乗り鉄するようになって3年がたちました。訪れた場所を振り返ると、案外転車台が多いです。車窓の景色はもちろん好きですが、ホームのはじっこに転車台見つけると、実はすごく嬉しいです。転車台とか古いトンネルとか鉄橋とかが好きなんです。私と同じく鉄道遺産的な構造物を愛する人、多いのではないでしょうか。今までの鉄道旅で見かけた転車台をまとめてみました。
転車台とは
転車台は蒸気機関車が種類の時代には欠かせない鉄道設備でした。蒸気機関車は前後が決まっているので、折り返し運転するときには向きを逆転させる必要があります。そのための設備が転車台です。蒸気機関車を乗せて180度方向転換する設備です。今走っている車両のように、運転席が列車の前後両方についている場合は反転する必要ないので、転車台が使用される場面は少なくなりましたが、撤去するにも費用がかかるからなのか、使っていないけれど残っている転車台が各地にあるのです。現役の転車台もうれしいけれど、ひっそりと(時にはほとんど壊れかけて)余生を送っている転車台にも風情を感じてしまうのは私だけではないと思います。
静岡県には現役の転車台が3つある
北海道から順にたどっていこうかと思いましたが、よく考えると私の地元静岡県には現役の転車台が3つもありました。なのでまずは地元の転車台からご紹介します。
天竜浜名湖鉄道
天竜浜名湖鉄道、通称天浜線の天竜二俣駅に実際に活用している転車台があります。しかも扇形車庫まであって、鉄道の歴史を感じられる駅です。転車台に車両を乗せて実際に転回して見せてくれる見学会を毎日開催しています。
天竜二俣駅には古い鉄道遺産が多数あり、博物館に貴重な資料が保存されています。下のお風呂の写真は、蒸気機関車が走っていたころ、すすでまっくろになった鉄道員が汗を流した場所。ほかにも給水塔か残っていたりして、ここがSLの基地だったことがわかります。
天浜線は掛川から浜名湖の西側にある新所原駅を結ぶ路線で、かつては国鉄の二俣線と呼ばれていました。歴史があるだけあって、国の登録有形文化財に指定された駅が多くあります。路線は掛川から乗ると、山里をトコトコ走り、後半は浜名湖を見ながら走るのどかな路線です。非電化なので気動車の音と振動を楽しめるのも魅力ですね。
さらにさらに、天竜二俣駅では、お客さんが列車に乗り込み、車両の洗車機と転車台を車内から体験というツアーもやっています。こちらは土日祝日限定ですが、なかなかないツアーです。先日体験してきたのでこちらにまとめました。
天竜浜名湖鉄道のツアーはこちらの公式サイトからどうぞ。
大井川鉄道 新金谷駅と千頭駅(どちらも現役)
大井川鉄道は通常のダイヤでもSLが走るという全国でも珍しい路線。もしかしてここだけ?SLが走るということは、転車台は出発駅・終点駅に設置されています。
まずは新金谷駅。SLが乗ると迫力ありますね。大井川鉄道はこのSLが毎日走ります。また季節限定でトーマス機関車も走るので、親子連れに人気です。
線路の奥にトーマスがいました。
大井川鉄道は、トーマスやSLも良いですが、他社線で走っていた懐かしの車両が走っているのも楽しいです。こちらは近鉄出身。ほかに南海と東急の車両が走っています。
こちらは南海電鉄出身の車両です。
つづいて新金谷駅を出発したSLや普通列車の終点でもある千頭駅。こちらにもSLの方向転換をするための転車台があります。こちらは新金谷駅の転車台にあった人が乗るような場所がありません。これ、回すのは人力なんだそうです。これもまた見ものです。まだ見たことないので、次回はぜひ見学したいものです。
大井川鉄道のSLは千頭駅までしか走りませんが、大井川鉄道の醍醐味はSLだけではありません。千頭駅からさらに井川線という線路が井川ダムまで続いています。井川線は千頭までの路線よりさらに絶景です。日本で唯一のアプト式の区間もあります。
道路が全く接していない山奥の秘境駅もあれば川底からの高さが日本一の鉄橋もあります。倒木で立ち往生なんていうハプニングにも出くわすこともあったりと、鉄道旅を楽しめる路線なのでぜひ終点まで乗ってみてください。
大井川鉄道の公式サイトはこちらです。
転車台というと、SLがたくさん走っていただろう北海道とか九州をイメージしていましたが、地元に3つも現役転車台があるとは、振り返ってみてびっくりでした。
北海道の転車台
それでは私が訪ねた転車台を北から順にご紹介しましょう。まずは北海道。
小樽の転車台(現役)
現役転車台と書きましたが、小樽市総合博物館の中で走るSL用の転車台なので、通常の路線で活躍しているわけではありません。ちょっと肩透かしみたいですみません。でもちゃんと動くので、現役としました。
小樽市総合博物館は屋外展示のSLが引く客車に乗って、園内を走ることができるんです。入場料は400円とリーズナブル。小樽運河や小樽駅からはちょっと離れていますが、レンタサイクルがあるとアクセスが楽です。レンタサイクルで回った小樽市内の様子はこちらのエントリにまとめました。
本州の転車台(静岡県以外)
本州とひとくくりにしてしまいました。北海道に比べたら面積が広いので、あちこちに転車台が残っています。
上越線水上駅(現役)
水上駅の改札を出て、新潟方向に歩いていくと公園があり、その中に転車台があります。ふだん上越線をSLが走るわけではないのですが、時々観光列車として「SLぐんまみなかみ」が走り、SLに乗るのも楽しみですが、転車台でくるりと回す実演も大変な人気ぶりのようです。その気持ち、すっごくわかります。私なんて、SLに乗るより転車台で回してもらう方がワクワクしてしまうかもしれません。
「SLぐんまみなかみ」については、いつもお得な切符情報や鉄道旅の旅行記を書いていらっしゃるひささんが紹介されています。
信越線・越後トキめき鉄道 直江津駅
直江津駅は越後トキめき鉄道やJR信越線などが乗り入れている主要駅。こういう駅には転車台があるに違いないと、Google mapで確認すると見つかりました。
ちょうど乗り継ぎ時間に歩いて行けそうだったので、実際に見に行ってきました。
ネットで調べてみると、イベントの時などに使用されているようですが、今年のイベント情報では転車台を回します、という催しは入っていませんでした。
上越線 水上駅
上越線では今でも現役のSLが週末などに走っています。水上駅はそのSLの終着・始発駅になり、転車台で今もSLを回しています。つまり現役の転車台です。
水上駅から先、上越湯沢までの区間には歴史あるトンネルや鉄橋、ループ線もあって楽しめます。こちらの旅行記で紹介しています。
只見線
絶景路線で有名な只見線にも転車台がぽつぽつとあります。 こちらは只見線の出発駅の小出駅。上越線の駅でもあります。
続いて只見駅の転車台。本当に車両が乗っかる装置しかないので、ここはもしかして人力転車台なのかも。と思ってネットで検索してみると、本当に人力のようです。
只見線は車窓の景色が美しいことで有名な絶景路線の一つですが、2011年7月の豪雨で橋梁が流されてしまい、今は只見駅と会津川口駅の間は代行バスでの運行です。バスに乗ると、流された橋梁の近くを通ります。復旧に向けた工事が続いていました。
バスで走ってみると、こんに素敵な弧を描いた線路があり、全線開通したら是非乗りに来たいと思います。がんばれ、只見線。
真岡鉄道 茂木駅(現役)
茂木駅は真岡鉄道の終点駅。こちらの路線は時々SLが走るので、茂木駅に到着したところでくるりと回してくれるのでしょう。駅によっては転車台が駅のホームからかなり離れた場所に設置されている駅もありますが、茂木駅は改札から入ると目の前に転車台があります。
真岡駅もストリートビューで見たら道路わきに転車台がありました。
四国の転車台
宇和島駅
子供の頃に毎夏母に連れられて祖父母が住む宇和島に来ていました。鉄道旅を始めたばかりの頃、その宇和島に行ってみようと旅したことがありました。その時に宇和島駅構内の転車台を見つけました。
こちらには扇形車庫も残っていました。
ところで私はこんな所で写真を撮っていて良いのでしょうか?宇和島駅に転車台があることは、Googleの航空写真で知っていたので、近くまで行けるといいな~と思い、てくてくと道路を歩いていたのです。前を歩いていた人がいたのでその人についていったら、あれれ?いつのまにか駅の構内みたい・・・。私みたいな一般人が入っても良いのだろうか、と思いつつ、前の人についていったのです。関係者以外立ち入り禁止という表示はなかったと思うのですが。
気が付いたらもう扇形車庫でした。もうちょっと安全対策しておかないと、子供が迷い込んで、車庫のピットに落っこちたりしないだろうかと、ちょっと心配になりました。
宇和島駅からは予土線を走る列車が出発します。なかなかおもしろい列車が走っています。祖父母が住んでいたのは「伊予宮野下駅」の近くだったので、宇和島から伊予宮野下まで鉄道で向かいました。乗ってみると、河童も乗っていました。
河童の列車の外観はこんな感じ。海洋堂ホビートレインと言います。
伊予宮野下駅、無人駅ですが、なんだか懐かしい景色でした。
宇和島に戻ってくるときには、さらに笑っちゃう外観の車両でした。そう、0系新幹線。こういうデザインの車両を走らせるJR四国、素敵すぎます。一緒に乗ったお客さんが祖父母のことを覚えていてくださり、感動しました。
こちらの車両の中にはこんな模型が展示されていました。
この0系新幹線は、宇和島発の場合は正しい丸い鼻の方が先頭で走っていくのですが、宇和島に戻ってくるときには、逆向きなんです。終点の窪川駅に転車台があれば、双方の駅でくるりと回して、常に丸い鼻を前にして走れるのにね。
この時は宇和島駅と伊予宮野下駅の間のみ乗っただけで、予土線の全線には乗ったことがありません。いつもお得な切符や鉄道旅の情報を読ませていただいているひささんが先日予土線に乗車され、見どころなどをブログにアップされていました。すっごい絶景路線なんですね。これはまた乗りにいかねば!!
九州の転車台
豊後森機関庫
九州もかつてはたくさんのSLが走っていたので、あちこちに転車台があったことでしょう。今でも観光列車としてSL人吉が走るので、現役の転車台もありますが、私が訪ねたこちらの転車台は、鉄道遺産として保存されている転車台です。扇形車庫も一緒に保存されていますが、こちらの車庫は私が見た中では一番大きな車庫でした。大分方面からやってくる観光列車「ゆふいんの森」の右側に扇形車庫が見えます。
こちらは車庫の前にある転車台。
扇形車庫には戦争中の機銃掃射の影響でガラスが割れたり弾痕があったりとかなり生々しいです。
こちらの公園にはミュージアムがあり、そこにもミニSLでしょうか、線路がありその中にミニ転車台がありました。
航空写真から見える転車台
転車台があると嬉しいので、鉄道旅に出る前には、Google mapの航空写真でチェックします。機関庫があるような主要駅周辺を探すと見つかることが多いです。下の写真は北海道の遠軽駅。転車台が写っています。ここならホームから見えるかも。
まとめ
鉄道旅をするまでは、転車台なんていう言葉も知らなかったのですが、一度見つけると興味を持つようになりました。これからも鉄道旅に行く前には航空写真でチェックして、転車台ウオッチングを楽しみたいと思います。