2024年3月にエジプトを旅しました。行き帰りも含めて10日間の行程のうち、3泊4日はナイル川クルーズです。ナイル川にはクルーズ船がたくさんありまして、私たちのツアーが利用したのはアカマル号(ACAMAR号)というデラックスクラスのクルーズ船でした。日本からのツアーの利用もちょくちょくあるようなので、乗船記をまとめました。
ナイル川クルーズはアスワンとルクソールの間で運行されていて、私たちはアスワンからルクソールに向かうコースに乗船しました。この場合、船は川を北に向かって下って行きます。
定員は140名ほどの船ですが、今回は全部で30人くらいしか乗客がおらず、船のスタッフはその倍ほどいて、船のどのスペースにいても混雑とは無縁で、たいへんのびのびと静かに快適な船旅ができました。
チェックイン
あれ? アカマル号じゃないじゃん、思われるかもしれません。実は何隻もクルーズ船が並んで停泊していて、自分が乗る船まで、並んで停泊している船のロビーを抜けて行くのでした。
アカマル号の客室
チェックインは添乗員さんと現地ガイドさんがしてくれてあるので、カードキーを受け取り、各自でお部屋に向かいます。私のお部屋は207号室で、2階のお部屋でした。こんな感じでビジホよりも広く、昨年乗船したにっぽん丸のデラックスルームくらいの広さはある感じです。ベランダはありません。
窓側から入り口方向を見るとこんな感じです。テレビの下にカウンターと引き出しがあり、着る物や化粧品などよく使うものを収納できて大変便利でした。ベッドサイドにもテレビの下にもコンセントがあり、スマホやデジカメの充電は問題なくできました。
毎日ルームメイクが入り、こんな具合にベッドスローをアレンジしてくれることも。添乗員さんからはチップはまとめて払うので、毎日のチップは不要ですということだったので、私たちはルームメイクのためのチップは置きませんでした。
カウンターの下にはスリッパの用意がありました。海外のホテルにはスリッパがない所も多いので、私はcrocsのサンダルを持参しています。スリッパだと客室の外には出られませんが、サンダルなら問題ありません。でも最終日はサンダルもスーツケースにしまってしまうので、その時にはスリッパを使わせていただきました。
ミニバーコーナーにはケトル、サービスのお水、インスタントコーヒーと、下には冷蔵庫もあります。ボトルのお水は初日のみ大きなボトルが用意されていますが、その後は500mlのボトルが補充されます。お水以外はスナック類も含めて有料です。インスタントコーヒーはちょっと味気ないので、持参したドリップバッグでコーヒーを飲みました。
バスタブは広くはないけど、158センチの私だと手足を伸ばしては入りませんが、それでも日本から持参したバブを入れて温まることはできます。シャワーをはね飛ばさないように入るのは、ちょっと難しかったです。トイレの上の棚にドライヤー用意がありました。風量もありましたよ。
タオルはバスタオル、フェイスタオル、ハンドタイルの3種類で毎日交換してくれます。体を洗うための手につけるミトンみたいなのがありましたが、私は海外に行く時には温泉旅館でもらえる手ぬぐいを持って行きます。
クルーズ船のトイレもトイレットペーパーは流せず、便器横のボックスに捨てます。公衆トイレと違って、家族の分しかゴミ箱には入っていないというのはちょっと安心できます。
クルーズ中は午前の観光の後、一度船に戻ってランチを取り、午後再び観光に出る、という感じでちょくちょくお部屋に戻ります。自分たち専用のトイレや洗面台があり、ベッドに横になれるのもありがたかったです。
Wifiは部屋では使えない
船にWifiの設備はありますが、パブリックスペースでのみ使用可能ですが、速度はあまり期待できません。私は船のWifiではなく、Docomoの海外対応プランを活用していました。
3連泊なので洗濯しよう
ここまでカイロで1泊、アブシンベルに1泊と毎日ホテルを移動していましたが、やっと連泊となりました。なのでチェックインして夕方の観光に出るまでの時間に洗濯しました。バスルームに洗濯用のロープがあるし、小さなハンガーは室内の引き出しのとってに引っ掛けることもできます。船内は乾燥しているので、1日干しておけばだいたい乾きます。洗濯前提の旅なので、着るものはなるべく速乾性の素材の衣料が良いでしょう。私はモンベルのウイックロンのTシャツが多いです。
パブリックスペース
船は5階建てで、フロントは1階にあり、その下の階にはレストラン、最上階はサンデッキになっています。
サンデッキ
クルーズ船の最上階にはプールやベッドなどリラックスできるサンデッキになっています。
プールの周りは日よけ付きのベッドがぐるりと囲んでいますが、半分より前はテーブルとイスがあり、こちらはしっかり屋根がついています。船が移動中はナイル川を渡る風があり、強烈な陽射しは遮られてなかなか快適でした。
ロビー
フロントの前はロビーエリア。ツアーの集合場所もこちらで待ち合わせ。外から戻ってくると、船のスタッフがロビーに冷たいおしぼりとハイビスカスジュースなどを用意してくれました。ロビー階は川面に近く、大きな窓からはナイル川が良く見えます。
ロビー中央は吹き抜けになっています。これは外洋のクルーズ船なんかも似たような造りだと思いました。ロビーの一つ上の階にもテーブルやチェアが用意されたパブリックスペースがあります。
ラウンジ
こちらはラウンジ。ロビーと同じフロアにあります。バーカウンターもあるので、頼めばお酒も出てくるのかもしれませんが、私は頼まなかったので正確なところはわかりません。
夜はこちらでガラベイヤパーティなどの催し物が開かれます。3泊しましたが3晩とも異なるパーティーだったりショーが開催されました。
ショップではガラベイヤを購入
3階にはショップがあり、船内で開かれるガラベイヤパーティー用の衣装を購入できます。服だけでなく頭の飾りとかスカーフ類もセット、とか言われて結局一人6000円くらい購入してしまった。クレジットカードが使えます。
ガラベイヤパーティは必ずしもガラベイヤでなくても良いのですが、こういうのについついお金をつかってしまいます。購入したけど結局体調が良くなくて、パーティには参加しなかったのよね。
ジムやスパもある
3階にはジムとスパもありました。毎日観光に出かけるので利用しなかったので中の様子はわかりませんが、ジムの方はガラス越しにランニングマシンみたいなものが並んでいるのが見えました。
お食事はかなり充実して日本人の口に合う
私が参加したツアーでは、クルーズ船で旅している時には、朝・昼・晩すべての食事をクルーズ船内のレストランでいただきました。
朝食
日本人のツアーが利用する時だけだと思いますが、3回の朝食のうち、2回は日本食を作ってくれるシェフ(日本人ではなく現地の人)が乗船していて、日本のお米のご飯やみそ汁、卵焼きやつけものなど和食も提供されました。和食が用意されるのは日本人のツアー客のテーブルのみでした。
テーブルに用意されている日本食以外はビュッフェスタイルです。30人しかお客さんが乗っていないのに、メニュー豊富でした。卵料理はオムレツやスクランブルなど、お客さんの注文に応じてその場で調理してくれます。
ハムとチーズやサラダバー。ほとんどホテルのレストランと同じレベル。写真撮っていませんが、ヨーグルトの用意もありました。
夕食
夕食はセットメニューでの提供で、朝食の時にオーダーを取りました。スープ・サラダ・前菜・メイン・デザートそれぞれ2~3種類あるので、肉がダメとか魚は苦手、といった方でも選択の幅があり良かったです。
以下は最後のディナーのメニューです。
翌朝はチェックアウトして下船するためなのか、過去2回のディナーよりレストランの中の照明が落としてあり、なんちゃってロウソクがテーブルに灯ります。船は火事が怖いから、本物のロウソクは使わないのだと思います。
ツアー客が揃うとお料理がサーブされてきます。
こちらは前菜で、ボイルした緑豆のシトラスガーリックマリネ。
メインはビーフのフィレをチョイスしました。ちょっとイメージしていたフィレとは異なり、ちょっとかたかったです。
旦那さんはアヒルの胸肉をチョイスしていました。
メインの後はデザートがでます。コーヒー・紅茶を頼みたい場合は有料でした。3ドルくらい。
昼食
昼食もビュッフェのことが多く、フルーツやサラダ、メインのお肉や魚料理にデザートまで種類豊富に並んでいました。
フルーツやデザートも盛りだくさんで、しかも美味しいし、おなかを壊すこともなかった。
飲み物はお酒を飲まない私達夫婦はジュースが中心で4ドルくらい。私はレモンのジュースがお気に入りで、時々イチゴのジュースもいただきました。
ライムグリーンのような飲み物は私のお気に入りのレモンジュース。
必見ポイントその1: エスナの水門通過
アスワンでお昼ごろ乗船したクルーズ船は、深夜アスワンを出港してナイル川を北に向かって下って行きます。翌日の昼頃エスナの水門を通過しました。この水門の前後で川の水の高さが異なり、クルーズ船は水門のエレベータの仕組みを活用して、高低差を乗り越えます。クルーズ船の目玉の一つです。
クルーズ船のスケジュールによっては暗くなってから通過することもあるそうですが、私たちはこの日の一番乗りで日中の明るい時間に通過することができ、しかも通常ならば2隻が同時に水門内に入るのですが、私たちの船だけだったので、前後両方の水門の動きを見ることができました。
エドナを出発してルクソールへ向かう途中、前方にダムの堤が見えてきました。
このダムの前後には高低差はないので、左端に設けられている船の通り道をそのまま通過します。といっても幅がギリギリ。船員がロープを投げていました。
最初の水門を抜けて次の水門に向かいます。上空から見るとこんな感じです。
次の水門が見えてきました。この水門の上流側と下流側では高低差があります。
前方(下流側)の水門は閉じています。
開いていた後方(上流側)の水門が閉じられます。水門の中は上流側の水位と同じ高さです。通常はもう一隻水門内に入って2隻この作業が行われるので、前後どちらか一方の水門の動きしか見えないそうですが、この日は私達だけでした。
後ろの水門が閉まると、水門内の水を抜いて行きます。船の位置が下がって行くので、左側の船員さんのロープの傾きがだんだんときつくなっていくのがわかります。
下流側の水門が開きます。
高低差を越えて、水門の下流側に出ました。
水門を通過した後、だんだんと夕暮れが近づいてきました。
日が落ちる前にエスナの水門を通過できて本当に良かったです。
必見ポイントその2: 物売り
クルーズ船が航行している間に、いつのまにか小舟が近づき、クルーズ船にどうやってロープをくくりつけるのかわかりませんが、小舟がクルーズ船にくっついて物売りが始まります。客室にはベランダがないので、こちらの写真は部屋の窓からのぞいてみたところです。
彼らは盛んに上に向かって声を上げます。サンデッキにいるお客さんに呼びかけていたので、物見遊山にデッキに行ってみました。
デッキの人が顔を出すと、品物を見せます。デッキの人はたいして関心を示すわけではないのですが、物売りは複数の品物をまるめた形で、船からポーンとデッキまで放り投げてきます。デッキの人は気に入った品物があれば、その品物だけ抜き取り、残りの品物の中にお金を詰めて船に投げ返す、というのが売買の手順のようでした。仮に投げ返した商品が川に落ちちゃっても、あまり問題にはならないらしいです。
デッキから投げ返す時は、小舟の的が小さくて、物売りの人たちがキャッチすると拍手が起きたりして。この船、140人乗りだけど30人しか乗っていないから、あんまりよい商売にはならないと思うけど。
ラマダン中で物売りも疲れたのか、クルーズ船に引っ張られながらお昼寝していました。よく川に落ちないものだと感心しました。
この物売りの皆さん、お昼前からこちらのクルーズ船に同行していて、最後日暮れ前にエスナの水門を通過するまでくっついていました。水門前ではクルーズ船が速度を落とすこともあり、似たような船が何艘もいました。下の写真の右下にも、敷物をお客さんに見せてアピールしている小舟がいます。
この人たちがこの商売だけで生計をたてているのか、クルーズ船向けのアトラクションぽい位置付けなのかはわかりませんでしたが、エジプトはどの観光地に行っても、観光客に寄ってくる物売りが多くて閉口しました。
ファルーカ
アスワンから乗船してランチを取った後、夕方からは帆に受ける風のみで動くファルーカという船に乗りました。こういう船です。
クルーズ船が連なって停泊しているところからの出発で、どうやって沖に出るのかと思ったら、たまたま隣にいたエンジン付きのボートに引っ張ってもらえて、難なくナイル川に出ることができました。
船の上では船長?さんが、タンバリンを叩きながら歌と踊りを披露。乗客も一緒に踊りました。その後船内の台のカバーが取られて、そこには民芸品が・・・。うーん、ここでも商売か、と思ったのでした。誰も何も買いませんでした。
まとめ
ナイルクルーズはとても良かったです。デラックスクラスのクルーズ船だったこともあり、サービスもよく、お部屋もそんなに狭さを感じさせない快適な船旅でした。海のクルーズに比べて川の場合はほとんど船が揺れないので船酔いの心配もありません。お料理も珍しいスパイスが使われていて口に合わない、なんてことなく、いつも美味しくいただけました。
アスワンとルクソールの間は直線距離だと200キロないくらい、ナイル川が蛇行しているので航行距離はもうちょっとあると思いますが、そんなにびっくりするほど遠くはありません。そこを3泊4日かけて船で移動するので、かなり余裕のある行程で、還暦過ぎの夫婦には大変体力的に助かりました。
ガイドさんによると乗船する船によってずいぶんと設備やサービスに差があるようですが、今回のツアーで利用したアカマル号はたいへん良い船でした。
関連リンク
今回の旅でカイロ到着後にカイロ市内を観光しています。
エジプト到着2日目はアブシンベル神殿の観光でした。アブシンベル神殿からアスワンに戻り、こちらのクルーズ船にチェックインしています。