10月も中旬、関東の高所なら紅葉が楽しめるのではないかと、栃木県の那須に2泊2日で出かけました。那須岳はちょうど紅葉が最盛期。初日は那須岳の麓、那須湯本温泉にある「松川屋那須高原ホテル」に宿泊しました。こちらの宿は那須の名湯「鹿の湯」を引いていて、たっぷりの湯の花が舞う温泉を楽しめるのと、有料ですが貸切風呂があり、入る都度真新しいお湯を楽しめるのもウリです。
ホテル概要
松川屋那須高原ホテルは鹿の湯を引く旅館。建物は御覧の通り鉄筋コンクリートの8階建てで、那須湯本温泉の中でも大きな旅館です。しかも湯元温泉街から少し離れた高台にたっているので、高層階からの眺めが期待できます。
大型旅館に見えますが、部屋数は意外と少なくて27室(内2室は特別室)。夕食は部屋食が選べて、貸切風呂が1回使えるプランがあり、その分割高ですが、GoToで宿泊費の割引もあるので、「貸し切り湯1回付き特選とちぎ和牛しゃぶしゃぶプラン夕食はお部屋で」を利用することにしました。通常ですと30,800円ですが、GoTo利用で20,020円。このお値段なら泊まる気になります。
お部屋
今回のお部屋は7階の那須岳の眺望が楽しめるお部屋でした。 客間は10畳+広縁です。角部屋で2方向に窓がある明るいお部屋でした。
広縁側から見るとこんな感じ。
窓の向こうには紅葉の那須岳。高台にある高い建物だからこその景色です。
全室バス・トイレ付きです。那須の名湯、鹿の湯を引く大浴場があるので、お部屋のお風呂は使いませんでした。洗面台は一昔前のデザインで、水栓のレバーが下におろすと水が止まるタイプでした。慣れないうちは水を止めようと思って勢いよくレバーを下げてしまい、周囲に飛び散るほどの水が出てしまうということを何度かやってしまいました。トイレはウォシュレット機能付きです。
洗面台には化粧水と乳液、男性用の整髪剤などが用意されていました。いつもなら部屋の化粧品を使うのですが、コロナ禍になってからは、触らなくて済むものは触らずにいられるよう、化粧品類は持参するようにしています。
広縁にクローゼットがあり、中にはタオルや歯ブラシのセットが入っています。浴衣はチェックインの際にサイズに合う浴衣をいただくシステムでした。あとで交換の手間がなくて良いかも。
床の間の小物入れの中には、裁縫セットの用意がありました。
広縁には冷蔵庫や電気ポット、冷水などもまとめられています。冷蔵庫には冷凍庫機能はありません。以前はボトルが入っていて抜くと課金されるシステムだった冷蔵庫ですが、今は中身はないので、持参のペットボトルなどを冷やしておけます。冷蔵庫にはお茶請けのチーズケーキが冷やしてありました。ポットは保温機能付き電気ポットです。冷水も最初から用意されていました。
お茶はティーバッグのお茶とごぼう茶が一つずつ。ちょっと寂しい感じでした。
お茶請けのお菓子がチーズケーキだったので、持参のコーヒーを淹れてケーキを食べました。インスタントでもコーヒーがあると良いかも、と思いました。
部屋のエアコンは風量調整のみのタイプ。秋口は人によって暑かったり寒かったりするので、本当は個別のエアコンがあると助かります。この時はエアコンなしで暑くも寒くもなかったので、スイッチはオフのままにしていました。部屋の照明はリモコンが使えて、お布団に入りながらオンオフできて便利でした。
女湯は2種類の源泉を楽しめる
大浴場
部屋で一息ついたので、さっそく名湯の誉れ高き「鹿の湯」を引いている大浴場に行きました。大浴場は男女別にあり、それぞれに内湯と露天風呂があります。暖簾の入れ替えはありません。宿のHPによると、男湯は鹿の湯のみで、女湯は鹿の湯と奥の沢源泉のお湯が楽しめるとか。暖簾の入れ替えがないと、ちょっと男性には残念かも。
脱衣所は広々。この日の団体は時間指定で浴室を使用するので、私が行った時には2~3人程度でこの脱衣場。あまり密になることもありません。脱衣籠は鍵付きロッカーとオープンな棚の併用スタイル。設置されているドライヤーを使用する際は、使い捨てタイプのポリ手袋着用を求められました。
さっそく浴室へ。手前が鹿の湯の浴槽、奥が奥の沢の湯の浴槽です。奥の扉の向こうには露天風呂があります。
おおおー、鹿の湯のにごり具合がいいですねー。湯温も熱すぎずゆっくりつかっていられるのも私好みです。
こんこんと注がれる鹿の湯。硫黄(正しくは硫化水素)の匂いもして、お・ん・せ・ん、という感じがします。
隣の浴槽は奥の沢温泉でにごりはありませんが、こちらも硫黄の匂いがするいいお湯です。
こちらは露天風呂。男湯は麓の街が見える絶景風呂のようですが、女湯は塀に囲まれて眺望はありません。でも木々の緑や青空で気持ちが良いです。屋根がないので雨の日はつらいかもしれません。サイズは4人でいっぱい、という感じでしょうか。
露天風呂の湯も白濁していて、湯の花がいっぱい舞っていました。おそらく鹿の湯が注がれているものと思います。
温泉の成分分析表と、温泉の使用状況についての掲示がありました。まずは鹿の湯。pH2.4という酸性の温泉です。でもピリピリとかキシキシする感じは全くなく、なめらかなお湯でした。メタケイ酸が186.9mg/kgと多いからかもしれません。
加水については状況により行う場合はありますが、加水している時には別途表示をするとのこと。加温・循環・消毒なしの源泉かけ流しにこだわりを感じます。
奥の沢温泉の成分表はこちら。こちらは噴気泉とあるので、蒸気を水で冷やして作っている温泉のようです。pHは4.0、いくぶん鹿の湯より酸性度合いがマイルドのようです。メタケイ酸は62.0mg/kgでそれほど多くはありません。
毎回お湯を張り替える貸切風呂
こちらの宿の自慢の一つは、お客さんが入る都度お湯を張り替える貸切風呂ではないでしょうか。手間がかかるので当然有料ですが、貸切風呂利用料込みのプランがあり、今回はGoToの恩恵もあり、貸切風呂利用付きのプランで申し込みました。予約すると、宿からお電話があり、時間を予約します。到着した日のみ利用可能でした。フロントで鍵を借りて入るスタイル。浴室は〇の湯と一の湯という2つあります。
お湯は奥の沢の噴気泉が注がれています。温水、冷水のバルブがあるので、自分で湯温の調整ができますが、特に加水の必要がない温度に調整されていました。
お食事
夕食
食事は温泉宿に滞在する際の楽しみの一つ。今回は夕食は部屋食をチョイスできたので、他の人に会わずに済ませる部屋食にし、かつ栃木牛のしゃぶしゃぶプランをお願いしました。ほかにもすきやきプランもありました。てっきり固形燃料の個別の鍋の中身が栃木牛なんだと思っていたら、卓上コンロと大きな鍋が出て来てびっくり。このサイズのことだったんですね。鍋以外は温かいお料理と冷たいお料理をそれぞれ木箱に入れて一度に提供してくれます。
せっかくGoToでクーポン券が5000円分出るので、何か食事の時に飲み物でも、と思ったのですが、お酒を飲まない私の選択肢は、コーラやウーロン茶などメニューが寂しい。この地域のフレッシュジュースとか、ノンアルコールのカクテルとかあると、間違いなく頼んでしまうので、是非ドリンクメニューに加えてほしいものです。
ということで、食前酒とお茶で夕食をいただきました。
朝食
朝食はステージ付きの宴会場のような場所でいただきました。お隣との席の間隔は十分あいていて、コーヒーやお茶はスタッフが運んでくるシステムでした。お料理は小皿に盛り付けられて、木箱の中に入っています。前日の夕食も木箱に入って出てきましたから、これがこちらの宿のスタイルなんでしょうね。
食事会場は今一つ・・・
食事は美味しくいただいたのですが、食事場所の環境が一人旅には今一つでした。上の写真のはじっこに脱いだスリッパが見えます。私の席は、宴会場の出入り口に一番近い場所でした。こういう場所は人の出入りが常に視界に入り、落ち着かないんです。ペアだとお互いの会話に夢中になっていたり、少なくとも自分の目線は料理と相手がいるのですが、一人旅の場合は、料理に向き合うのみ。部屋のはじっこで人の動きがない場所にしてくださったり、衝立を置いていただける宿もあるので、一人旅向けにそうした工夫がされているともっと良かったと思います。この状況だったので、夕食は部屋食にしておいて良かったと思いました。
アクセス
東京からのアクセスなら東北新幹線で那須塩原駅に向かい、駅からは関東バスの路線バスのロープーウェイ行きで向かうのが楽チン。1時間に1本くらいの頻度です。駅前から出るバスは複数あるので、間違えないようにしましょう。
宿の最寄りのバス停は那須湯本温泉というバス停です。那須湯本温泉に宿泊する人は、事前に宿に申し出ておくと、駅からのバス代が無料になります。那須塩原駅でバスに乗車する際、運転手に宿名と自分の名前を伝えると、乗車票をもらえます。これで好きな場所で下車できます。
ただ、一日に1回しか使えないので、再乗車する時には有料です。私は宿に行く前に那須岳のロープーウェイに乗りたかったので、那須塩原駅からロープーウェイまでをこちらの乗車票で乗り、ロープーウェイから那須湯本温泉までは自腹で乗りました。那須岳ロープーウェイは紅葉が見ごろでとてもきれいでした。簡単に標高の高いところまで行けるのでおススメです。
那須湯本温泉のバス停は、観光案内所の目の前にあります。
バス停からは観光案内所裏手の坂道を上ること3分程度。距離にして200mくらいです。私はリュックなので気になりませんが、キャスター付きのスーツケースだと、200mでもちょっと面倒かもしれないです。かといって、タクシーに乗るような距離でもないんですよ。
周辺の散策
鹿の湯
那須の名湯、鹿の湯を日帰りで楽しめる施設があります。 人の心理として、ハイキングなどの汗を流したくて温泉に入りたくなるでしょうから、午後は混んでいるだろうと予測して、朝、チェックアウトしてからすぐ行ってみたら空いていました。那須湯本温泉バス停から階段を下りてすぐです。
こちらの記事で紹介しています。
殺生石
ちょっと怖い名称の観光スポットです。 九尾の狐の伝説があり、芭蕉もこの石を見るためにこの地を訪れているのだそうです。殺伐とした光景が広がり、硫化水素の匂いが漂います。
九尾の狐伝説の殺生石。
宿からは徒歩10分くらいなので、朝の散歩にちょうど良かったです。で行ってきました。殺生石の入り口は特にゲートもないので、早朝でも歩くことができます。
殺生石入り口には那須のデザインマンホールもありました。
宿から殺生石に向かう途中には、温泉神社や足湯もあります。
まとめ
那須湯本温泉には初めて行きましたが、東京から近い、那須岳も近くてロープーウェイも楽しめる、温泉はにごり湯で硫黄の香がする温泉らしい温泉で楽しめました。周辺にはつり橋もいくつかあって、のんびりハイキングを楽しめるコースもあるようです。
今回宿泊した「松川屋那須高原ホテル」は、那須湯本温泉の中では大きな宿だと思います。その分スタッフも多くて、滞在は快適でした。ただ、小学生の修学旅行と鉢合わせ。団体も宿泊する宿です。那須湯本温泉には、ほかにも一人旅を受け入れてくれる宿はあるので、また他の宿にも泊まってお気に入りの宿を見つけたいと思います。
この界隈は那須湯本温泉だけでなく、もうちょっと標高の高い場所には大湯温泉があり、そちらも気になるところです。