿では陶芸の体験ができるんです。
陶芸の工房
こちらが体験陶芸ができる「大仙窯」です。
中には誰もいなくて、ネコちゃんが番をしていました。
お庭を散策
それほど広いお庭ではありませんが、散策できるお庭があります。残暑厳しき折ですが、栗が落ちていたりして、季節はだんだんと移ろいでいくのですね。
お庭の木の向こうに田んぼが広がっていました。のどかな景色に癒されます。
お庭にはこんな胸像があります。河合武雄さんという方で、俳優でした。河合氏が大正10年に別荘兼用の「栄家旅館」を開いたのが大仙家の発端となっているそうです。昭和45年に栄家旅館は大仙家として営業を開始したという関係があるのだそうです。いったん建て替えのために大仙家は閉館しましたが、その後平成5年に新規開業し今に至る、という歴史があるそうです。
河合氏ゆかりとして小さな神社もお庭にありました。
バリアフリー度は満点
大仙家の館内はバリアフリー化されていて、館内どこへでも車いすでの移動が可能です。浴室内にもキャスターがついた椅子や、洗い場の椅子も座りやすい椅子が用意されていて、足が悪い方への配慮がある点は素晴らしいと思いました。浴槽に入るのはさすがに段差がありますが、内湯の3つの浴槽にも露天風呂にも手すりがついていますから、自分の足で歩ける方なら湯あみを楽しむことができそうです。
アクセス
畑毛温泉は静岡県東部に位置していて、首都圏からのアクセスは車・鉄道ともに便利です。静岡県に生息している私はマイカーで行っても良かったのですが、今回は鉄道で行きました。鉄道で行く時は、東海道線の函南駅か、伊豆箱根鉄道駿豆線の大場駅まで送迎サービスがあります。私は行く時には大場駅に着いたところで宿に電話したところ、10分ちょい待っていたら送迎車が来てくれました。帰りはあらかじめ宿を出発する時間が決まっていて、その中から自分の都合に合わせて選ぶ方式でした。地図で見ると、大場駅から歩けない距離ではないですが、ちょっと山間にあるので、たぶん上り坂なのだと思います。残暑厳しき時期には歩かずに送迎サービス利用が良いと思います。チェックインは14時からできるので、早めについてのんびりするのが畑毛温泉の楽しみ方のように思います。
なお、伊豆箱根鉄道沿線にはいろいろと見どころやお洒落なカフェもあるので、ちょっと早めに出てきて観光やランチをしてから宿に向かうのも良いと思います。伊豆箱根鉄道沿線の情報はこちらにまとめました。
また伊豆箱根鉄道の起点駅である三島駅周辺には、清流を楽しみながら街歩きができます。特に夏は川の中に作られた遊歩道を歩くと涼を楽しめてお勧めです。こちらをご参照ください。
まとめ
温泉は熱いものと思っていた私には、とても新鮮なぬる湯体験となりました。特に暑い夏に入るにはもってこいの温泉。日本には他にもぬる湯の名湯があるので、これからは出かけてみたいと思います。大仙家の温泉は良いのですが、ちょっと塩素のにおいがするのが残念でした。
建物は平成になってから建て替えられているので、新しく快適です。その割にエアコンが集中制御だったり、ベッドサイドにコンセントがなかったりはしますが、Wi-fiも使えます。チェックイン・アウトが14:00-11:00なので、館内でのんびり湯に何度も入りながらのんびりするにはとても良い宿です。畑毛温泉と言うひなびた場所にしては大型のホテルで、駐車場にはバスも来ていました。部屋数も多く団体の受け入れも可能なようで、食事中はレストラン横のお座敷で盛り上がるおじさんたちのちょっと品の無い大声が響いてきちゃうのは興ざめでしたが、毎週末こういう団体がいるわけではないと思うので、今回はちょっと運が悪かったと思うことにしましょう。
小さな温泉場ですが、宿のスタッフはたくさんいて皆さん親切できさくな印象。外国籍のスタッフもいましたが、特にサービスに問題ありませんでした。事前にお願いしていたリクエストもきちんとこなしてくれて、老舗旅館の良さを受け継いでいるように思いました。
畑毛温泉にはもう一軒、部屋数が11室と少ない温泉旅館があります。部屋数が少ないと団体客の受け入れも難しいはず。「男の隠れ家」9月号ではそちらの宿が紹介されていたので、次回は泊まってみたいと思います。