10月になると紅葉を楽しむ旅に行きたくなる私が今年チョイスしたのは、「立山黒部アルペンルート」です。今までにも何度かルート上にある黒部ダムや大観峰には行ったことがありますが、いつもマイカーでアクセスしていたので、どこかで引き返して車まで戻る必要がありました(※)。そんなわけでまだ一度も立山黒部アルペンルートを通り抜けたことがありません。そこで今回は車を気にせず、立山黒部アルペンルートをすべて通り抜けられるよう鉄道でアクセスすることにしました。ところが静岡から鉄道でアクセスするのは結構やっかい。また出発の1週間ほど前に台風19号で中央本線と北陸新幹線に不通区間ができてしまいました。いろいろと考えなくてはならないことがあったので、ブログにまとめました。
※マイカーの回送サービスを利用したり、通り抜けた後に駐車場まで戻るプランナらが車でアクセスしても通り抜けは可能です。
- 考えたことその1: 長野から入るか、富山から入るか?
- 考えたことその2: 日帰りか、宿泊か?
- 考えたことその3: 意外に不便。どの路線で信濃大町に向かうか?
- 考えたことその4: 台風で「あずさ」が運休。どうやって信濃大町まで行く?
- 考えたことその5: 北陸新幹線が不通で米原迂回。途中下車はできるの?
- まとめ
考えたことその1: 長野から入るか、富山から入るか?
新幹線で楽に帰ってきたいので長野から入る
立山黒部アルペンルートは黒部ダムを挟んで、富山県と長野県を結ぶルートです。どちら側から入るかをまず最初に考えました。旅には疲労がつきものなので、帰りは楽に帰ってこられるのが良いと考えました。長野から入り、帰りは北陸新幹線でサーっと帰ってこられるルートを選びました。富山側から入り、長野側に抜けるルートだと、帰りは大糸線の信濃大町から鉄道を利用することになりますが、大糸線はそれほど本数が多い路線ではありません。アルペンルートを訪れるお客さんが多いと、アルペンルート内の移動に予定外に時間がかかり、大糸線の列車に乗り遅れたりすると、そのあとの特急にものれず時間がかかって疲れ果てることもありえます。北陸新幹線なら1本乗り遅れても1時間後には新幹線があるので、この点からも長野から入り帰りは北陸新幹線の方が私には安心なのでした。
アルペンルート内の乗り物などの情報はこちらのオフィシャルガイドをご覧ください。
考えたことその2: 日帰りか、宿泊か?
立山黒部アルペンルートは日帰りで通り抜けることもできるのですが、日帰りだとホントに通り抜けるだけになってしまい、絶景ポイントをゆっくり楽しむことはできません。そんなわけで私は迷わず宿泊で計画しました。このルート上には何か所か宿があるのですが、私は室堂の早朝の散歩をしてみたかったので、宿泊場所は室堂に限られます。何かのトラブルで室堂駅到着が日没後でも確実に宿に行けるよう、室堂駅直結の「ホテル立山」に宿泊しました。
標高2450mの高所にあるこのホテルはお値段も高いのですが、早朝の静かな室堂は是非体験してほしいです。
こんな高地にあるのに夕食のフルコースは本当に素晴らしい食事でした。
ちなみに今回の旅ではホテル立山に一泊した後、宇奈月温泉にも泊まり、全体としては2泊3日の旅にしています。
考えたことその3: 意外に不便。どの路線で信濃大町に向かうか?
静岡県東部在住なのに名古屋出発をチョイス
アルペンルートに長野側から入り、室堂に宿泊するために私が選んだ鉄道ルートは、名古屋を朝8時に出発する特急「ワイドビューしなの3号」に乗り、松本で「あずさ3号」に乗り換えて信濃大町に向かう、というルートでした。「あずさ3号」は大糸線に直通運転していて、信濃大町に行くには便利な特急です。静岡県民がこの「あずさ3号」に乗るには、新宿から乗るか、八王子から乗るか、甲府から乗るか、松本から乗るかなのですが、新宿・八王子・甲府ともに朝が早すぎてちょっと難しいんですね。その結果、松本で乗り継ぐことにしたのですが、そのためには名古屋から「ワイドビューしなの3号」に乗ることになりました。静岡県東部に生息する私にとって、この鉄道ルートは名古屋に移動する費用に加えて、前泊が必要になるので、とても高くつきます。けれど仕事が終わった後に前泊地に向かう場合は、あまり遅い時間に前泊地に着きたくないので、名古屋に前泊するプランを選びました。もう一つ、中央西線にも乗ってみたかったのもこのルートを選んだ理由です。
身延線経由だと時間が厳しい
静岡県民にとっては富士駅から身延線で甲府に出て、甲府から特急「あずさ3号」に乗り継いで信濃大町を目指した方が距離が短く安いのですが、甲府で「あずさ3号」に乗るには、甲府駅に9時くらいに着かないとなりません。そうなると富士駅を5:19発という大変朝早い普通列車で移動することになってしまいます。
一方、富士駅から特急「ふじかわ1号」を利用すると、甲府着は10:30です。甲府から松本まで特急「あずさ」を利用しても、松本から先の大糸線が普通列車となり、信濃大町着が13:15になってしまいます。日没が早いこの時期、これでは信濃大町から先が慌ただしい。黒部ダムや大観峰での景色を楽しむ時間が短くなってしまい、なんのために立山黒部アルペンルートに行くのかわからなくなってしまいます。
長野に前泊というプランもある
名古屋まで新幹線で移動して前泊するなら、長野に前泊するという手もあります。今回は金曜日に仕事が終わった後に前泊地に向かうプランでした。仕事が終わってから長野まで移動しようとすると、名古屋に行くより1時間以上余計にかかります。その分翌日の移動は楽ですが、前泊地には8時過ぎくらいには着きたかったので、名古屋ルートにしたわけです。
考えたことその4: 台風で「あずさ」が運休。どうやって信濃大町まで行く?
名古屋から「ワイドビューしなの3号」で出発し、松本で大糸線直通の「あずさ3号」に乗り換える予定だったのですが、台風であずさが運休という事態に。「あずさ3号」に乗れないと、11:20に松本駅を出る普通列車しかなく、これでは信濃大町着は12:15です。ところがそんな時に救いの神。「ワイドビューしなの81号」という臨時の特急が走っていました。通常の「しなの」は松本からは篠ノ井線を走り長野に向かいますが、「ワイドビューしなの81号」はありがたいことに大糸線を走ります。これで11:23に信濃大町に到着できました。
だったら名古屋を出発する時に「しなの3号」じゃなくて、最初から「しなの81号」に乗れば松本での乗り換え不要だったのですが、「しなの3号」の前面展望席を取ってあったので、これを手放したくなかったのです。そんなわけで「ワイドビューしなの」で松本に到着し、再び後続の「ワイドビューしなの」に乗るという、ちょっと間抜けな乗り継ぎになってしまいました。「ワイドビューしなの3号」の前面展望席は1号車1番C席・D席です。グリーン車なのでグリーン料金がかかりますが、前面展望席は運転士視線が楽しめてよかったです。
考えたことその5: 北陸新幹線が不通で米原迂回。途中下車はできるの?
帰りは北陸新幹線で東京に出てから静岡方面に戻る予定で、黒部宇奈月温泉から東京までの特急券と乗車券は出発前に用意してありましたが、台風19号の影響で、北陸新幹線は上越妙高と長野の間が不通となってしまいました。JR西日本のサイトによると、北陸新幹線(東京方面)に有効な乗車券類をすでに持っている人は、①北陸本線で米原経由②直江津から上越新幹線③富山から高山本線経由で東京まで行けると出ていました。
私は有効な乗車券類を持っている人だったので、米原経由で静岡方面に戻るルートをチョイス。ただ気になったのは、新富士駅で途中下車できるのだろうか?ということ。なぜなら、もし台風被害がなかったら、北陸新幹線で東京に出た後、さらに新富士駅までの運賃と新幹線の特急券が必要です。米原経由で新富士駅で途中下車できれば、東京から新富士までの追加料金は不要になります。そんなうまい話があるのか、すごく疑問でした。黒部宇奈月温泉駅で聞いてみると、あっさり「切符の有効期間内なら途中下車できますよ」とのこと。係の人が切符に「米原迂回」と書いてくれました。
試しに金沢駅で改札の外に出てみましたが、問題なく出ることができました。金沢駅はまだ一度も来たことがなかったので、立派な門に感動。
金沢からは特急「しらさぎ」で米原に出た後は、東海道新幹線に乗り換えましたが、同じルートをたどり人が大勢いたようで、乗り換え口はごった返していました。私のような迂回ルートの切符は自動改札を通れません。間違って自動改札に投入されると困るせいか、米原駅の乗り換え口は、自動改札のゲートをオープンにしたままで、すべての乗客が自動改札に切符を投入しないで通過する措置をとっていました。米原駅のホーム上はかなりの混雑。たぶん珍しい光景だったと思います。
米原経由は予定より時間がかかってしまったけれど、なかなかできない体験ができました。
まとめ
初めて鉄道で立山黒部アルペンルートに向かい、アルペンルートすべてを通り抜けました。鉄道で行くのは意外に不便なんだということがわかりましたが、絶景ルートなのでアルペンルートにはまた出かけてみたいと思います。今回はあまりお天気が良くなくて、紅葉も絶景も半分くらいしか楽しめなかったので、また行きたいと思いますが、鉄道で行くか、車で出かけるか、通り抜けるか途中で引き返すコースにするか、いろいろと悩んで考えてプランニングを楽しもうと思います。
紅葉を楽しむ鉄道旅としては、昨年出かけた鳴子峡は素晴らしかったです。
このブログをupする頃には北陸新幹線の不通区間は解消されると思います。車両に大きな被害があったので、通常ダイヤに戻るには時間がかかるでしょうけれど、一日も早く元通りになることを祈るばかりです。