2025年2月にアルゼンチンとチリに跨るパタゴニアという地域を旅しました。日本との時差は12時間。全体で14日間のツアーに参加しました。
最初に訪れたのはアルゼンチンの最南端の町ウシュアイア。南緯54度という高緯度に位置していて、かつては本当に世界最南端の町でしたが、2019年5月にチリのプエルト・ウィリアムズという町ができたことで、世界最南端の町はそちらに譲りました。こちらの記事では、ウシュアイアの代表的な観光の一つ、ビーグル水道のクルーズの模様をご紹介します。野生のペンギンを見たのは今回が初めてです。
ビーグル水道はどこにある?
ビーグル水道はウシュアイアの南側の水路で、ビーグル水道のまん中付近がチリとの国境です。そもそもウシュアイアってどこ?という感じかもしれません。以下の地図の通り、アルゼンチン最南端の町です。
ビーグル水道はウシュアイアの南側を通り、太平洋と大西洋をつなぐ水路です。
ダーウィンが1831年から1836年にかけて行った地球一周航海の際の経路だったそうで、ダーウィンが乗っていた船の名前がビーグル号というので、ここから名前が付けられたとのことです。
利用する船
ビーグル水道クルーズはいくつかの会社が運営していて、会社によって船の形やコースが異なります。今回私が乗ったのはペンギンのコロニーがあるペンギン島までを往復する約5時間のクルーズで、こんな双胴船で向かいます。
船は2階建てで2階はVIP席になっていました。私が参加したツアーは2階席でした。VIP席と言っても、びっしり椅子が並んでいて、景色を見たくて窓側に座ると、通路に出るにはいちいち並んで座っている人に立ち上がっていただかなくてはなりません。頻繁に甲板に出たい人は窓側ではなく通路側が良いと思いました。
荷物置き場もないので、お昼のお弁当は適当に座席のせもたれの上に乗せ、リュックは座席の下につっこみました。
もう一つ座席に関しての注意事項は、進行方向とは逆向きにも座席があります。酔いやすい人は進行方向を向いた座席で通路側を選ぶのが良いと思いました。ホントに結構揺れるので、私は乗り物酔い止め薬を服用してから乗船しました。そのせいか船酔いせずに帰ってこられましたが、同じツアー仲間の中では2人ほど辛そうな方がいました。
船にはトイレもついています。またカフェもあるので、ちょっとした飲み物や軽食も購入可能です。
添乗員さんからチケットを受け取り、乗船して出港です。出航時刻は9時でした。


通常はウシュアイアの港を出港し、近い島に立ち寄りながらペンギンのコロニーがあるペンギン島(地図上にはマルティージョ島/Isla Martillo)を目指しますが、この日は午後になると海が荒れる予報だったので、まずは船を飛ばしてペンギン島に向かうことなりました。
クルーズで見られる動物
アホウドリやカモメなど
出航して間もなく観察できたのは海鳥です。カモメみたいなのに加えてアホウドリもいました。写真に撮れている鳥がアホウドリかどうかは自分が見ただけではわかりませんが、こうした海鳥はクルーズ中、ほとのどの場面で観察できる感じでした。
クジラ
デッキに出て前方を見つめていたら、遠くにしぶきが上がるのが見えました。クジラです。まもなく船内にもクジラがいることがアナウンスされました。クジラは今までにも見たことがあるので、私も案内がある前に、自分で見つけることができました。
しぶきが見えると、クジラの体が波の上に上がり、最後に尾が見えます。肉眼でも尾を確認できましたが、その時はカメラが間に合わず、体の一部を撮影できたのみでした。その後もしぶきと背中を見ることはできましたがいずれも遠かったです。
ウミウ
思いがけずクジラが現れたので少し時間をとってしまいました。当初の目的地であるペンギン島に向かいます。
ペンギン島近くの岩の上にはたくさんのウミウがいました。白と黒の色合いなので、遠くから見るとペンギンか?と思いますが、ズームで寄ってみるとウミウでした。
ペンギン
目的地のペンギン島に到着しました。双胴船の前方が波打ち際に乗り上げるような感じで停船しました。波打ち際にも奥の方にもたくさんのペンギンがいます。
ほとんどがマゼランペンギンです。運が良いと違う種類のペンギンがいることもあるようです。
私が参加したツアーは島に上陸しませんが、上陸するツアーもありまして、島の中を歩いている観光客の姿も見えました。ロープが張られた中を歩いている感じがしました。
海に入るペンギンもいます。こちらは動画で。
ガイドさんが教えてくれましたが、ペンギンの中に混ざってやや大型の鳥がいました。私の耳には鳥の名はカウケンコムと聞こえましたが、カタカナでぐぐっても出てきませんでした。
ペンギン島へは船の前方が乗り揚げるような感じで停泊するので、ペンギンを楽しむのなら早めに船の前方の位置を確保しておくと良いです。欧米人が多い船でしたが、皆さん私より背も高く、彼らの背後からだとちょっと見づらいです。最前列を確保しましょう。
オタリア
帰りにエクレルール灯台がある島にも寄りました。こちらは停泊せずに動きながら眺めます。船は右側の人にも左側の人にも島が見えるようにうまく回りながら動いてくれます。こんな場所にあると世界最南端の灯台か?と思いがちですが、そんなことはありません。でも「世界の果てにある灯台」とは言えそうです。
皆さんがカメラを向けているのは灯台ではなく(灯台を撮っている人もいるかもしれませんが)、島の動物を撮っています。奥にいる白と黒の動物はウミウ、手前の茶色の生き物がオタリアです。
こんなものも見えます
世界最南端の町
以前はウシュアイアが世界最南端の町でしたが、2019年5月にビーグル水道の対岸のチリ国内にプエルト・ウィリアムズという町ができたことで、世界最南端の町はプエルト・ウィリアムズになりました。クルーズ中にこの町の沖合いを通過するので、町並みを見ることができます。町の奥にある山がギザギザしてして、パタゴニアの景色という感じがします。
飛行機
ビーグル水道上を飛行してウシュアイアの空港に着陸する航空機や、プエルト・ウィリアムズの空港に着陸する飛行機を見ることができます。フライトレーダーとかで飛んでくる飛行機を捉えておくと、撮影しやすいと思います。
こちらはプエルト・ウィリアムズ空港に着陸する飛行機。
クルーズの注意事項や持ち物など
船酔い対策
行きは海も穏やかで、流れに乗って走行していたのか、あまり揺れませんでしたが、帰りはものすごく揺れました。ときおり2階のなどにも波しぶきがザバーンとかかることもあり、たまたまデッキに出ていた人はびしょ濡れになっていました。それだけ船が揺れると船酔いする人がでてきます。船酔い対策をしましょう。まずは酔い止めの薬を服用すること。現地での購入は言葉がわからないので是非日本から持参してください。酔ってしまうとクルーズそのものを楽しめません。
寒さ対策
2月のウシュアイアは夏ですが、最高気温は10度前後です。海上は風もあり体感温度はもっと下がります。なので寒さ対策は必須。時には波しぶきが飛んできたり、雨が降ることもあるので、一番外側には防水効果のあるアウター、たとえば登山で使うようなカッパがあると良いと思います。カッパだけでは保温性が低いので、カッパの下にダウンやウールなど保温性のある服を着ると良いと思いました。あとはマフラーや手袋で首や手首も保温も効果があります。
カメラ
島にいるペンギンやオタリアは、船がかなり近い距離まで近づいてくれるので、スマホのカメラでも十分撮れますが、海の中にいるクジラや飛んでいる鳥を撮影するとなると、距離があるので高倍率のズーム機能がついたコンデジが便利でした。
まとめ
ウシュアイアという地名も、ビーグル水道という名称も、今回の旅を決めるまでは全く知らない場所でした。2月は現地では夏ですが、とても夏とは思えない気温と冷たい風に驚きました。あまり海が荒れるとクルーズは中止になることもあるようですが、今回無事目的地まで往復できて良かったです。
関連リンク
今回のパタゴニアの旅の記事です。こちらはこの記事で紹介しているウシュアイアのクルーズ以外の観光について書きました。レストラン情報も入っています。
こちらの記事は世界遺産でもあるペリト・モレノ氷河観光の様子です。絶景でした。