県境を越える移動がまだ自粛されている時期、温泉にのんびりつかりたいと静岡県内の旅行をプランニング。第一弾は寸又峡温泉を訪ねました。
第二弾はホントに近場の修善寺温泉。宿泊したのは老舗旅館の「新井旅館」です。鉄道でも行けますが、コロナ対策も考えて今回もマイカーでお出かけ。我が家からだと高速を使わなくても1時間ほどで行けて交通費が安く済む分、ちょっと奮発して準特別室というのにお泊りしたのでご紹介します。
重要文化財指定の建物
新井旅館の創業は明治5年。宿の公式HPによれば、開業当初は「養気館新井」という名称だったそうです。歴史ある宿によくあるたくさんの建物がだんだんと建築されていった宿で、ほとんどの建物が重要文化財の指定を受けています。なかでも有名なのはロビーから客室へ向かう時に渡る「渡り橋」。床に渡された木と木の間に隙間があるのは、池を泳ぐ鯉が見えるようにとのこと。
床に渡された木と木の間に隙間があるのは、池を泳ぐ鯉が見えるようにとのこと。
そしてこの渡り橋を渡るたびに、池の鯉が私に寄ってくるのです。これがまたかわいいねー。
渡り橋を渡った先の廊下もステキ。窓ガラスには一点の曇りもなくピカピカに磨き上げられているところも素晴らしいです。
もう一つ、新井旅館の外からも見えるシンボルと言えば、こちらの塔。
古い木造建築にとても魅力を感じてしまう私は、以前から気になっていた宿だったのですが、車で1時間の距離の温泉に宿泊という機会が今までなかったのです。今回はちょっとしたお祝い事もあり、こんな時でもないと近場の温泉にお泊りということもないので思い切って宿泊してみました。
客室
新井旅館には31のお部屋があり、お庭に面したお部屋や、桂川に面したお部屋などいろいろな種類・広さのお部屋が用意されています。今回チョイスしたのは、池に面した準特別室です。木造建築の霧の棟の1Fにあるお部屋でした。
入り口を入ると、まず4畳ほどの次の間があり、その奥に10畳の本間があります。その奥には池に面して縁側もあります。
縁側の方から入り口方向を見るとこんな感じ。さすが準特別室、広いです。
実はこちらのお部屋はもう一つ4畳ほどのお部屋があり、そこにはクローゼットがありました。奥のふすまの先にあるのはトイレへのドアです。
部屋からの眺望
このお部屋の魅力はなんと言っても縁側からの池の眺めです。
渡り廊下側から見ると、ホントに池の上にお部屋がある感じ。1階の奥の部屋が今回宿泊したお部屋です。
縁側が池の上にあるので、部屋から鯉に餌をあげることもできます。私、動物の餌やりが大好きなんで、たまりません。
どんどん鯉が集まってきて、すごい競争になります。
ちなみに鯉の餌は1袋100円で販売されています。
部屋の設備
準特別室は水回りもなかなかゴージャス。部屋の中に階段がありまして。
階段の先はお部屋のお風呂です。立派な岩風呂です。
洗面台はトイレのスペースは横に長いレイアウト。
お茶とお菓子
入り口を入ってすぐの次の間には、冷蔵庫、沸かし機能付き電気ポットなどが用意されています。またペットボトルのお水とお茶が1本ずつサービスされていました。
お茶セットの中には緑茶とほうじ茶がティーバッグで用意されています。ティーバッグだとお茶の葉を交換する時にやりやすくて好きです。
お茶請けのお菓子は「幸四郎」という名のお菓子。歌舞伎役者の松本幸四郎さん(二代目 白鸚)とのご縁があるようです。美味しくいただきました。
アメニティ
温泉旅館ですから、タオル・歯ブラシなどはもちろん用意されています。タオルを持ち帰る時に使うビニールの巾着も用意されています。お風呂で使うタオルの旅館名は印刷ではなく刺繍でした。
浴衣はチェックインの時に、自分の好きな色とサイズを選ぶ方式です。
化粧品類もチェックインの時に必要なものをチョイスします。クレンジング、化粧水、乳液、ヘアブラシ、コットンセットなど、必要なものを選ぶと係の人が袋に入れて部屋まで運んでくれます。化粧品類はこちらのシリーズです。
Wifiとエアコン
お部屋ではWifiは快適につながります。もちろん無料です。
エアコンも単独で設置されているので、自由に温度設定の調整ができます。
お風呂
新井旅館のお風呂は、大浴場として「天平風呂」と「あやめ風呂」。こちらは時間で男女交代制。露天風呂が1か所。こちらも時間帯で男性専用、女性専用になります。無料の貸切風呂が1つ、有料の貸切風呂が1つあります。男女の入れ替えって、夜の10時以降に行う宿が多いですが、新井旅館の大浴場は、チェックインした日にも、チェックアウトする日にも両方のお風呂が楽しめるようになっています。いずれのお風呂もいつでも入浴できるのは嬉しいです。
大浴場「天平風呂」
天平風呂にはカランやシャワーがありません。奥の壁の所に手桶が置いてある場所がありますが、そこに上がり湯が供給されていて、お湯をすくって使います。昔ながらと言えばそうなんですが、蛇口をひねればお湯が出る生活になれている私にとってはやや使いづらい感じはあります。でもすでに何度かお風呂に入って体を洗った後での天平風呂だったので、シャンプーするわけでもなく、お風呂につかるだけならそれほど困りません。
あやめ風呂
浴槽その1に設置されている湯温計。43度くらいでしょうか、私には熱すぎました。
浴室の奥にあるもう一つの浴槽。あやめの形をした湯船です。
新しく作り直された感じがするあやめ風呂の脱衣所。写真から切れていますが、左手には鍵のかかるロッカーもあります。
野天風呂
野天風呂は宿泊している建物からはちょっと離れた場所にあります。館内図を見ると、地下通路を渡る、つまり建物の前の道路の下を通って行くようです。
野天風呂に向かう通路です。両側には足場が組まれていたので、メンテナンスをしているようです。それにしても、広い敷地です。
野天風呂は1か所しかないので、時間帯によって男女が入れ替わります。女湯の暖簾がかかっているのを確認して中へ。
暖簾をくぐるとこんな感じ。左手に脱衣所、右手に湯船。つまり、脱衣所で服を脱いで、下の湯船に向かうわけです。短い距離ですが雨だとちょっとつらいですね。
この日は曇っていたけれど雨はなく、木々の緑を楽しみながらの湯あみとなりました。
無料の貸切風呂
無料の貸切風呂は有料の貸切風呂と並んであります。無料の方は予約は不要で空いていればいつでも入浴できます。内側から鍵をかけて入るスタイルです。予約なしの貸切風呂の時には、とにかく空いていたらまず入ることにしているので、今回、最初に入ったお風呂がこちらの無料の貸切風呂でした。
湯口からはこんこんと新鮮なお湯が注がれています。もちろん循環なしのかけ流し。
お湯が新鮮でとても気持ちいいです。
壁に切られた窓には、時々池の鯉がやってきます。あやめ風呂にも窓がついていて、同じように鯉がやってきます。
有料の貸切風呂
こちらが有料の貸切風呂です。45分1100円とリーズナブル。お金払って入ろうかとも思いましたが、実は夜中(24時から朝5時まで)は無料で貸し切ることができます。たまたま5時前に目が覚めたので、ささっと入ってきました。浴槽が八角形で無料の貸切風呂より広く感じます。
脱衣スペースも無料の貸切風呂より広くて快適。さすが有料のお風呂です。
泉質
泉質はアルカリ性単純温泉。いくつかの源泉を混合して使用しています。お風呂の数は多いですが、使用されている温泉は同じものでした。
混合している源泉についても表示されています。あわせて使用状況についても表示されていて、加水あり、消毒ありですが、加温はなく、宿のHPによれば循環はさせておらず、かけ流しとのこと。確かにどのお風呂に入ってもお湯がとても新鮮な感じがしました。
食事
食事は朝夕ともにお部屋でいただきます。もうおこもりにぴったりの宿です。
夕食
夕食の時間は18時と18時半からチョイス。部屋食なので、予定の時間の30分くらい前から係の方が部屋に準備にいらっしゃいます。前菜からデザートまでズラリと並ぶお品書き。ワクワクします。
私はアルコールは飲まないので、ノンアルコールのドリンクから、にんじんジュースというのを注文しました。人参と柑橘系のフルーツを混ぜてあるのでとても飲みやすくて美味しかったです。
食事はどれも美味しくいただきました。が、何かこう思い出に残るインパクトのあるお料理がなかったのがちょっと残念。
印象に残ったといえば、お刺身のつまの大根です。よくある千切りの大根ではなく、くるくると巻かれた大根で、こういう包丁さばきはすごい技術だと思いました。
夕食が始まると、縁側のカーテンが閉じられてしまい、実は外の景色を楽しみながらのお食事にはならないんです。中が明るくて虫がよってきてしまうからなのかもしれません。
朝食
朝食もお部屋でいただきます。朝食の時にはせいせいと窓のカーテンを開けて食べるのですがすがしい気持ちになれます。品数豊富で、おなかいっぱいです。
宿の周辺を歩いてみる
宿泊した翌朝、早起きしたので宿周辺を歩いてみました。こちらは宿から徒歩1分。修善寺温泉で最も有名なスポット「独鈷の湯」。温泉なのですが、入浴はできないと看板に書かれています。昔は入っていたり足湯している人がいたような記憶がありますが、今はどうなんでしょうね?見るだけなのかな・・・。
温泉は夜中は止めているそうです。
独鈷の湯の近くには足湯があります。こちらで足湯につかりながら桂川を眺めるのも良いかも。
桂川に沿って上流方向に歩いて行くと、桂橋という赤い橋に出ます。温泉街に赤い橋は定番ですね。
この辺りは宿泊した新井旅館の裏手にあたります。花の棟の部屋を予約すると、桂川沿いのお部屋になり、この先紹介する竹林の小径を部屋から眺めることができます。
桂橋を渡ると「竹林の小径」の入り口です。
竹林の小径を抜けた先には、重厚な門が。こちらは能舞台もあるという「あさば」という名旅館。こちらにも泊まってみたいと思いましたが、お値段が予算に全く合わず断念しました。
こちらはドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」のロケが行われた旅館です。
温泉街にはカフェやお蕎麦屋さんなどの食事処も何軒かありました。散策した時間帯が早朝だったのと、まだ県境を越える移動は自粛の期間だったこともあり、開いているお店はなかったので入りませんでしたが。
まとめ
新井旅館は重要文化財の建物に歴史を感じる私好みの建物と、温泉が魅力の宿でした。お部屋とお湯が素晴らしかった分、料理が何かこう特徴がないというか、あまり印象に残らなかったのが、少し残念でした。ちゃんとWifiがあり、無料の貸切風呂もあって、一人泊プランもあります(2020年7月現在)。一人泊の場合、土曜日の夜は×がついていましたが、金曜日の夜は泊まれるようです。2食付きで3万円ほどしますが、部屋食だし、貸切風呂もあるし、GoToキャンペーンの補助があるうちに行ってみるのも良さそうです。老舗旅館だけあって、スタッフの対応は抜群で安心して快適に過ごせました。
※宿泊プランは変更になることがあるので、一人泊プランがあるかどうかは予約時に公式サイトで確認してください。
修善寺温泉に泊まるなんてことは、あまりに近すぎて考えたこともなかったのですが、近いからこそ交通費がかからなかったり、移動で疲れることもないというメリットはあります。
首都圏からも修善寺までは鉄道でアクセスでき、修善寺からは路線バスが本数も多く運行されています。バスに乗る時間も10~15分程度で公共交通機関でのアクセスも良い場所です。