昨年開港10周年を迎えた「富士山静岡空港(以下、静岡空港)」は、私が生息する静岡県の空の玄関。静岡県東部に住んでいると、羽田に出るのもそんなに不便ではないので、静岡県に空港が本当に必要なのかしら?と住民の私でさえ思ったけれど、振り返るとすでに5回も使っていました(2020年1月時点)。就航路線が拡大されて、旅のバリエーションも増えたし、昨年はターミナルビルが拡張されて快適性も増し、利用客も順調に伸びているとか。そんな静岡空港をご紹介します。
静岡空港の概略
静岡県の島田市と牧之原市にまたがる空港で、開港は2009年6月。2500mの滑走路が一本あり、国内線・国際線ともに就航路線があります。国内線は、富士山ドリームエアライン(FDA)が、札幌丘珠空港(冬季は運休)、福岡、北九州、鹿児島、出雲に就航。ANAが、札幌千歳空港と那覇に就航しています。
国際線は、中国や韓国の航空会社が就航していて、上海、杭州、台湾、ソウルなどに飛んでいます。
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富士山との距離は?
東西に長い静岡県のほぼまんなかあたりに位置していて、空港から富士山が見えてるのがウリですが、実際見える富士山は結構遠くて、羽田から離陸しても同じような富士山が見えるような気がします。それでも旅行者にとって富士山が見えるのは大きなポイントです。
もちろん晴れていれば離着陸の時にも空からの富士山も楽しめます。
私が静岡空港を利用するメリット
1. 駐車場が無料なので車でのアクセスがしやすい←2020年から一部有料化
私は飛行機を利用する時には、羽田空港を利用することが多いです。移動は新幹線を利用していて、片道1時間半くらいかかります。費用は片道5000円くらい、つまり往復1万円、2人で出かけたら2万円かかります。これは結構な出費です。静岡空港は駐車場が無料なので、2人でマイカーで空港まで行くと、所要時間は変わらないけれど、移動費用が格段に安く行けるのです。
ただし、最近無料駐車場のおかげで車で来る搭乗者と見学者が増えて、年末年始やゴールデンウィークなどは満車になることがでてきました。そんなわけで予約システムがスタートしています。あらかじめ予約しておけば駐車スペースを探してうろうろしなくても良いですね。1泊500円プラス予約料が1回500円かかります。つまり1泊2日で利用すると1000円ということです。私もこの予約を利用しました。駐車場所を探さずとも済むのは助かりますし、予約スペースはターミナルビルの出入り口付近にあるので、移動も楽々です。入庫の際、ネットで予約した時に予約番号に入力が必要なので、予約番号をメモしてから行きましょう。
【2020年8月から一部有料化】
無料駐車場がウリの静岡空港でしたが、混雑する日も増えてきたため、2020年8月からターミナルビルに近いP1とP5駐車場が有料化されました。と言っても1日500円と格安です。予約スペースは引き続き予約可能ですが、2020年は国際線が止まっているので、予約なしの有料スペースはガラガラでした。
2.着陸してから空港を出るまでの時間が超短い
滑走路は一本。飛行機が着陸すると、スルスルとそのままターミナルビルに到着。ボーディングブリッジが接続されてドアが開いてターミナルビルに入ったら、もう出口。あっと言う間に空港の外に出られます。羽田だと滑走路に着陸してから飛行機を降りるまでも時間がかかるし、飛行機を降りた後も巨大なターミナルビル内を延々歩きますが、地方空港ならではの短時間。特に予約制の駐車場に車を停めてあると、着陸してから車に乗るまで10分程度です。
3.九州・出雲へはとても便利
静岡空港を午前中の早い時間に出発する九州、出雲路線は現地に午前中に到着できて便利です。九州に行く場合、静岡県はのぞみが停まらないので、名古屋まで出てからのぞみに乗り換えることになり、博多までは4時間以上かかります。料金は2万円ほどでしょうか。飛行機だと静岡空港から1時間55分で福岡空港に到着し、45日前までの予約で16,200円程度(時間帯や時期によって変動あり)です。料金も所要時間も圧倒的に静岡空港利用が便利。しかも福岡空港へは午前中に2往復、夕方から夜にかけて2往復飛んでいるので、九州の鉄道旅行に行くのにはとても良いフライトスケジュールです。
出雲線の場合、静岡空港を朝8時半に出発し、10時前には出雲空港に到着します。料金は45日前までの予約で片道10,500円というお値段。帰りは、出雲空港を15時過ぎに出発するので、1泊2日でも出雲や松江で十分楽しめます。鉄道で行こうとすると、6時間以上かかり、お値段も18,000円程度かかります。鉄道旅が好きなので、鉄道で行くのも良いのですが、現地での観光メインの場合は飛行機が圧倒的に便利なのです。
静岡空港内の施設
ラウンジ
2019年に空港ビルが拡張された時に、静岡空港にもラウンジができました。静岡空港のラウンジは保安検査を通る前にあります。当日の搭乗券を持っている人が利用できます。利用料は大人1人1,100円ですが、対象となるクレジットカードを持っていると無料で利用できます。駐機場も富士山も見えるなかなかのロケーション。
ラウンジの中は落ち着いた雰囲気です。
ラウンジ内には、コーヒーや静岡茶、ジュース類などの無料のソフトドリンクがある他にスープも提供されていて、寒い冬の朝にはとても嬉しい。
最中も置いてありました。
無料のWifiサービスもあるし、コンセントもあります。
ラウンジは2階のフードコートと保安検査場の間にある通路の奥にあります。
ちょっと奥まっていてわかりづらいかも。そのせいか、いつ行ってもあまり人がいません。
無料の休憩スペース
ラウンジでなくても無料の休憩場所もなかなか快適です。新しく増設されたターミナルビルは明るくて木の素材が使われて温かみを感じます。 保安検査の前にあるので、飛行機の乗らない人も利用できます。
1階のセブンイレブン前にもちょっとした休憩スペースがあります。近くにトイレや喫煙室もあるので、搭乗前後に利用するのに便利。
フードコート
2階にはフードコートがあり、パスタ、浜松餃子、蕎麦などが食べられます。こちらも飛行機に乗らない人も利用できます。
飛行機ウォッチングするのなら
ターミナルビルから滑走路までの距離が短いので、展望デッキからの飛行機までの距離が短く、飛行機ウォッチングも楽しめます。
ターミナルビル屋上
まずはターミナルビルの屋上。飛行機好きな方やお子様連れでにぎわいます。下の写真だとわかりづらいですが、人がたくさんいる場所はガラスの壁です。その左側は金網ですが、ところどころ金網にカメラ穴をあけてくれてあるのが便利です。
親切にこんな時刻表を掲示してくれてあります。開港当初は就航路線が少なくて、見学に来ても飛行機がいない・・・なんてこともありましたが、ずいぶん増えた印象です。午後2時過ぎからはいろんな飛行機が見られそうです。(毎日ではない路線もあるので要注意)
天気が良ければ富士山も見えます。
おススメは石雲院展望デッキ
こちらはターミナルビルから徒歩5分程度のところにある展望デッキで、飛行機を見るために整備されたような場所です。白い建物の向こう側が滑走路です。
滑走路が見えるデッキは、子供が走り回りそうな広いデッキです。
静岡空港は羽田空港のように離発着が多い空港ではないので、次の飛行機の離着陸までは時間が空くことがありますが、休憩室もあるので風があったり寒い日でも待つことができます。
しかも、私が行った時にはお茶のサービスまでありました。すごい!
デッキの目の前は誘導路になっているので、海側から離陸する場合は、目の前を飛行機が通過します。この時は小型飛行機が離陸に向けて誘導路を通っていきました。
機内から見るとこんな距離です。
石雲院展望デッキから着陸してくるANA機を撮ってみました。
結構間近に見ることができ、お子さんだけでなく大人も楽しめる展望デッキだと思います。大きな望遠レンズをつけた方が何人もいました。
お子さんが一緒だとトイレが気になると思いますが、展望デッキの裏手にとてもきれいなトイレが設置されているんです。
駐車場は無料だし、空港ターミナルビル内にはフードコートもあるので、ドライブがてらランチをするついでに飛行機ウォッチング。これで一日遊べそうです。
アクセス方法
マイカーの場合
羽田やセントレアのように鉄道が空港に乗り入れているわけではないのと、駐車場が無料なので、マイカーで行くのが一番簡単です。マイカーの場合は、東名高速なら吉田ICか牧之原IC、新東名なら島田金谷ICが最寄りのインターチェンジで、インターから空港までは15分くらいです。東京方面からなら新東名が途中制限速度が120km/hだったり、道路の幅も広くて快適です。
公共交通機関の場合
飛行機の発着に合わせたシャトルバスの運行もあります。バスの乗車時間が一番短いのは東海道線の島田駅からのバス。25分で空港に到着できます。だいたい航空機の発着に合わせて運行されています。ほかにも藤枝駅、静岡駅からもバスが出ています。いずれも運賃がかかります。
もう一つ、FDAに搭乗される方には掛川駅からは無料のシャトルバスが出ています。乗車の際には搭乗客であることを示せるメールやチケットの提示が必要です。
こんな旅に便利です
沖縄にクジラと飛行機を見に行く
静岡空港から那覇空港へは毎日ANAが飛行機を飛ばしています。静岡空港の出発は13時過ぎで、那覇に到着するのは夕方になりますが、那覇市内に滞在するのであれば、夕飯は那覇で食べることができる時間です。那覇で楽しめるレジャーとして、ホエールウォッチングはいかがでしょうか。私は実際に静岡空港からホエールウォッチングに2泊3日で出かけました。ホエールウォッチングはだいたい4時間くらいのツアーなので、午前中はクジラを、午後は那覇空港近くの瀬長島から飛行機ウォッチングしていました。ゆいレールには日本最南端と最西端の駅もあるので、鉄道好きならゆいレール乗りつぶしも良いですね。公共交通機関で静岡空港まで行き、帰りは静岡空港に戻る必要がなければ、1泊2日にして、夕方の便で羽田に戻る短縮版も可能ですよ。
北海道鉄道旅に行く
ANAが毎日、千歳空港に飛んでいます。が、ANA便は16時前後の出発のため、千歳空港には17時45分くらいの到着です。この時間だとこの日に鉄道旅に出ることはできませんが、札幌駅近くに泊まって翌朝から鉄道旅に出発することはできます。私は札幌駅を7時半に出発する特急宗谷に乗り、日本最北端をめぐる旅を楽しみました。この時は電車と路線バスで静岡空港に行き、帰りは稚内から羽田に戻ってきました。
夏の北海道旅を楽しむ
FDAは千歳空港よりもっと札幌駅に近い丘珠空港に飛んでいます。ただし10月27日から3月末までの冬季は運休です。一方、夏の間、特に7月中旬から9月下旬までは静岡空港を朝9時半に出発する便があり、これに乗るとお昼前には札幌に到着できます。かなり時間が有効に活用でき便利でした。私はこの便を利用して、小樽や積丹半島の絶景を見たり、函館本線の鉄道旅を楽しみました。
九州の鉄道旅を楽しむ
九州も静岡から遠く、のぞみが停車しない静岡の皆さんには飛行機利用のメリットがあります。福岡空港行は朝7時半と9時の便があります。9時の便に乗っても福岡空港には10時55分に到着なので、博多でランチをとってから鉄道旅に出るのも良いですね。私はこの便を利用して日本最西端の駅を訪ねる旅に出ました。帰りは福岡空港を19時前後と20時前後に出発する便があるので、時間を有効に使えます。また北九州空港にも就航していて、帰りは北九州空港から戻るということもできます。
出雲空港を拠点に出雲大社や松江城、足立美術館など島根観光
出雲空港には朝10時前に到着でき、帰り便は15時過ぎに出雲空港を出発するので、1泊2日でも島根県の観光スポットを回ることができます。私は松江城と出雲大社観光に行ってきました。
韓国に出かける
静岡空港からはチェジュ航空が仁川へ飛んでいて、片道5500円なんていうお値段。安い! 韓国にひょいと遊びに行くのも良さそうです。
大井川鉄道とのコラボ企画も楽しそう
鉄道と飛行機両方好きな方にはこんなプランも出ています。これは私も参加してみたいツアーです。
まとめ
というわけで、就航路線が充実してきたおかげで静岡空港を利用するメリットが増えてきました。静岡県外の方には利用する機会はほぼないと思いますが、地方空港の中では頑張っている方ではないでしょうか。新幹線でアクセスしづらい、ANAマイレージ利用がしづらいなど、私にとっては自分勝手な課題もありますが、地元の空港なので、うまく利用していこうと思います。