別府と言えば温泉。「山は富士、海は瀬戸内、湯は別府」というだけあって、湯量豊富で高温の温泉が湧く別府には別府八湯と言われる通り、いくつかの温泉場があります。その中の一つ明礬温泉では別府の中では貴重なにごり湯が楽しめる地域。にごり湯の温泉に入りたいな~と思っていた私は、ミルキーブルーの温泉が素晴らしい老舗旅館の岡本屋に宿泊しました。本当に素晴らしいお湯と宿だったので、ご紹介します。
まずはチェックイン
それではさっそくチェックインしましょう。チェックインは3時からです。玄関の扉をガラガラガラと開けて、「こんにちは~」というと、奥からスタッフの方がお迎えに来てくれます。
宿帳の記載などはお部屋で行います。部屋の鍵が用意されるまで、玄関あがってすぐのロビーで待ちます。
こちらのロビーには、夜10時まで自由にいただけるコーヒーやハーブティー、紅茶などが用意されています。コーヒーは1杯ずつドリップバッグで淹れるタイプです。ハーブティーは「ジャルダンソバージュ」という種類で、マンゴーの甘みが歩き疲れた体にとてもやさしくしみわたりました。
歴史を感じる木造建築。とても清潔に整えられています。


お部屋
今回は2人泊。用意されたお部屋は、1階のお部屋で一番お風呂に近いお部屋でした。カラリと部屋の玄関を開けて踏み込み、2畳の次の間、8畳の本間、広縁という間取り。2人で泊まるには十分な広さです。
部屋の窓からは高速道路の大きなアーチ橋、別府明礬橋と別府湾を眺められます。明礬温泉は高台にあるので1階のお部屋でも眺望が開けていて良いですね。
部屋の鍵は2本貸していただけました。お風呂に行く時とても便利です。最近はこういう宿が増えたように思います。
お茶のセットはこちら。お茶っ葉は緑茶のみ。お湯はポットで提供されます。夜、お布団を敷いて下さる時に新しいお湯とティーバッグのほうじ茶と緑茶が1つずつに交換してくれます。ほうじ茶は何回か飲みたいので、もう1袋ずつくらいあるとさらに良いのですが。また翌朝は部屋の入り口に熱いお湯が入ったポットが届けられています。
この日はバレンタインデーということで、お茶請けはチョコレートでした!
冷蔵庫には500mlのミネラルウォーターが用意されていました。
広縁にはスタイリッシュな洗面台があります。
出入り口付近にウォシュレットタイプのトイレがついています。トイレのタンクに水をためる部分で手を洗うタイプのトイレですが、できればせいせいと石鹸で洗いたいので、洗面台との距離が近いともっと便利なんですけどね。
でも、洗面台側にもトイレの中にも手をふくためにタオルが用意されているのは嬉しいサービスです。洗面台があっても、手を拭くのはお風呂に持っていくタオルを使うしかない宿もあるので。
浴衣やタオルはこちらです。湯籠というよりはカバン?という感じの布の湯籠が人数分用意されていました。
アメニティは歯ブラシ、ヘアブラシ、男性には髭剃り、女性にはミキモトのクレンジングや洗顔フォーム、ローション、クリームが用意されていました。お部屋にドライヤーがなかったです。お風呂の脱衣所にはドライヤーがあります。フロントに言えば貸してくれるのかもしれませんが、私はお風呂場に近い部屋だったので、特に困りませんでした。
また、宿から徒歩2分くらいの場所にある岡本屋直営店でいただけるサービス券と、その近くにある「明礬地獄」の入場券もお部屋に用意されていました。明礬地獄からは湯気が立ち上る別府の街並みを眺められるので是非訪れてみましょう。
Wifiはpwが部屋に用意され、入力すればサクサクつながります。コンセントも複数個所あり、デジタル機器の充電も問題ありませんでした。
嬉しいのはエアコンが各部屋にあったこと。実は泊まった日は季節外れの暖かさで、日没後も室内が熱く、冷房をかけました。もし集中コントロールだったら眠れないほどの暑さだったのでとても助かりました。
お風呂
部屋で一息ついたら、宿自慢の温泉を堪能しにいきましょう。男女別に内湯と露天風呂があります。入浴可能な時間は、15時から23時と翌朝6時から9時半までです。年を取ると早くに目が覚めることもあるので、5時くらいから入れるとさらに嬉しいですが、宿の方もお休みでしょうからここは我慢! 男女の入れ替えはありません。
脱衣所はそれほど広くはないけれど、部屋数が15部屋なので、それほど混まないのかも。私が泊まったのは金曜日の夜だったので、お客さんは全部で5組。女性は私含めて4人しかいなかったので、お風呂は貸し切り状態でした。
浴室への扉を開けると、硫黄の香りがしてきます。内湯にはヒノキ風呂と岩風呂の2つの浴槽があり、どちらも白濁しています。
岩風呂はやや小さめ。誰か入っていたら遠慮しちゃうくらいの大きさです。内湯の湯温はどちらも42度くらいでしょうか。私にはかなり熱く感じて、のんびりはいるという感じではありませんでした。
内湯は熱くてゆっくり使っていられなかったので、露天風呂に向かいました。内湯のドアから階段を下りていきます。
じゃじゃーん、見事なミルキーブルーのお湯ですよ!! もう感動です。誰も入っていなかった時間帯にいくと、水面にびっしり細かい湯の花が浮いているのも感動でした。
露天風呂の湯温は内湯よりやや低めで、40度くらいでしょうか。私でもゆっくりつかることができました。浴槽も広くて10人入っても大丈夫そうです。湯船に浮いている黄色の物体は「ざぼん」です。ほんのり柑橘類の香りがして癒されました。ざぼん湯は冬限定です。
にごり具合は内湯より勝っています。かなりの白濁度なので、浴槽内の岩は全く見えず、うかつに動き回ると、お湯の中に沈んでいる岩に脛をゴツン、とやってしまいそうです。浴槽内ではゆっくり動きましょう。
ちなみに男湯の露天風呂は女湯よりかなり広いんです。
温泉分析表
温泉分析表は脱衣所の手前に掲示してありました。硫黄の香りがするお湯でpH2.6という酸性の温泉です。酸性の温泉だと、肌がつっぱるような印象があったのですが、岡本屋旅館のお湯はそんなことはなく、むしろ肌がなめらかになるような印象を受けました。メタケイ酸が試料1kg中153mgと多いからなのかもしれません。
シャンプー、石鹸もスゴイ
お湯は噂に違わぬというか、予想以上に素晴らしいお湯ですが、浴室に用意されているシャンプーや石鹸類も高品質で素晴らしかったです。「玉の肌石鹸株式会社」という会社の商品で、シャンプーもコンディショナーも手触りがとてもなめらかでした。旅館の売店で販売していましたが、1本1980円もする高級品でした。
こちらの球体は石鹸なのですが、こちらも泡立ちからなめらかで、顔を洗っても全くつっぱらず、真剣に買って帰ろうかどうしようか迷いました。今回はまだ旅が続くこともあり、荷物を増やしたくなかったので諦めましたが、今度泊まりに行ったら買って帰ると思います。
「玉の肌株式会社」の公式サイトはこちらです。
お食事
温泉宿の楽しみと言えば、お湯と食事ですね。こちらの旅館は夕食・朝食ともに食事処でいただきます。HPによると個室風の食事処もあるようです。
夕食
夕食は18時スタートか、19時スタートのいずれかで、チェックインの時に選択します。食事のコースはいくつか種類があります。今回は「旬魚の姿造り&地獄の兜蒸しプラン」で予約しました。ほかにはフグのプランや豊後牛を味わうプランもあります。
こちらが今夜の御品書きです。
カボスのお酒の食前酒でスタートです。カボスは大分の名産品ですね。食事中の飲み物もカボスのジュースをチョイスしました。


こちらが地元の魚の盛り合わせです。アジやヒラマサなど新鮮なお魚がたっぷり。久しぶりにお刺身らしいお刺身を食べた感じがしました。
こちらは鯛の兜の地獄蒸し。
鯛の頭の部分は上手に食べていくと、魚の形をした骨が出てきます。美味しんぼという漫画で「鯛のタイ」と紹介されていて、ネットで調べると開運グッズなんだとか。鯛の兜を食べる時には「鯛のタイ」を探してみましょう。
お肉は豊後牛ではなかったですが、大分の牛肉のしゃぶしゃぶです。
ご飯の後に出てくるデザートは、岡本屋名物の地獄蒸しプリンです。甘さ控えめで大人の味のプリンでとっても美味しかったです。
朝食
朝食は7時半、8時、8時半の3つの時間帯から選びます。夕食同様、チェックインの際に時間を確認してくれます。品数豊富です。朝食にもお品書きが用意されていました。
温泉卵や自家製豆腐。豆腐の左側の小鉢が「りゅうきゅう」で、もつ煮のような味わいが美味しかったです。
朝食会場には、コーヒーやほうじ茶、牛乳が用意されています。コーヒーはコーヒーマシンで淹れるタイプでした。ロビーのカフェコーナーは翌朝はないので、朝食時にゆっくりコーヒーをいただきました。
アクセス
明礬温泉は高台にあり別府駅からはちょっと距離がありますが、別府駅からは路線バスを利用して行くことができます。別府市内は路線バスが縦横無尽に走っていて行き先も路線もたくさんあるのですが、明礬温泉を通るのは、5番、24番、41番という系統の路線バスです。 3つとも地獄めぐりができる鉄輪地区を経由するので、地獄めぐりをした後に、海地獄前あたりから乗っても良いと思います。バスは亀の井バスです。時刻表も公式サイトで確認できます。
岡本屋の最寄りのバス停は「明礬」または「地蔵湯前」です。「明礬」で降りたら、少し明礬大橋方向に歩いて、別府駅方向の「明礬」バス停を左折したらもう目の前に旅館の門が見えます。
もう一つ「地蔵湯前」というバス停も。
「地蔵湯前」で降りると、そこは岡本屋旅館直営の売店と、明礬地獄があります。宿のお部屋にサービス券があるので、いきなり「地蔵湯前」に来るよりは、一度宿にチェックインして、サービス券を持ってくるのが良いと思います。


「地蔵湯前」からは急な下り坂を下って2~3分です。
まとめ
噂に違わぬ素晴らしい温泉旅館でした。なんと言ってもミルキーブルーのお湯が素晴らしい。部屋数も15部屋は少ないことや、周辺が静かな環境であることも私好みです。
酸性湯にありがちな肌のつっぱり感もなく、とてもまろやかな温泉でした。酸性の湯で私が経験した中では、北海道の釧網線沿いにある「川湯温泉」が強烈な酸性湯(pH1.8!)で、ちょっとした擦り傷があったりすると猛烈にしみたのですが、明礬温泉はそういう刺激はなかったのです。 「川湯温泉」のエントリはこちらです。
岡本屋のスタッフは皆さんプロフェッショナルで気持ちよく滞在できました。館内にはスタッフお手製のノートがあり、 グルメ情報や別府の温泉情報などが紹介されていました。こういう情報は嬉しいですね。
今回は2人で金曜日の夜に泊まり、1泊2食、1人あたり税込み21,150円でした。
また私がいつも温泉宿選びの参考にさせていただいている月山ももさんのエントリによると、一人泊もできるそうです。これは嬉しいですね!
温泉も、スタッフもお料理もすべて良かった岡本屋旅館。絶対また来たい!!と思ったのでした。それでは皆さまも良い旅を~