静岡からの鉄道旅では、東北の日本海側はなかなか遠い場所です。昨年、羽越線で男鹿半島に行く途中で由利高原鉄道に乗り、猿倉温泉の宿に泊まるプランを立てていたのですが、嵐で羽越線が計画運休となってしまい、前日に行程の変更を余儀なくされ、行くことができませんでした。今回は水田に映る鳥海山の眺めも楽しめる時期に乗車でき、帰りはイベント列車の「おもちゃ列車」に乗車できました。また前回キャンセルしてしまった宿にも泊まることができました。
由利高原鉄道 鳥海山ろく線に初乗車
前日は乳頭温泉に宿泊していたので、田沢湖駅から「こまち」に乗って秋田駅に出て、秋田からは羽越線に乗り羽後本荘駅へやってきました。羽後本荘駅は由利高原鉄道の始発駅です。
ここからは由利高原鉄道に乗って、終点の矢島(『やじま』ではなく『やしま』)駅へ向かいます。矢島駅まで23キロ、約40分の鉄道旅です。
羽後本荘駅の切符売り場で切符を買ったら、硬券でした。翌日また戻ってくるので往復で購入しました。翌日は下車する際に「記念にほしい」と言ったら持ち帰りOKでした。
車内はテーブル付きのボックス席が並んでいて、とてもかわいらしい印象です。この車両はグリーンを基調にしていますが、赤基調、青基調の車両もあります。
羽後本荘駅を出発し、気動車の車両は子吉川を渡ったり沿ったりしながら走ります。
鳥海山ろく線と言うだけあって、車窓からは美しい鳥海山を眺めることができます。私が乗った時期は田植えの直後という感じで、風がなければ逆さ鳥海山が楽しめる時期でした。
40分ほどで終点の矢島駅に到着しました。東北の駅100選に選ばれている駅です。
駅舎の中にはカフェやお土産を売る売店も入っています。矢島駅の売店はまつ子さんという女性がいる名物売店です。まつ子さんは後程登場します。
帰りにおもちゃ列車に乗車
翌日は矢島駅から羽後本荘まで同じ路線を戻ってきたのですが、帰りに乗った列車はイベント列車の「なかよしこよし」に乗ることができました。
子供が楽しめるよう、木材をふんだんに使った車内です。イベント列車らしく、ボックス席やカウンター席以外に、子供用の遊び場も用意されています。由利高原鉄道の車両は5両しかないのですが、思い切ってイベント車両に改装したとのことです。
矢島駅を9時40分に出発する列車は平日でも「まごころ列車」として運行されているようでして、秋田おばこ姿のアテンダントさんが乗車します。この日は「まごころ列車」を「おもちゃ列車」として運行していたわけです。もちろんアテンダントさんも乗車しています。由利高原鉄道についてや沿線の紹介をしてくれたり、写真撮影のお手伝いや記念グッズの販売などを担当してくれました。
定刻になると、矢島駅の名物売店にいらっしゃる「まつ子」さんが手を振ってお見送りしてくれました。
こちらの鉄道車両は運転席横まで行けるので、運転士目線で景色を楽しめます。非電化路線なので架線がなく、のどかなローカル線といった感じで好きです。
昨日は美しい姿を見せていた鳥海山は、この日は暑い雲の中で鳥海山の景色を楽しむことはできないのが残念でしたが、いろいろ名物も教えて頂けました。例えば、この看板。行きには全く気づきませんでしたが、ギネス記録達成を記念したの看板です。2015年に川越工業高校の生徒さんが手作り車両を製作し、単1型乾電池600本を動力にしてこの路線を走らせたのだとか。
こちらの鉄道の名物と言えば、前郷駅で行われるタブレット交換。昔はあちこちの鉄道で行われていたそうで、そういえば子供の頃に乗った鉄道でこういうシーンを見たことがある、なんてことを思い出しながら見ていました。日本の旅客鉄道では4か所だけが残っているとのことです。ちゃんと写真撮影の時間を取ってくれているのが素晴らしい。
あゆかわ駅近くには「鳥海山木のおもちゃ美術館」があります。こちらは小学校の建物を改築したもので、イベント列車通過時には雨でも風でも雪でも、スタッフの方が手を振って下さるのだそうです。こちらの美術館へはあゆかわ駅からシャトルバスが出ているそうです。
アテンダントさんが乗車する列車に乗ると、記念ね乗車証と鉄道のパンフレットもいただけます。
またアテンダントさんがワゴンで記念グッズの販売もしてくれます。せっかくなのでタオルを購入。他には駅名標のキーホルダーや、ドリップバッグ、由利鉄中華そばなども販売していました。少しでも売り上げに貢献できればと、私はタオルを購入しました。
こうしたグッズはWEBでも販売されています。
矢島駅を出発して約40分、羽後本荘駅に到着です。
この列車は折り返しもアテンダントさんが乗務するおばこ列車、この日はおもちゃ列車として矢島駅まで運行されます。
由利高原鉄道の公式サイト
由利高原鉄道の詳しい情報や、イベント列車の走行日なので、公式サイトをご覧ください。
由利高原鉄道のまとめ
1985年に国鉄から第三セクターのローカル線として再出発した路線です。時間帯によっては沿線の小学生や中学生が乗って来ていたので、周辺の住民の皆さんの足として活躍しているようです。無人駅が多いですが、アテンダントさんの話では、地域住民が清掃や花の手入れをされているようで、地元の皆さんの支援も厚い路線なんだな、と思いました。沿線にTDKの工場があり、昨年は売り上げが伸びて今年は新入社員が200人も入ったそうです。
化粧水のような温泉を楽しめる宿に宿泊
由利高原鉄道で矢島駅に到着した後、宿の送迎車で20分ほどの場所にある「フォレスタ鳥海」という温泉ホテルに泊まりました。詳しい宿泊記は別途書ければと思いますので、ここでは簡単にご紹介します。宿のロータリーからは御覧の通り、鳥海山がばっちり見えます。
部屋数は50室で4階建ての建物内の客室はすべて鳥海山ビュー。私は4階のツインルームに泊まりました。
窓からは鳥海山がどーんと見えます。
ホテルなのでお部屋にはバストイレはもちろんありますが、温泉の大浴場があるのでお部屋のバスは使用しませんでした。大浴場は撮影不可なので写真は撮っていませんが、内湯の外に露天があります。どちらも浴槽は広くて、10人くらい入れそうなサイズでした。これだけの大きさになると源泉かけ流しはちょっと難しいようで、循環させており、塩素消毒もありとなっていました。
泉質は「ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉」で、昔で言う重曹泉なので、クレンジング効果がある泉質です。お湯に入ると、ちょっとトロリとした感じで、なるほど化粧水のようだというのもうなずけます。お肌がなめらかになった感じがする温泉でした。
食事は夕食・朝食ともレストランで食べます。夕食は予約の時に洋食のコースか和食化を選択し、朝食はチェックインの時に洋食か和食を選びます。
1人でも泊まれて1泊2食付きで16,500円ほどでした。今回は楽天から予約し、楽天ポイントやらクーポンで1,500円の割引があり、15,000円ほどで泊まれました。
周囲にはコンビニも食事処も全くない、森の中の一軒宿なので、宿で必要なものは事前に購入しておく必要があります。アクセスは由利高原鉄道の終点である矢島駅から無料送迎してくれます。20分くらいで宿まで到着しました。送迎は事前に予約が必要です。宿のパンフレットによると、奥羽本線の横堀駅からも送迎してくれるそうです。
宿の公式サイト
大浴場の様子などは宿の公式サイトをご覧ください。
まとめ
鳥海山を初めて間近に見たのは、おときゅうパスの旅で羽越線に乗った時のこと。本当はこの時に由利高原鉄道もフォレスタ鳥海も行くはずでしたが、計画運休で予定が狂ってしまって、羽後本荘駅は通過してしまいました。この時に車窓から見た鳥海山がとても美しく、是非もう一度見たいと思っていたので、今回は行くことができて良かったです。宿も今まで嵐や緊急事態宣言などで2回もキャンセルしてしまっていて申し訳なく思っていたので、今回は泊まることができてほっとしました。その時の旅行記はこちらです。