中山道の古い宿場町が保存されている、馬籠・妻籠・奈良井を旅してきました。馬籠は岐阜県、妻籠と奈良井は長野県に位置します。馬籠と妻籠の間は8キロほどで、バスでも移動できますが、私は昔の旅人気分になって歩いてみました。
8キロだと3時間もあれば歩ける距離ですが、すっごく険しい山道だったらどうしよう・・・などと心配で、途中で一泊するプランにしました。
結果として、馬籠から妻籠は難しい場所もなく、途中で宿泊する必要はない感じでしたが、一泊したことで日程に余裕ができ、妻籠の後、奈良井の宿場町にも寄ることができました。
この旅は2024年4月上旬に出かけています。記事内の値段や公共交通機関の時刻などは、2024年4月時点のものです。
中津川駅からバスで馬籠に向かう時の注意点
馬籠と妻籠の間を歩くには、馬籠から妻籠に向かう方が上りの距離が短くて楽ちんです。馬籠に行くには、JR中央線の中津川駅前から路線バスで行くのが便利。私は中津川駅発9時10分のバスに乗ることにしました。
バスはとても混雑する
前日に観光案内所でバスのことを聞くと「とても混む」こと。私が乗車した日は平日でしたが、とても混んでいて1台には乗り切れず、臨時便が出ました。
私は中津川に前泊しましたが、名古屋から当日の朝、鉄道で来る人が大勢いるだろうと予想できたので、その列車が到着する前にバス乗り場に行くことにしました。バスの出発の20分前に並んで前から5番目くらい。私の後ろにはズラリと行列ができ、ほとんど欧米人。日本人は私含めて4人くらいでした。
バスは普通の路線バスなので、座席の数は多くはありません。私は前から5番目だったので、座席を確保できましたが、車内は立っている人もたくさんいました。
支払いは現金のみ
バスの支払いは現金のみです。570円なんて言う中途半端な料金なので、ぴったり持っていない人は、降車の時に1人ひとり両替することになります。なので後ろの方に乗っていると、ちっともバスから降りられません。バス会社もそういう事情を分かっているようで、バス乗り場に並んでいるお客さんに切符を売っていました。ここまで外国人が増えているのなら、馬籠に向かうバスだけでも良いので、タッチ決済の機械を導入してほしいと思いました。
早めに並んで前の方の座席を確保がおススメ
馬籠までは30分くらい乗ります。後半は山道をクネクネと上って行くので、荷物を持って車内で立ったまま乗っているのはちょっとかったるいです。人数がまとまるならタクシーという手もあります。バスで行くなら、名古屋からの列車が到着する前にバス乗り場に並び、乗ったら前方の座席を確保しましょう。
馬籠から妻籠へ
馬籠でバスを降りると、トイレなどがあるのでトイレを済ませて歩き始めます。
いきなりかなりの急勾配。
上り坂はきついけれど、タイムスリップしたかのような街並みが素敵です。外国人が押し寄せるのも分かる気がします。
荷物を預けて身軽になって峠越え
馬籠から妻籠までは8キロくらい。私の背中のリュックには2泊3日分の荷物が入っています。この荷物をかついで峠を越えるのは大変なので、荷物運搬サービスを利用しました。荷物1個1000円です。
馬籠宿の観光案内所に荷物を預けると妻籠または大妻籠まで荷物を運搬してくれます。私は大妻籠に泊まるのですが、宿泊先が手荷物の取扱所になっていました。
観光案内所も欧米人でごった返していました。いままで日本の観光地はアジア系の観光客をたくさん見かけましたが、ここまで欧米人が多いことにびっくり。
完歩証明書も販売
馬籠と妻籠の間を歩く方には記念になる完歩証明書を観光案内所で販売しています。購入すると馬籠のスタンプを押したものを渡されるので、妻籠についたら妻籠の観光案内所で提出し、妻籠のスタンプをもらいます。
ややきつい坂を上って馬籠峠に向かう
馬籠から妻籠に向かう場合、馬籠の宿場町から馬籠峠までがちょっと急こう配の上り坂です。
陣馬というところまで上がってきました。バス停があり、馬籠から妻籠まで本数は少ないですが路線バスがあります。私もこの日が雨だったらバスにしようと思っていました。
陣馬からもまだまだ上り坂が続きます。
下の写真の石段の上は展望台です。
展望台を過ぎると民家はなくなります。
熊注意なんていう看板も。観光案内所では熊鈴の貸し出しもやっていました。私はマイ熊鈴を持参していましたが、前後にそこそこ歩いている人がいて、話し声もしていたので熊鈴は鳴らさずに歩きました。
林の中の中山道。前を行くおじさんは珍しく日本人。反対側から来る人たちは全員外国人。
時々道路に出て、現実に戻りますが、でもまたすぐに江戸時代の入り口へ。
道路から外れるとまた山道に。木曽路はすべて山の中って感じがします。
馬籠宿の陣馬から30分くらい歩いてきたら、十返舎一九の歌碑がある休憩所がありました。座る場所もあるし、トイレもあるのでここで休憩です。けっこうキツイ坂も上がってきたので、4月上旬の山の中でも汗をかきました。所々にこうしたトイレ付きの休憩スポットがあって助かります。
下の地図、県道を歩いていますが、実際に歩いたのは旧中山道という道です。
十返舎一九の歌碑がある休憩所から先には集落がありました。この辺りもタイムスリップしたままの感じで、有形文化財の建物もありました。すぐ隣には県道も通っていて、馬籠から妻籠に向かう路線バスのバス停もあります。
さぁ、馬籠峠まではあと一息。「止まれ」の標識の先、県道に出ると長野県との県境が馬籠峠です。
長野県との県境を越える馬籠峠。
馬籠峠に到着です。勾配はきついけれど、距離は長くないので頑張れました。ここから先はゆるやかな下り基調です。
馬籠の宿場町から馬籠峠までの上りを避けたい場合は、路線バスで馬籠峠まで来て、この先だけ歩くということも可能です。
馬籠峠からは下り基調
馬籠峠から妻籠へは基本下り基調なので、呼吸がずいぶん助かります。でも長い下りは膝に来るので要注意です。
馬籠峠から妻籠まで5.5キロの表示ですが、私はこの日は妻籠より手前の大妻籠に泊まるので、たぶんあと3~4キロくらいと思います。
九十九折を下りて行きます。
緑の中を歩くのは森林浴にもなります。
峠から15分くらい歩くと、前方に休憩ポイントが見えてきました。こちらは一石栃立場茶屋と言って、無料でお茶のサービスがありました。馬籠峠からの距離は1キロくらいです。
建物の中には管理人のおじさんがいて、この辺りの情報なども教えてくれます。ここでは少し日本人を見かけましたが、大半が外国人でした。アジア系の方も見かけました。
建物の中には囲炉裏もあって、海外からのお客さんは囲炉裏の周りにすわって記念撮影を楽しんでいました。
一息ついて、トイレをお借りして、ハイキング再開。
時々県道にも出て現実に引き戻されます。この先の旧中山道は工事中で、県道を迂回します。
やがて馬籠から妻籠へのルートのハイライトでもある、男滝女滝に到着です。
滝に向かって右側が女滝です。
こちらは男滝。滝の落差や幅が女滝よりも大きいです。
男滝は吉川英治氏の作品「宮本武蔵」の中にも登場する滝です。
さらに妻籠方面に向けて進みます。途中舗装路に出たと思ったら、民家の横の細い通路を通ったりしながら進みます。
さらに進むと、昔ながらの石畳の中山道です。
斜面をクネクネと蛇行しながら標高を下げていきます。ここを江戸時代の旅人が行きかい、あの和宮様の行列もこの道を通って江戸へ下ったのかと思うと、感慨深いものがありました。
林の中の中山道が一区切り。大妻籠の街並みが見えてきました。
馬籠から大妻籠までは3時間ほどで歩けました。これなら大妻籠に宿泊せずに一気に妻籠まで行ける感じがします。
YAMAPの記録
馬籠から大妻籠までのハイキングはYAMAPでも記録しました。後半ログが飛んでしまったところもありますが、こちらが記録です。
馬籠から大妻籠のウォーキング-2024-04-05 / ままこさんの活動データ | YAMAP / ヤマップ
大妻籠にて
ランチ
10時頃に馬籠を出てお昼を食べずに大妻籠まで来てしまいました。13時なのでまだ宿のチェックインもできませんから、とりあえずお昼を食べることにしました。大妻籠の看板の向こう側のお蕎麦屋さんに入りました。
いただきます。
宿泊は波奈屋さん
大妻籠では波奈屋さんという宿にお世話になりました。
一人でも泊めてもらえます、というよりは、ほとんどが一人客で私以外は皆さん海外からのお客さんでした。
妻籠へ
波奈屋さんで朝食を食べた後、宿をチェックアウトして歩いて妻籠に向かいます。雨が降っていたらバスで移動しようかとも思いましたが、私が行った時期は11時過ぎにならないとバスがないのと、幸いお天気は良かったので8時半頃宿をチェックアウトして歩き始めました。
道路に出たり渓流を渡ったり。
一部工事中の箇所があり、県道を歩きました。花の奥には発電所があります。発電所とこちら側の間に蘭川が流れていて、工事が行われていなければ、川の向こう側の旧中山道を歩きます。
蘭川を橋で渡ったら、妻籠の宿場町です。宿を出てから30分くらいでここまで歩いてきました。
妻籠宿
妻籠宿は長野県南木曽町にあります。江戸と京都を結ぶ中山道69次のうち江戸から数えて42番目の宿場町です。地域全体を挙げて町並みの保存に取り組んでいて、カフェや宿や以外の普通の住宅と思われる建物も、タイムスリップしたかのような古い町並みに溶け込んでいました。
朝9時くらいなので、まだあまり人がいませんが、カフェなどはオープンしていました。静かでとても良いです。
郵便局も町並みにマッチした建物です。
妻籠の観光案内所でいただくもの
郵便局の隣には観光案内所があります。私は馬籠の観光案内所で完歩証明書を購入していたので、こちらで提出して妻籠のスタンプもいただきました。
妻籠の観光案内所ではマンホールカードを配布していますので、私はもちろんいただきました。
宿場の中にはおやつを食べられるカフェもたくさんあります。歩き始めてまだ30分ほどですが、さっそくおやつタイム。
エネルギーを補充してまた歩きます。
町並みにマッチしたポスト。確かに赤いポストだと古い町並みには合わないかも。
水車のある風景は人気の撮影スポット。
こちらは高札場。いわゆる掲示板で、いろいろなお触れがここで住民に案内されていたのでしょう。ここまでが宿場町という感じでした。
途中、あんまり見学もせずに歩いてきてしまい、宿場町に入ってからここまで休憩も入れて1時間ほどでした。この後、11時21分発の路線バスに乗るのですが、予定より早すぎて、少し宿場町の中の休憩所で座っていました。
バスで南木曽駅へ
高札場からちょっと戻り、こちらの表示からバス停方向に下りて行きます。
バス乗り場にはコインロッカーがあったのですが、片方のロッカーは1回300円なのに、もう一方のロッカーは100円入れるけど戻ります、というロッカーでした。この金額の差はなんで?支援金事業だからかな。
JR南木曽駅まではバスで10分くらい。距離は4kmくらいなので、歩いてしまう方もいます。私はこの日は2泊3日の荷物を全部背負っていたので、歩かずにバスにしたわけです。
奈良井宿
南木曽駅から満員電車で奈良井駅へ
南木曽駅からは中央線の普通列車で奈良井駅に移動しました。奈良井にも妻籠のような古い宿場町があるのです。
この列車、満員電車でした。土曜日で青春18きっぷの期間中ということも影響していたかも。乗客の半分は外国人でした。ちょっとびっくりです。
南木曽駅から奈良井駅までは1時間くらい乗ります。立ちっぱなしだとちょっとつらいかも。ここまでインバウンド客が多いのであれば、奈良井駅にも特急を止めて、妻籠や奈良井を巡る観光客には特急に乗ってもらう方が良いのでは?と思いました。
奈良井駅にて
奈良井駅はイベントの時などを除き、基本的には普通列車しか停車しない駅ですが、降りる人もたくさんいれば、乗ってくるお客さんも行列していてびっくりしました。下の写真はまだ序の口、列車が来る頃には、跨線橋の階段のところまで行列ができていました。
奈良井駅はJR東海の駅の中では一番標高が高い場所にあるそうです。
奈良井宿は駅から徒歩3分
馬籠と妻籠は駅から距離がありましたが、奈良井の宿場町は奈良井駅のすぐ隣にあり、鉄道でのアクセスがとても便利です。歩き始めてすぐに江戸時代にタイムスリップできました。
馬籠の宿場は急な坂道沿いにありましたが、奈良井はほぼ平坦です。
こちらは旅館の伊勢屋さん。奈良井の宿場で宿泊するのならこちらを予約しようと思っていました。外国人の家族連れがここに入って行きました。
さて、もう13時を過ぎていますが、まだお昼を食べていなかったので、こちらの相模屋さんでお蕎麦をいただきました。今回の旅に出てからは毎食お蕎麦を食べています。
ざるそばと五平餅のセットを注文しました。
お蕎麦も五平餅も大変美味しくいただきました。
続いてカフェ探し。宿場の奥の方にある「いずみや」さんに寄りたかったのですが、「5組お待ちいただいています」ということで断念。人気があるのですね。土曜日に来たのは失敗でした。
ということで別のカフェでおやつタイムしました。
旅のプランニング
馬籠から妻籠・奈良井は1泊2日ですが、この度は全体としては2泊3日でした。旅の初日は明知鉄道の寒天列車を楽しみました。明知鉄道の沿線にも古い町並みが残されていて、街歩きを楽しめます。
寒天列車に乗った後は、恵那駅から中央線で中津川駅まで移動して宿泊しています。宿泊したのは駅から徒歩7分くらいの場所にあるOnnという宿です。夕食付のプランはないですが、宿周辺に食事処がたくさんあって困りません。内装が新しく快適な宿でした。ここも外国人がほとんどでした。
宿泊記はこちらです。
一筆書きルート
乗車ルートとしては、静岡から名古屋に出て、名古屋から中央線。馬籠・妻籠を歩いた後は、再び中央線で塩尻に出て塩尻からは特急あずさに乗り、甲府から特急富士川で静岡に戻る、という一筆書きルートです。
マンホールカード3枚ゲット
今回の旅ではマンホールカードを全部で3枚頂きました。
まとめ
どの宿場町も古い町並みをきれいに保存していていました。住んでいる方にはご苦労もあるかと思いますが、素晴らしい観光資源だと思います。どの宿場町も、宿場町に向かうバスも鉄道も、外国人観光客であふれていてびっくりしました。特に欧米人が多く、すでに東京・京都・広島・長崎などの有名観光地は訪問済みという方には人気があるようです。日本人だって、馬籠や妻籠がどこにあるか知らない人もいるのに、皆さんよく探して来るなと感心しました。受け入れる宿も飲食店も英語で案内を出したり、クレジットカードのタッチ決済が使えたりと、私の地元よりもずっと進んでいる感じがしました。
奈良井の駅には観光協会のスタッフでしょうか、駅員ではない方がいて、この方が日本語も英語も流暢で、海外からのお客さんに丁寧に説明していて驚きました。私の地元は富士山が近いので海外からのお客さんが来ますが、最寄り駅にここまで英語で説明できるスタッフがいるかしら?と思ったり。観光を日本の重要な産業にしていくのであれば、受け入れる側の準備も整えて行かないといけないなと思いました。
JR東海にお願いしたいこと
奈良井駅に停車する普通列車はワンマン運転で、乗り降りできるのは1両目の出入り口だけです。乗降客が多く外国人も多いので、奈良井駅には駅員さんを配置して、すべてのドアから乗り降りできるようにしてほしいです。
もう一つ、土日だけとか青春18きっぷの期間中とかだけでも良いので、特急を停車するようにしてほしいです。特急列車が奈良井に停車してくれれば、観光客は特急に、地元の人は普通列車に乗ると思うので、地元の人にもメリットがあると思います。JR東海さん、是非ご検討下さい。
にほんブログ村 |
にほんブログ村 |
---|