温泉好きの中には日本の秘湯を守る会のスタンプ帳でスタンプを集めている方も多いと思います。期限内にスタンプが10個たまると、スタンプをもらった宿の中から1泊ご招待という特典があります。私もようやくスタンプがたまり、ご招待泊として乳頭温泉の「鶴の湯別館 山の宿」に宿泊してきました。山の宿は鶴の湯の別館と言う位置付けながら、部屋数が少なく、お風呂も貸し切りで、宿泊客しか利用できないので、静かに過ごしたい大人向けの宿だと思います。
山の宿の概要
- 部屋数10室。すべての部屋にトイレ・洗面(洗面というより流し)つき
- Wifiは問題なく使用できる。室内にコンセントがあるので充電も問題ない。客室にテレビはない。
- 大浴場はなく、4つの浴室は貸し切りで使用する。ただし2022年5月現在、1つは使用不可。温泉は鶴の湯の白湯を引いている。
- 食事は食事処の囲炉裏端で食べる。鶴の湯よりボリュームがある
- アルパこまくさからの無料送迎あり
- チェックインは15時、チェックアウトは10時
山の宿の公式サイト
秘湯の会のスタンプ帳
スタンプ帳の有効期限は、最初のスタンプを押してもらってから3年です。3年のうちに10軒の秘湯の宿に泊まってスタンプをもらうと、泊まった宿の中から1つ選んでご招待となるわけです。スタンプはその宿のオリジナリティがあふれるデザインで記念にもなります。
日本の秘湯を守る会の公式サイトはこちらです。
客室
客室はこんな具合にレイアウトされていて、今回は「きはだ」というお部屋でした。前回は隣の「まんさく」でした。客室から温泉に行くには、ぐるっと廊下を歩いて行かなくてはならないのがこの図からもわかります。
お部屋の入り口を入るとこんな感じ。左手に客間が見えています。正面の扉の奥は洗面とお風呂。写真には写っていませんが、右側にやや古いタイプではありますが、洗浄機能付きのトイレがあります。
客間は8畳プラス広縁で一人だと余裕のあるスペースです。
広縁にはロッキングチェアや掘りごたつがあります。2021年3月に宿泊した時には、まだ周辺は雪景色で炬燵が活躍していました。
洗面はこんな感じで、洗面台と言うよりは流しという感じです。ドライヤーも用意があります。
洗面所の一角にはおそらく冷蔵庫だと思いますが、ちょっと変わったタイプの冷蔵庫がありました。
お部屋には保温できるタイプの電気ポットと、お茶のセット、お茶菓子がテーブルに用意されています。お茶は緑茶のお茶っ葉です。
コーヒーカップやコーヒーセットはないので、飲みたい方はドリップバッグとマイコーヒーカップがあると良いでしょう。お茶うけは、鶴の湯の定番のお菓子、もっちりした食感のお饅頭「つるまん」です。
山の中の一軒宿ですが、お部屋で快適にWifiが使用できるのは大変ありがたいです。部屋の中にコンセントもあるので、充電も困りません。テレビはないので、テレビ好きの方は少し時間を持て余すかもしれません。私には静かな空間が大変嬉しい宿なのです。
浴衣、バスタオル、お風呂で使うタオル、歯ブラシ、タオルを入れられるビニール袋なども用意があります。
温泉
お茶を飲んでお菓子を食べて一息ついたら、まずは温泉へ。湯小屋はまだ新しく、食堂脇の通路を渡っていきます。部屋からちょっと離れているのが難です。
大浴場はなく、3つの浴室はいずれも貸切利用です。以前は内湯が2つ、露天が2つの計4つの浴室がありましたが、今は湯量の都合で露天は1つのみとなっていました。お客さんが多いと、3つの浴室がすべて使用中ということもあります。ここまで来ないとお風呂に入れるかどうかがわからないのが少々めんどくさいです。
お湯は「鶴の湯」の白湯を引いていて、白濁のにごり湯を楽しめます。
お湯の温度は私にはやや熱く、長湯することはできませんでした。貸し切り湯しかないので、長湯されると他のお客さんが利用できないので、もしかするとやや熱めの設定なのかもしれません。熱いけれど肌触りが良く湯上り後はすべすべした感じになるお湯です。
露天風呂はこんな感じで屋根がありません。翌日はザーザーぶりの雨だったので、実質使用できる浴室は内湯の2つということになり、さらに混雑度が高まります。
露天風呂は脱衣所から湯船まで数歩歩いて行きます。雪の時期は凍えてしまいますが、湯船につかってしまえば雪見風呂を楽しめるというわけです。
浴室の鍵を置いてある所には、小さな休憩スペースがあり、冷水の用意があります。
廊下を歩いていると窓越しにこんな建物が。以前はこちらが湯小屋だったのだと思います。
泉質
山の宿に源泉はなく、上流にある鶴の湯の白湯を引いています。泉質は「含硫黄-ナトリウム・カルシウム-塩化物・炭酸水素塩温泉(硫化水素型)」です。
源泉の温度が高いので、温度調整のために加水することがありますが、循環や消毒はなく源泉かけ流しで楽しめます。
鶴の湯には白湯以外にも複数の源泉があるので、いろんな泉質を楽しめますが、山の宿の場合は白湯一択です。鶴の湯の温泉も楽しみたい!という方のために、送迎バスを出しています。
乳頭温泉郷では湯めぐり号というバスで鶴の湯をはじめ、乳頭温泉郷内の温泉を巡ることができますが、山の宿は日帰り温泉の対象外なので、こちらの浴室は宿泊者のみの利用です。
お食事
食事は夕食・朝食ともに食事処でいただきます。
広間に囲炉裏が切ってあるスペースと、個室になるお部屋が3部屋ほどありまして、前回も今回も私は個室でいただくことができました。一人旅だからと、配慮していただいたのかもしれません。
夕食
食事は鶴の湯よりもお肉の網焼きなどが追加されていてゴージャスかつボリュームがあります。まずは今回のお品書きから。
最初にこんな感じにお膳に用意されています。
宿泊料がタダなので、何かドリンクでも注文しましょう。
お酒を飲まない人向けには、サイダーや山ぶどうのジュースが良さそうです。私は炭酸が飲みたかったので、似手古サイダーを注文しました。
なお食前酒は青じその甘酒が用意されていました。青じその風味があって美味しくいただきました。
岩魚の塩焼きはすでに囲炉裏の中に刺してあり、メニューが乗っていたお皿にとっていただきます。
鶴の湯の夕食と大きく違うのは、お刺身とお肉の網焼きが出てくるところでしょうか。網焼きは結構ボリュームありました。
本家、鶴の湯の献立
ちなみに2021年4月に鶴の湯に泊まった時のお品書きはこちらです。山菜3種、岩魚の塩焼き、鶴の湯名物の山の芋鍋あたりは共通です。
朝食
朝食は夕食と同じ場所でいただくので、朝食も個室でいただくことができました。あらかじめお膳におかずが用意されていて、お客さんが席につくと、ご飯や一夜干しなどが運ばれてきます。下の写真の左下は目玉焼きですが、もともとは比内地鶏の生卵がお膳にのってきます。「生が苦手な方には目玉焼きにします」とのことで、目玉焼きにしていただきました。
ご覧の通り、夕食・朝食ともに囲炉裏で食材を焼きながらいただきますが、炭火のエネルギーは思いのほか強いです。前回は雪が残る3月、今回は5月でしたが、部屋の中に炭火があると結構暖かいというか暑く感じることも。夏はエアコンがないと、汗かきながらの食事になるかもしれません。
建物や周辺
送迎バスで行くと玄関横づけですが、レンタカーで行く場合はこちらの看板が宿への入り口です。
ちなみに2021年3月に泊まった時はまだこんなに雪がありました。
玄関はこちら。階段をあがってフロントに向かいます。
こちらがフロントです。
フロントからお部屋に向かう廊下が長くのびています。浴室に行くにも長い廊下を歩くので、お部屋から浴室まで案外距離があるのです。
山の宿の近くには水芭蕉園群生地があります。ちょっとだけ咲いていました。
アクセス
鉄道で行く場合、最寄り駅は田沢湖駅です。東京から行くのなら、秋田新幹線で行くのが定番。田沢湖駅からは路線バスで「アルパこまくさ」まで行き、「アルパこまくさ」からは宿の送迎バスで向かいます。路線バスに乗る前に宿に電話しておく必要があります。アルパこまくさまでの間には田沢湖に寄ります。車窓からは秋田駒ケ岳がきれいに見えました。
こちらが「アルパこまくさ」です。
路線バスの時刻表
羽後交通のサイトに時刻表があります。
帰る時の送迎バス時刻
帰りの送迎バスの時刻は2022年5月現在は以下の時刻となっていました。
まとめと関連リンク
山の宿は部屋数が少なく、お風呂は貸し切り利用なので、ほとんど他のお客さんに会うことなく、静かに過ごせるのがとてもお気に入りです。浴室までちょっと距離があり、行ってみないと空いているかどうかがわからないのがネックですが、温泉そのものはとても良いですし、部屋ではWifiが快適に使えるので、お籠りにも良いと思います。秘湯の会のご招待泊は、スタンプを集めた10の宿の中からご招待泊したい宿を選ぶのですが、最初に鶴の湯に電話したら、希望日がもう満室とのことでした。で山の宿に電話して予約をとったのですが、山の宿の方がお値段が良いので、おトクに泊まれた感じがしました。乳頭温泉は大好きなので、またお金を払って泊まりに来たいです。
鶴の湯宿泊記
鶴の湯には3回泊まっています。宿泊記はこちらです。2020年12月の宿泊記ですが、2021年4月に泊まった時の様子も少し紹介しています。
乳頭温泉 妙の湯
乳頭温泉には鶴の湯以外に温泉宿もあります。妙の湯は鶴の湯のような白濁の温泉ではありませんが、違った泉質の温泉を楽しめます。
山の宿に泊まって観光するなら
乳頭温泉の周辺には、田沢湖、秋田駒ケ岳、新幹線に乗れば角館など観光もしやすいです。こちらにまとめました。