アウトドア用品のパタゴニアというブランド名を聞いたことがある方も多いでしょう。パタゴニアのロゴに描かれている山並みのをご存じですか? こういうやつです。この山並みはパタゴニアにあるフィッツ・ロイを中心とする山並みなんです。フィッツ・ロイはパタゴニアを代表する山なのです。
2025年2月にパタゴニアを訪れた時、このフィッツ・ロイが見える町にも滞在し、ハイキングを楽しんだので、こちらの記事にまとめました。
- ルート40でフィッツ・ロイの麓の町、エル・チャルテンへ
- 燃えるフィッツ・ロイを見に早朝トレッキング
- カプリ湖ハイキング
- 主な山の名前
- ハイキングにおススメのウェア類
- まとめ
- 今回のパタゴニアツアー旅行記へのリンク
ルート40でフィッツ・ロイの麓の町、エル・チャルテンへ
アルゼンチンのエル・チャルテンという町がフィッツ・ロイの麓の町になり、この町から登山もハイキングもスタートします。以下の地図上のマークは私がエル・チャルテンで宿泊したホテルの場所です。エル・チャルテンへは前の宿泊地であるカラファテからバスで向かいました。
カラファテからエルチャルテンへは、アルゼンチンの主要幹線道路の1つ国道40号線(ルート40)を走ります。ルート40の全長は5200km、日本の国土が3000kmなので、アルゼンチンという国土の広大さを感じます。
ラ・レオナ
カラファテからエル・チャルテンまでは220キロあるので、途中何か所かで休憩します。どこのツアーバスも利用する休憩場所が、ラ・レオナというカフェです。入り口にある方向を示す表示の中にはTOKYOもありました。距離は21,041kmと表示されていました。思えば遠くにきたもんだ。
ラ・レオナは映画「明日に向かって撃て」のモデルとなった強盗団が宿泊したホテルとしても有名です。建物の中にはブッチとキッドの強盗団に関する資料も展示されていました。
「明日に向かって撃て」では、ブッチをポール・ニューマンが、キッドをロバート・レッドフォードが演じていました。
カフェのレモンパイが有名とのこと。トッピングの白いフワフワがとてもかわいいです。こちらのショップではクレジットカードでもUSドルでも購入可能でした。
フィッツ・ロイとビエドマ氷河
休憩後、しばらく走ると遠くにフィッツ・ロイの山並みが見えてきました。フィッツ・ロイは標高3405m。天を突きさす針のような山がいくつも連なっているのが印象的です。麓のエル・チャルテンの「チャルテン」は煙を吐く山という意味だそうで、要するにフィッツ・ロイや雲の中のことが多いのです。こんなにくっきりと山の形が見えるのはとてもラッキーです。どうでしょう、パタゴニアのログマークの山並みに見えますか?
上の写真に写っている手前の湖はビエドマ湖で、この先、ルート40を外れて、ビエドマ湖沿いに回り込むルートを通り、目的地のエル・チャルテンの町に向かいます。湖の奥には大きなビエドマ氷河があります。
ズームレンズで寄ってみると、なんとなく湖に面した氷河の最前線らしきものが見えました。
写真家の松井章さんのブログにビエドマ氷河の紹介がありました。とても美しい写真が掲載されていて、フィッツロイの動画も素晴らしいです。
この日は14時くらいまでペリト・モレノ氷河観光をしていて、その後エル・チャルテンに移動しまして、エル・チャルテンのホテルに着いたのは19時くらいでした。
燃えるフィッツ・ロイを見に早朝トレッキング
翌朝、朝日に染まるフィッツ・ロイを見に、ロス・コンドレス(コンドルの丘)トレッキングに参加しました。朝5時半にホテルを出発するので朝食前のアクティビティです。さすがに何も食べずに歩くのは心配だったので、ウィダー・インゼリーを一つお腹にいれて出発しました。英語を話す現地ガイド2名が帯同してくれました。
山道に入ると街灯はなくなり、本当に辺りは真っ暗です(なので登っている時の写真はありません)。下の写真は帰りに撮影した、ロス・コンドレスへのトレッキングルートの入り口です。
こちらの岩の丘の上が目的地です。なのでちょっと標高差のある所を登ります。
添乗員さんからは懐中電灯を持ってくるように指示がありましたので、私はヘッドライトを着用して歩きました。コースは整備されていますが、所々コースのまん中に石があったり段差があったりするので、灯がないとつまずきそうでした。
登り始めて30分くらいでしょうか、丘の上に到着しました。眼下にはエル・チャルテンの町並みが見えます。フィッツ・ロイは山頂付近に雲がありますが、雲に隠れていることが多いという山にしては、見えている方でしょう。
7時近くなり、辺りが見えるようになりました。フィッツ・ロイの山頂は相変わらず雲がかかっていますが、これだけ岩肌が見えていると、モルゲンロートが期待できそう。
東の空が焼けてきました。
フィッツ・ロイも赤くなり始めました。
刻々と色合いが変化していきます。上の写真から4分後です。ほぼピークという感じ。かなり感動です。
コンデジのズームでも撮ってみました。素晴らしい眺めです。
山頂付近に雲がかかっているとは言え、大雨女の私がここまで美しいモルゲンロートを拝めるのは奇跡です。本当に感動しました。
この後は朝ご飯を食べるために来た道を下山し、ホテルに戻りました。
この早朝ハイキングに、私の妹は体調不良で参加しなかったのですが、宿のお部屋からフィッツ・ロイが見えたそうです。
ツアー選びのポイント
燃えるフィッツ・ロイを拝めるのは、麓の町に宿泊するからこそです。他社さんのツアーの中には、カラファテに連泊しながらフィッツ・ロイ近くをハイキングする行程のツアーもありましたが、それでは燃えるフィッツ・ロイを拝めません。エル・チャルテンに宿泊するかどうかは、ツアーを選ぶ時のチェックポイントの1つだと思います。
カプリ湖ハイキング
朝食を食べた後、今度はカプリ湖までハイキングです。モルゲンロートを見に行った時に帯同してくれた女性ガイド2名がカプリ湖ハイキングにも帯同してくれました。
こちらがトレッキングコースの入り口です。
入り口から少し進むとルートが2つに分かれています。私達は左のルートを行きます。LAGUNA CAPRIがこの日の目的地です。SENDEROSはトレイルとか道という意味。


ここから上りになり汗をかくので、衣服を調整するようガイドさんから案内がありました。私が着ていた服装はのちほどご紹介します。
少し上るとエル・チャルテンの町を見下ろせるポイントがありました。
トレッキングルートはこんな感じで乾いた土の道です。パンツの裾や靴が埃だらけになるので、スパッツを持ってくればよかったと思いました。前方に見えている岩山を巻くように登ります。
ルートは林の中を上って行きますが、途中開けた所で休憩。ただ開けている場所は風が強かったです。眼下の川はブエルタス川と言います。
この後も時々休憩を入れながら上って行きます。前半は傾斜が急で息があがります。分岐点にやってきました。登り始めて1時間半くらいでしょうか。
どちらに進んでもカプリ湖に到達できますが、左は傾斜も緩く距離も短いコース、右はちょっと険しく距離が長いですが、フィッツ・ロイの雄姿を眺められる展望台を経由してカプリ湖に向かうコースです。ここまで結構体力を使った感じがしたので、私は左の楽ちんコースを選択しました。
分岐点を過ぎて20分くらい歩くと、目の前にフィッツ・ロイが見えました。ここで一同思い思いに記念撮影です。ここまでくれば目的地のカプリ湖まではあと少し。
カプリ湖に到着です。この日は曇っていて青空でなかったので、ちょっと寒そうな写真です。風もあって湖が波立ってしまい、逆さフィッツ・ロイは拝めませんでした。それでも山容がここまで見えてたら十分でしょう。日本から同行していた添乗員さんは、3度目の正直でフィッツ・ロイを見ることができたと言っていました。
湖畔は風が強かったので、林の中に入ってお弁当を食べました。
来た道を戻ります。このあたりの林には南極ブナが多いようで、これから秋に向けて紅葉するそうです。ブナの表面に生えている髭みたいなのも植物で、日本語だと「サルオガセ」、パタゴニアでは「おじいさんのあごひげ」という名前がついています。空気がきれいな場所でないと生育できないとのこと。深呼吸してたくさんきれいな空気を吸い込みました。
下山中も所々で休憩します。上空にはコンドルが飛んでいました。ルートの近くにある岩山に白いものがついた箇所があるのですが、そこにコンドルがとまって獲物を探したりしているようです。
下山する時には息が上がるようなことはないのですが、足下が結構滑るので踏ん張りながら降りることもあり、足に負担がかかります。私はトレッキングポールを使っていたので足の負担は少なかったのですが、ポールに頼りすぎて手首が腱鞘炎になってしまいました。
YAMAPで記録をとったので、標高差など参考になれば幸いです。
パタゴニア カプリ湖ハイキング-2025-02-17 / ままこさんの活動データ | YAMAP / ヤマップ
往復で5時間ほどかかっています。こうなると心配の種がトイレです。カプリ湖にトイレが2つありましたが、使用した人によれば、とても入る気になれない・・・という状態だそうです。私は幸い帰ってくるまでトイレの必要はなくハイキングを終えることができましたが、用心のため青空トイレができるよう、目隠し用の傘やティッシュ、使用済のテッイシュを入れるゴミ袋を持参すると良いでしょう。
主な山の名前
天を衝く山並みの一番高いのがフィッツ・ロイというのは知っていましたが、その他の岩峰の名前はよくわからず、ガイドさんに教えていただきました。
現地のマップにはもっと細かく山の名前が記されていました。
ハイキングにおススメのウェア類
早朝の朝飯前のトレッキングにしろ、朝食後のカプリ湖ハイキングにしろ、周辺の気温は低くても、上りでは体温があがり、軽く汗をかいたりします。夏とは言え、緯度が高くて、日中でも気温は10℃前後。なので運動すると汗冷えが心配です。総長も丘の上で日の出まで待機だし、カプリ湖ハイキングも湖畔でランチを取る間に冷えてきます。私が着て行ったウェアをご紹介します。
素肌に触れるところは、こちらの汗冷え対策効果が期待できる下着です。ブラもセットになっています。
その上にメリノウール100%のベースレイヤーと呼ばれるウェア。スマートウールとかアイスブレーカーの製品を私は購入しています。1m2あたり何グラムのウールを使用しているかで厚さを表示しているのですが、早朝は250gのものを、カプリ湖ハイキングは汗をかくと思ったので200gのものを着ました。メリノウールは吸湿速乾性に優れ、保温効果も防臭効果もある優秀な素材です。
一番外側にはマムートのソフトシェルと呼ばれているものを着ています。こんな感じのやつです。
活動している時にはこの3枚で動き、停滞中は寒くなってくるので、リュックの中にフリース1枚、ユニクロのコンパクトダウンを入れておき、ランチの時には全部着ていました。現地の季節は夏だけど、日本の冬にハイキングに行く服装で良いと思います。
あとは手袋と首元の温度調節ができるようマフラーをしていました。
まとめ
この日のカプリ湖ハイキングは、ツアー募集時のパンフレットによると、初級ハイキングとなっていて、標高差は約330mとなっていました。普段山を歩いている人なら、標高差330mはイメージがつきますが、そうでない人にはどれくらいのタフさかは見当がつかないと思います。今回のツアー参加者14名の中では私は若い方でした。私より15歳年上の方もいて、カプリ湖ハイキングに参加されましたが、ちょっときつそうでした。歩く速さもまちまちで、どうしても差がついてしまいます。今回は現地の英語を話すガイドさんが2名、日本からの添乗員が1名の計3名がグループをサポートしてくれたので、グループが3つに分かれてしまっても問題なく歩けたのは良かったです。下山してホテルに戻った時間は、最初のグループと最後のグループとでは1時間差がありました。
この日は早朝にも軽いハイキングをした後にメインのカプリ湖ハイキングでトータル3万歩あるき、かなりくたびれましたが、なかなか雄姿を拝めないと聞くフィッツ・ロイを堪能できたのは素晴らしい体験でした。パタゴニアを代表する山の1つなので、大変良い一日となりました。ホント、このツアー、毎日が見どころ満載で楽しめます。
今回のパタゴニアツアー旅行記へのリンク
最初に訪れたのは、アルゼンチン最南端の町、ウシュアイアでした。ウシュアイアでの観光について、2つ記事を書いています。
ウシュアイアの後は国内線の飛行機で1時間ほどのカラファテに1泊し、ペリト・モレノ氷河観光を楽しみました。