50歳過ぎると使える大人の休日倶楽部パス(以下「おときゅうパス」)。15,270円でJR東日本の路線に4日間乗り放題。しかも新幹線にも乗れてしまう破格のフリー切符です。しかも6回まで指定席が使えるのも大きなメリット。JR東日本区域には絶景路線あり、温泉ありなので、おときゅうパスを活用して鉄道と温泉の旅に行ってまいりました。
大人の休日倶楽部パス(おときゅうパス)とは
大人の休日倶楽部の会員だけが購入できるフリー切符です。なのでこのパスを手に入れるには大人の休日倶楽部の会員になる必要があり、年会費が2,624円かかります。ただ初年度は年会費無料とのこと。会員になると専用のクレジットカードが届きます。おときゅうパスを含めて会員限定の切符を買うには、この専用クレジットカードが必要です。詳しくはこちらのサイトからどうぞ。
JR東日本の駅でないと買えなくて、しかも出発の前日までに受け取っておかないとならないので、JR東海地域に住む私には使いづらい切符でしたが、今回はたまたま旅行に出る3週間ほど前にJR東日本区域に出かける用事があったので、無事ゲットできたわけです。
※2021年9月以降の大人の休日倶楽部パスはえきねっとで購入し、出発当日に受け取ることができるそうです。
今回利用したおときゅうパスのメリット
今回の旅で活用させてもらったメリットは以下3点。
- 新幹線と特急にも追加料金なしで乗れる
- 6回までなら指定席も可能なので、全席指定のはやぶさ・こまちにも乗れて、変更も可能
- レンタカーの割引がある
上記以外にも駅のコンビニでの割引や、路線限定ですがJRバスの割引もあります。
おときゅうパスについては、いつもお得な切符情報を発信して下さるひささんのブログに購入方法も含めて紹介されています。
絶景路線の五能線に乗車
私が鉄旅を始めて最初に出かけたのがこの五能線でした。絶景路線ランキングでも常に上位にいる路線です。中でもこの路線を走る快速列車「リゾートしらかみ」はJR東日本を代表する観光列車。毎日走っているので、平日に旅をしたい私も乗車できる大変嬉しい列車です。今回は秋田新幹線のこまちに乗って、秋田発のリゾートしらかみに乗車しました。リゾートしらかみは3つの編成があります。初日は青池編成でウェスパ椿山まで移動し、そこで不老ふ死温泉に1泊しました。


絶景路線の観光列車だけあって窓が大きく取られています。下の写真、左右で座席の向きが番うのは、東能代駅で列車の方向が変わるので、空席はあらかじめ車掌さんが方向転換してあるためです。
シートピッチも広いし、前の座席背面部分と、ひじ掛けに内蔵のテーブル、加えてドリンクホルダーもあってとても快適です。頭上とデッキ付近に荷物棚があるので、大きな荷物はそちらへ置くことができます。


車内ではWi-fiが使用できるので、車窓の景色をスマホで撮ってSNSへupするのも楽々です。
リゾートしらかみは全席指定の快速列車なので指定席券が必要です。日本海を眺められるのはA席なので、乗車する場合は早めにA席を取りましょう。私は事前予約サービスでA列を指定して取りました。この日もA列はほぼ満席でした。
リゾートしらかみは4両編成で、2号車以外はこんな感じのクロスシートですが、2号車はコンパートメントなので、グループで利用するならコンパートメントを選択する手もあります。
先頭と最後尾の車両には展望デッキがあります。
展望席には記念スタンプとスタンプ用紙やパンフレットがあります。乗車証明書カードもあって、このカードを持っていくと割引が受けられる施設があるとアナウンスされていました。


各座席にコンセントはないのですが、展望車両にはコンセントの用意がありました。
秋田駅を出発してまもなく、車窓には八郎潟の広大な景色が広がります。この景色はD席側から見えます。
方向転換する東能代駅には転車台が見えたり、キハ40系車両がとまっていました。
東能代駅が五能線の起点駅。ここからがホントの五能線です。あきたしらかみ駅を過ぎると日本海に出ます。A列側の車窓にはゴツゴツした岩の海岸が広がります。景色の良い場所では徐行運転するサービスがありました。
この辺りの線路は草ぼうぼう。線路沿いのせり出している枝と車両がぶつかる音も時々聞こえました。
初日はウェスパ椿山で下車。かなりたくさんお客さんがここで降りました。私も含めてほとんどの人が停車中の2台のバスに吸い込まれました。つまり不老ふ死温泉に泊まるお客さんということです。おときゅうパス期間中ということもあって、皆さん50歳以上とお見受けしました。
翌日はウェスパ椿山から再びリゾートしらかみに乗車しました。今回は橅編成です。リゾートしらかみの車両の中では一番新しい編成です。
橅編成のシートはなかなかカラフルです。
2日目の最初の停車駅の深浦駅では重要な任務があります。それは予約しておいたお弁当を受け取るというものです。


こちらのサービスは「ごのたび」というサービスで、事前にスマホなどでお弁当屋スイーツを注文しておき、指定の駅のホームで受け取れるサービスです。五能線の駅では駅弁の販売などはほぼないので、事前にお弁当を確保しておかないと、おなかが空いちゃうんです。今回注文したお弁当は、深浦牛ハンバーグにセイリング雪人参ビーフシチューソースです。めちゃくちゃ美味しくて大満足。これで税込み1200円。
「ごのたび」についてはこちらのサイトをご覧ください。
深浦駅を過ぎてからもA列側の車窓には日本海の絶景が広がります。この日はお天気にも恵まれました。
海の透明度が高くて、海底の岩まで見ることができます。この日は波も穏やかでした。
やがて列車は千畳敷海岸を通過します。千畳敷海岸も五能線沿線の見どころの一つで、列車によってはここで15分ほど停車し、海岸を歩く時間もあります。前回2016年8月にリゾートしらかみに乗った時は海岸を散策しました。
やがて列車は海岸線を離れます。鯵ヶ沢駅から五所川原駅の間では、先頭の展望車両で津軽三味線のパフォーマンスが披露されました。列車のガタンガタンという音と三味線のテンポ良いリズムがうまくマッチしている感じです。
D列側の車窓にドーンと津軽富士こと岩木山が見えてきました。この日は山頂に雲がかかっていましたが、雄大な裾野を見ることができました。
列車は川部駅に到着。この駅は五能線の終点でもありますが、リゾートしらかみはこの後青森駅まで走ります。
川部駅では方向転換して弘前駅に向かい、弘前駅でもう一度方向転換したのち、川部駅を通過して終点の青森駅に向かいます。私は終点の一つ手前の駅、新青森駅で下車した後、レンタカーで2日目の宿、酸ヶ湯温泉に向かいました。
五能線は普通列車で移動するのも味がありそうですが、本数が少なく時間もかかります。リゾートしらかみは快速扱いで乗車できる快適な列車です。今回の旅も、ひささんのブログで予習してから出かけました。「ごのたび」のサービスもひささんのブログで知り、美味しいお弁当を食べることができました。ひささん、いつもありがとうございます。
以下はJR東日本のリゾートしらかみのサイトです。編成情報や時刻表なども出ています。
前回乗車した時の様子はこちら。前回はアオーネ白神に宿泊し、十二湖を散策しました。
今回宿泊した温泉宿
温泉大好きな私はなるべくなら旅の宿は温泉に泊まりたいと思っています。今回は2泊とも特徴ある温泉が楽しめる宿に泊まりました。どちらも1人旅を受け入れてくれるありがたい宿です。
1泊目: 不老ふ死温泉
こちらの宿は日本海の荒波が打ち寄せる海岸に野趣あふれる露天風呂があるのが特徴です。旅がテーマのテレビ番組でも時々登場します。奥に見えている囲いの中が露天風呂です。湯船は2つあり、片方は混浴、もう一方は女性専用です。湯あみ着も貸してくれます。もちろん内湯もあります。鉄分が多い温泉なので、茶褐色のにごり湯です。
露天風呂は西を向いているので、夕焼けを眺めながらお湯につかりたい方がたくさんいるので、日没の時間帯はとても混み合います。マスクしないで入りますので、混み合う時間はさけたほうが無難と思い、夕日は部屋から眺めました。部屋からの眺めもなかなかです。
今回は一人旅プランだったので、お部屋はシングルだと思っていたら、案内されたのはツインのお部屋でした。バストイレ付きで、一人で使うには十分な広さでありがたかったです。部屋でWi-fiが使用できました。でも空調は個別調整ができないタイプで、窓も網戸がなく、湯上りは蒸し暑く感じました。
食事は夕食・朝食ともに食事処でいただきます。献立はごくごく普通の温泉旅館の献立という感じでした。朝食はビュッフェ形式です。
時間があればもうちょっと詳しい宿泊記を書きたいと思います。今回は広めのツインルームに2食ついて1人13,000円くらいだったので、コスパはまずまずだと思います。詳しくはこちらをどうぞ。
2泊目: 酸ヶ湯温泉
2泊目は新青森駅の駅レンタカーでおときゅうパス割引の車を借りて、酸ヶ湯温泉に向かいました。酸ヶ湯温泉は青森駅からの送迎もあれば、JRバスで向かうこともできますが、八甲田ロープウェイに乗ったり、3日目はガイドツアーに参加したかったので、時間が自由に使えるレンタカーをチョイスしました。24時間利用で7,900円でした。
新青森駅から酸ヶ湯温泉までは1時間くらい。道路は片側1車線で整備されていて走りやすいです。
昨年10月につづいて、今回で2回目の宿泊です。前回はGoToトラベルキャンペーン中だったので、ちょっと高いリニューアルしたてのツインルームに泊まりましたが、今回は湯治棟のトイレ付きの6畳間に宿泊しました。湯治棟なのでお布団は自分で敷きますが、湯沸かし機能付きポットや冷蔵庫があり、Wi-fiも快適で、必要なものはそろっているという印象のお部屋でした。エアコンはないけど、扇風機があったし、窓には網戸がついているので、開けると涼しい風が入ってきました。
酸ヶ湯の魅力はなんといっても温泉が素晴らしいこと。ポスターなどにも登場する名物のヒバ千人風呂は混浴ですが、夜8時から9時と朝の8時から9時の1時間は女性専用になります。もちろん男女別の内湯もあって、どこの湯船も酸性が強いお湯とは思えないなめらかさで、入った後はお肌がすべすべしてとても気持ち良いです。何度でも行きたい温泉です。お風呂の様子は是非公式サイトから御覧ください。
お食事は一般的な温泉旅館料理という感じで、品数も味もまずまず。夕食も朝食も食事処でいただき、朝食はビュッフェです。
トイレ付きの6畳間に泊まって1泊2食で13,000円でした。酸ヶ湯温泉もまた宿泊記を書きたいと思います。
酸ヶ湯温泉付近でハイキング
新青森駅で駅レンタカーをおときゅうパス割引で借りたので、バスの時間に左右されることがなく時間を使えたので、2日目も3日目もハイキングに出かけました。酸ヶ湯温泉に泊まりながら八甲田山に登ったり、湿原を歩いたりとアクティビティも豊富です。
八甲田ロープウェイで行く田茂萢湿原と田茂萢岳
新青森駅から酸ヶ湯温泉に向かう途中に八甲田ロープウェイがあります。この山頂駅付近には田茂萢湿原と田茂萢岳があり、30分コースと60分コースの遊歩道が用意されています。リゾートしらかみを新青森駅で降りたのが13:21でしたが、14:40発のロープウェイに乗れました。
山頂駅最終は16:40発。1時間以上あるので60分コースを歩きました。60分コースには田茂萢岳にもプチ登山です。
この湿原には様々な花も咲いていて気持ち良かったです。




ロープウェイは往復2,000円。始発は9時です。風が強いと運休になることもあるので、詳細はホームページを確認してください。
酸ヶ湯温泉のガイドツアーに参加する
酸ヶ湯温泉では1回2時間程度のガイドツアーが1日に2回実施されています。午前中は9時出発、午後は13時出発で、1回3,500円です。ガイドさんが車で近くの湿原など見どころに案内してくれます。7人限定ですが、空いていれば当日の朝でも申し込み可能です。
今回は、田代平湿原、グダリ沼、水連沼を案内していただきました。ガイドさんと行く方が花の名前など、いろいろ教えていただけるし安心感もあります。


グダリ沼では八甲田山の伏流水が豊富に湧き出していて、沼というより川でした。こちらの湧き水でコーヒーを淹れると美味しいのだとか。一年を通じて水温は7度くらいだそうで、手をつけるととても冷たかったです。


今回はお客さんが私を含めて2人だけのミニツアー。その分時間に余裕があり、サービスにもう一か所、睡蓮沼にも行けました。田代平湿原より標高が高いこともあり、沼の周囲にはまだワタスゲが白い綿毛を揺らしていました。


ガイドさんと行くハイキングはお金を払う価値があると思います。こちらは尾瀬に行った時ですが、プライベートガイドさんと歩きました。とっても良かったですよ。
酸ヶ湯温泉から直接行ける地獄沼とふかし湯
前回酸ヶ湯温泉に宿泊した時には、宿から地獄沼とまんじゅうふかしに散策に出かけました。往復1時間弱くらいと思います。
地獄沼では温泉が湧いていて、熱いところは90度くらいあるそうで、沼の奥では湯気が上がっているのが見えました。
まんじゅうふかしは、蒸気が噴き出す上にベンチを設置し、そこに腰掛けて温まる温泉です。
まとめ
初めておときゅうパスを活用して鉄道旅に出かけました。帰りの新幹線は16時くらいに新青森を出るはやぶさの予約をしてありましたが、お天気がいまいちだったので、予定より2時間早い新幹線で帰ることにしました。「お先にトクだ値スペシャル」だと変更ができませんが、おときゅうパスは席さえ空いていれば予定を変更して指定席を取ることができるのがとても便利でした。今回は絶景の五能線に名湯にもつかれ、ハイキングにも出かけるという大変充実した旅となりました。またおときゅうパスで旅に出たいと思います。