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主に鉄道で行く温泉を楽しみ、旅の記念にマンホールの捕獲を楽しんでいます。宿の宿泊記やマンホールカードを紹介しています。

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鹿児島県妙見温泉「おりはし旅館」宿泊記 全室に源泉かけ流しの内湯と露天付き 離れ形式のお宿で温泉三昧

鹿児島空港からタクシーで20分ほどの場所にある妙見温泉の「おりはし旅館」に宿泊しました。創業は明治12年という歴史ある宿です。こちらの宿に湧く「キズ湯」は、宿の創業前からこの地に湧いていて、鉄分を含むこの湯で薩摩郡の兵士達が傷を癒したことで、その効能が広まりました。かつては湯治もできる宿だったようですが、数年前にリニューアルされ、今は全室離れ形式の宿です。どのお部屋にも源泉かけ流しの内湯に加えて露天風呂と水風呂までついているので、温泉三昧の滞在を楽しめました。一人旅プランが見当たらないので、今回は2人で宿泊しています。

お部屋も温泉もお食事も接客も良いのに、お値段は1人3万円かからず、とても満足度の高い宿だったので、宿泊記をまとめました。2023年2月の旅です。

おりはし旅館の概要

  • 数年前にリニューアルし、1000坪の敷地に全室離れ形式で13室。全室に源泉かけ流しの内湯と露天風呂と水風呂が用意されている
  • 大浴場もあり、特にきず湯は歴史ある温泉として有名。泉質は鉄分を含む炭酸水素塩泉でお肌がツルツルになる。
  • 客室内でのWifi使用問題なく、コンセントも十分
  • 空港や駅への無料送迎はないが、定額料金のシャトルタクシーを頼める。鹿児島空港からも隼人駅からも車で20分くらい。
  • 木曜日の夜に2人で宿泊し、2食付きで1人27,500円。クレジットカードOK
  • チェックイン15時から、チェックアウトは10時

 公式サイト

orihashi.co.jp

チェックイン

鹿児島空港からあらかじめ宿にお願いしていたシャトルタクシーで到着し、受付はこちらという建物内でチェックインします。

チェックインはこちらの建物で

テーブルに案内されて宿帳などを書いていると、お茶とお菓子がサービスされました。このお菓子は「げたんは」と言い、黒砂糖を使ったお菓子でとても美味しかったので、お土産に買って帰りました。

ウェルカムスイーツ

お茶とお菓子で一息つくと、係の方がお部屋まで案内してくれます。こんな通路を歩いて向かいます。

お部屋に向かう

天降川沿いの離れ「かじか」に宿泊

おりはし旅館のお部屋は全室離れ形式です。13室のうち半分くらいが宿の前を流れる天降川沿いに立っています。

天降川沿いに立つ離れ

今回私たちが泊まったお部屋は数寄屋造りの「かじか」というお部屋でした。

宿泊した「かじか」のお部屋の玄関

玄関先には水鉢も。

玄関前の水鉢

玄関を開けて中に入ると、ほうじ茶の良い香りが漂っていました。香炉があるのですね。鹿児島はお茶の産地でもあります。

香炉にはお茶の葉が乗っていました

室内は10畳の和室と、同じくらいの広さの洋間があります。和室側には座卓と座椅子、テレビなどが用意されています。

客間

反対側から見るとこんな感じで床の間もあります。

10畳の和室

床の間には窓がついていて、玄関が見えるようになっていました。こういう小窓があると、誰か来たのがわかるので、防犯上も良いかもと思いました。

床の間

座卓の上にはお菓子とお茶の用意があり、チェックインの時にウェルカムスイーツをいただいたばかりですが、こちらのお菓子も食べてしまいました。コーヒーカップやコーヒーはないので、コーヒーを飲みたい場合は持参するのが良さそうです。

お部屋のお菓子

隣の洋間は寝室でセミダブルサイズのベッドが2台用意されています。クローゼットは洋間側にありました。

洋間にはベッド

枕元灯もあれば、コンセントもあり、寝ながらスマホも問題なし。

枕元にコンセントあり

寝室の奥にはお風呂に続く洗面所があります。お部屋に温泉の内湯も露天もありますが、「おりはし旅館」と言えばキズ湯です。お部屋から外にも出かけることになるので、湯籠も2つ用意がありました。

脱衣所兼洗面所

洗面台には歯ブラシやシャワーキャップの他に、雪肌精の化粧水や乳液、男性用化粧品類の用意もありました。

バスアメニティいろいろ

こちらがお部屋の内湯です。2人で入っても余裕の広さです。驚きは滔々とかけ流されている源泉の湯量です。チェックイン後からチェックアウトまでずっとこの調子で流れているのにはびっくりしました。お湯の温度は40度くらいでするりと湯船につかれて、長湯も楽しめる温度でした。端に段があり、足先が冷たい時にはこの段の上にのって足湯で温まることもできました。

お部屋の内湯

そして内湯からテラスに出るドアを開けると、そこにはウッドデッキが広がり、露天風呂と水風呂があるのです。すごすぎませんか? この離れ。

ウッドデッキに設けられた露天風呂と水風呂

ウッドデッキの外側は天降川の清流が流れていて、川の向こうは民家や道路ですが、うまく植栽されていて目隠しになっています。青空や星空を眺めながらの湯あみが楽しめます。ホント、天国。

最高に気持ち良い湯あみ

さて、その他のお部屋の中ですが、玄関を開けると、トイレと手洗い所、その下に冷蔵庫がありました。ベッドがある部屋からも引き戸を開けるとすぐトイレなので、夜中にトイレに行くにも便利です。こういう造りはもし自分の家を建てるとしたら・・・という点でも参考になります。

玄関ホールにも洗面台

冷蔵庫の中にはサービスのお水と、有料のウーロン茶、ビールが冷えています。お水はこの辺りの湧き水とのこと。

冷蔵庫の中

また窓はすべてペアガラスになっていました。宿泊した日は暖かかったこともありますが、寝室のエアコンを止めて休みましたが、薄いお布団だけでも全く寒くなかったのです。高断熱・高気密の部屋なのかもしれません。エアコンは和室用と寝室用と2台ついています。

窓はペアガラス採用

大変快適な離れで大満足のお部屋でした。

キズ湯と竹の湯を楽しむ

こちらの宿を代表する温泉がキズ湯と呼ばれる温泉です。別館の山水荘にある浴室で入ることができます。川沿いの離れからだとちょっと距離があります。

入浴できる時間もチェックイン当日は夜8時まで、翌朝は7時からと短いのです。私達は翌朝は9時には宿を出発する予定だったので、チェックインしてまずはキズ湯に向かいました。受付の前を通り、山水荘へ。

山水荘へ

こちらがキズ湯がある山水荘です。

山水荘

入口でスリッパに履き替え、渡り廊下を渡ってお風呂に向かいました。

お風呂の入り口

脱衣所は鍵付きのロッカーになっています。日帰り利用もできるそうで、鍵付きのロッカーはありがたいです。

脱衣所

左側が有名なキズ湯、隣はやや熱めの竹の湯です。キズ湯にはざぼんが浮かんでいました。

キズ湯(左)と竹の湯

キズ湯は泉温が33℃とかなりぬるめです。暖かい鹿児島とは言え2月のこの時期に33℃は入れないかも、と思いながら手を入れてみると、あら、思ったより温かい。38~39℃くらいな感じでした。あとで食事の時に女将さんに聞いたら、冬の間は竹の湯の熱めのお湯の中を通して熱交換させているとのこと。私にはちょうど良いぬる湯加減で、長湯させていただきました。もう一方の竹の湯は43℃くらいな感じでかなり熱く、これは確かに交互に入って楽しめる、という感じでしたが、次のお客さんが来てしまい、ちょっと狭いキズ湯を占領しているわけにもいかず、退散したのでした。浴室内にカランとシャワーが3つくらいあり、シャンプーなどもできます。

泉質は鉄分を含む炭酸水素塩泉

キズ湯と竹の湯は源泉が異なります。キズ湯の源泉名は妙見19号と書かれています。となりの竹の湯は妙見20号です。妙見温泉には以前別の宿に泊まったことがあり、そこも妙見○○号という源泉名だったので、この辺りの源泉名には妙見○○号という名前を付けているようです。源泉が異なると、成分も泉温も違いますが、泉質はどちらもナトリウム・カルシウム・マグネシウム-炭酸水素塩泉です。

炭酸水素塩泉はクレンジング効果があり、手穴の汚れなどを落としてくれる美人の湯です。お湯から上がるとお肌もツルツルスベスベでした。

温泉の成分表

成分の中に鉄イオンの表示があり、キズ湯は2.9mg、竹の湯は5.5mgと多めです。お湯の色が茶褐色がかっていて、金気臭もあり、鉄分豊富な温泉だと入っていて感じました。川に排出されているお湯の下が赤いのも、鉄分を含むからなのでしょう。

温泉の鉄分が蓄積された部分

露天風呂のえのきの湯

山水荘のお風呂以外に、受付から離れに向かう途中に男女別の露天風呂があります。

露天風呂の入り口

わりと広めの湯船でした。お部屋で誰に遠慮することなく露天風呂も楽しめるので、今回こちらの露天風呂は利用しませんでした。えのきの湯の源泉は妙見21号です。お部屋のお風呂の源泉も妙見21号なのかも。というのも、キズ湯、竹の湯の他にもう一本山の上から掘りました、と女将さんが言っていたからです。

露天風呂

足湯

受付の前には足湯もありました。

足湯

お食事

お食事は夕食・朝食ともに食事処でいただきます。食事処は大正時代に建てられた本館で、とても風情があります。

お食事会場になっている本館

夕食

夕食は鹿児島の海の幸、山の幸をふんだんに使ったお料理で、どのお料理もとても美味しくいただきました。ノンアルコールドリンクがジンジャーエールなどごく普通のラインナップだったのは少し残念です。是非ご当地サイダーやノンアルコールの梅酒やカクテルなどをご用意いただきたいです。では夕食の献立から。かなり品数があります。如月の御献立とあり、月替わりのようです。

お品書き

まずは先付から。先付が終わる頃、お椀が運ばれてきました。

先付に続いてあおさのお椀

続いてお造りです。エビは車エビです。甘えびよりプリプリしていました。

お造り

煮物は鹿児島牛のゴマ豆乳鍋で、きのこがたくさん入っています。

鹿児島牛をゴマ豆乳鍋で

焼き物は海の幸。私は貝が食べられないので鯛と鰆ですが、貝が大丈夫なら片方は鮑でした。

焼き物

この辺りでお腹はかなりいっぱいになってきましたが、揚げ物もいただきます。

揚げ物はズワイガニの天ぷら

天ぷらが出てきたら、ご飯とお漬物も食べたくなります。ご飯は土鍋で炊いた五穀米です。2人では食べきれない量ですよ。お願いすれば夜食用のおにぎりにしてくれたかも。

土鍋で炊いた五穀米

中居さんがお茶碗によそってくれました。一緒に写っている色が鮮やかなお料理は酢のものです。下にぽんかんの輪切りが敷いてあり、目にも鮮やかな一品でした。

酢のものとお食事

最後にデザートが出て終了です。本当に美味しいお料理ばかりでした。

デザート

私達が案内されたお部屋は廊下と間の障子に少しゆがみがある古いガラスがはめられていて、食事中にご挨拶に見えた女将さんの話では、もう手に入らないガラスなのだそうです。古くて風情がありますが、遮音性はないので、隣のお部屋の話し声がよく聞こえます。女性4人のグループだったようで、かなりの音量のおしゃべりが聞こえてきましたが、お料理が美味しかったので、食事に集中していた時間はあまり気になりませんでした。

古いガラスが入った障子

外に出ると灯が灯った本館が昼間とはまた違った趣で美しかったです。

夜の本館

朝食

朝食は前夜の夕食と同じ会場でいただきます。基本は朝7時半か8時からのスタートですが、私たちは9時にはチェックアウトの予定だったため、7時から食べられようご準備いただきました。

朝食

湯豆腐とボウルいっぱいの無農薬野菜のサラダも出てきました。サラダは中居さんが取り分けてくれます。

湯豆腐とサラダ

食後には杉で作られたカップのコーヒーが出てきました。

食後のコーヒー

夕食・朝食ともに、鹿児島の幸をふんだんに取り入れた、とてもハイレベルなお料理で、大満足でした。

周辺を歩いてみた

夕食前にお腹を空かせようと、宿の周辺を歩いてみました。こちらの橋は国道から川を渡っておりはし旅館に向かう時に渡る「妙見大橋」です。車も通ります。

国道と宿をつなぐ大きな橋

橋の上からは澄んだ天降川の流れを見ることができます。川の両側には宿が並んでいます。上流にもう一つ別の橋が架かっているのが見えますが、あとで渡ります。

天降川

国道沿いには宿や食事処があるようですが、とても静かな温泉街です。木曜日だったからかな。

妙見温泉街

国道を少し上流方向に歩くと、さきほど見えた橋への入り口があったので、渡ってみました。「虹のつりばし」という名前の橋です。橋の上から天降川を見ると、川底まで見えます。

虹のつり橋という橋を渡ってみた

橋を渡ると斎藤茂吉氏の歌碑がありました。ずいぶんとひっそりした場所にあります。

斎藤茂吉氏の歌碑

温泉街に歌碑や神社はわかりますが、こちらの像はなんでしょう?

妙見タイガー???

謎の像の奥には湯の神様が並ぶ神社がありました。

小さな神社

この先は行き止まりだったので、来た道を戻り、少し下流方向に歩くと休憩所のような場所があり、手湯がありました。この手湯の源泉は妙見42号と表記されていました。手湯が噴き出しているところは、赤い析出物がうろこのようについていて、いかにも鉄分が濃い温泉という感じがします。

国道沿いの手湯

アクセス

妙見温泉は鹿児島空港から車で20分くらいです。2600円固定料金のシャトルタクシーが便利です。

鹿児島空港から路線バスを利用する方法もありますが、本数は少ないです。今回は飛行機が1時間ほど遅延し、バスだと飛行機の遅れを待ってくれないと思うので、シャトルタクシーにしておいて良かったです。路線バスの場合は、妙見温泉というバス停が最寄りのバス停です。

妙見温泉バス停が最寄りのバス停

私達はチェックアウト後は鉄道での移動だったため、隼人駅まで同じく2600円のシャトルタクシーを利用しました。宿にお願いすると行きも帰りもタクシーを手配してくれます。シャトルタクシーはPayPayが使えました。

鹿児島方面からだと隼人駅が便利

鉄道マニアの方には、嘉例川駅から肥薩線に乗って隼人駅まで移動する手もありますが、肥薩線の本数が少ないです。肥薩線の全線開通は厳しいけれど、また乗りたい鉄道の一つです。

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まとめ

今回は離れ形式の宿で、他のお客さんの部屋の物音などは一切聞こえませんでした。部屋の内湯も露天も2人で入っても十分な広さがあり、常に源泉かけ流しでいつでもお風呂に入れるのはとても嬉しかったです。他のお客さんも使用するお風呂では湯船の中で顔を洗ったり体をこすったりできませんが、部屋のお風呂ならそれも自由です。クレンジング効果のある温泉を存分に楽しませていただきました。お食事も鹿児島の海の幸、山の幸を使ったお料理で、中井さんが丁寧に説明や取り分けをしてくださり、美味しくいただきました。

お部屋に温泉が出る内湯も露天も水風呂もついていて、お部屋も2間あって広々。食事も良いので、1人3万円しても良さそうな宿と思いましたが、旅割のおかげもあり1人25,000円ほどだったのはかなりおトク感がありました。

妙見温泉は鹿児島空港から近く、美肌の湯の一つ、炭酸水素塩泉が豊富に湧いているが魅力です。2021年にはおりはし旅館よりもう少し天降川の上流にある「石原荘」に1人で宿泊したことがあります。

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妙見温泉、ホントいい温泉です。また来たいと思います。

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