2020年、新型コロナの影響でしばらく旅行は控えていましたが、首都圏より一足早く静岡県では自粛要請が解除になり、県内の温泉宿が営業を始めました。5月は県境を越える移動はお控えくださいとのことなので、マイカーで県内の温泉宿に行ってきました。泊まったのは伊豆市にある船原温泉、「山あいの宿うえだ」という宿で、日本秘湯を守る会の会員宿です。宿の魅力は何と言っても源泉かけ流しの大露天風呂を貸し切りで利用できることでしょう。Social distanceが呼びかけられる中、部屋数が7室と少ないので、食事時間以外は貸し切りでないお風呂も含めて全く人に会わず、静かにのんびり過ごせました。そんな宿をご紹介します。
※2022年6月から休業しています (2022/8/20時点の情報)
源泉かけ流しのお風呂が5か所
いつもは部屋からご紹介しますが、こちらの宿の魅力は何と言ってもお風呂が豊富にあること。部屋数7部屋に対して、露天風呂含めて浴室が5か所もあるのです。貸切ではない大浴場でも他の人に会いませんでした。温泉もさらりとしてまろやかなお湯が楽しめましたので、まずはお風呂からご紹介します。
貸切大露天風呂
こちらが貸切利用できる大露天風呂です。私の写真の腕ではその広さが伝わりませんが、10人は入れそうな岩風呂です。手前のゾーンは屋根もついていますから、雨でも安心です。
この広大さに感動し、かけ湯をしてまずは湯船に沈みます。あ~ぁ、極楽。湯温は40度くらいでしょうか。かなりのんびり入っていられる温度で嬉しい。
露天風呂の一部に屋根がついているので、雨の日でも楽しめますし、日差しが強いときは日陰で温泉につかることもできます。奥に見えている小屋が脱衣所です。
宿自体が船原川沿いに建っているので、露天風呂に入っていると、せせらぎの音が聞こえてきます。3月から渓流釣りが解禁になっているそうで、たまに釣り人がいるんだとか。こちらから見えるということは向こうからも見えるんでしょうけれど、この日は平日だったこともあり、川には誰もいませんでした。
一応洗い場が4人分あり、ボディソープやシャンプーもありますが、なんせシャワーの水圧が低いので、シャンプーするのはちょっと大変かも。
こちらは大露天風呂の脱衣所です。鍵のかかるロッカーとかはありません。洗面台には化粧品類はないですが、ドライヤーはあります。
こちらの大露天風呂は1泊2日の間に2回貸切ができます。1回40分。チェックインの時に時間帯を予約するシステムです。客室がある建物から履物を履き替えててくてく歩いて向かいます。距離はなく、1分もかかりませんが、大雨の時は傘が必要ですし、足元も濡れて、ちょっと面倒かもしれません。今回は気持ちの良い晴れのお天気でとても気持ち良い湯あみを楽しめました。
もう一つの貸切露天風呂
貸切できる露天風呂がもう一つあります。こちらの露天風呂も1泊2日の滞在の間に2回利用ができます。こちらも1回40分。予約方法はチェックインの時におかみさんが教えてくれます。こんなボードが設置してあり、自分の部屋のマグネットを予約したい時間に貼るというシステムです。チェックインが午後2時なので、最初の予約時間は2時半からです。1日目の最終は夜11時40分から12時20分までで、そのあとは朝の5時までは使用できません。
こちらも渓流沿いなので、明るい時間帯に入れるよう、予約をとりました。こちらのお風呂は2人で入るのにちょうど良いということなのか、脱衣所もコンパクト。ドライヤーの用意があります。
湯船は大露天風呂に比べれば小さいですが、2人で入るには十分ですし、ましてや一人旅の私には申し分ありません。こちらの露天風呂は湯船につかりながら、船原川を眺めることができ、新緑を愛でながらの湯あみを楽しめました。こちらもゆっくりつかれる湯温でした。
夜も予約して入ってみたのですが、渓谷の新緑はもちろん見えず。やっぱり露天風呂に入るなら、景色を楽しめる時間帯が良いと思います。
岩の合間からどんどんお湯がかけ流されていきます。
こちらの露天風呂は洗い場は2つありました。
大浴場その1
大浴場は男女別に1つずつあり、片方は内湯のみ、もう一方は内湯と露天風呂があります。夜に男女が入れ替わります。私が泊まった日は、初日は内湯のみの方が女性用になっていました。大きな湯船の真ん中に仕切りがあり、手前側に給湯口があるので、手前側の湯船が熱めの設定になっています。私はのんびりつかりたいので、奥の湯船に沈んでいました。
こちらが脱衣所です。
特にロッカーのようなものはない、と書きたいところですが、脱衣所の中に不思議な物体が・・・。ロッカーのようにも見えますが、これはなんでしょう?もう一方の大浴場にもありました。
大浴場その2
もう一方の大浴場には露天風呂がついています。こちらの露天風呂もせせらぎの音を聞きながら、新緑の中での湯あみとなり、とても良かったです。
ドバドバと出ている給湯口には、飲泉できますという標示もありました。
こちらの内湯は寝湯ができる湯船になっていました。窓から朝日が差し込んで、とても気持ちの良い朝風呂を楽しめました。
という具合にすべて貸し切りで楽しんでしまいました。充実のお風呂です。
あれ?お風呂は5か所あると書いてあったのに4つしか紹介していないじゃん?と思われる方もあるでしょう。5つ目は内湯の家族風呂なのですが、こちらには結局入らなかったんです。宿のHPでは紹介されていますよー。
良い香のボディソープはカインズブランド
浴室に備わっているのはボディソープとリンスインシャンプーです。
ボディソープはカインズブランドで、使ってみると香りが私好みで、帰りにカインズに寄って買ってしまいました。600mlで398円のわりに、良い香りで嬉しいです。
泉質
泉質はアルカリ性単純温泉で、癖がないお湯でした。内湯はちょっと熱めの設定もありましたが、ほぼどの浴槽も40度くらいに感じました。のんびり入っていられる温度です。お湯は無色透明で無味無臭。pHは8.6とのことです。
お部屋
あまりにお風呂が良かったので、最初にお風呂を紹介してしまいました。続いてお部屋をご紹介します。部屋は全部で7室。建物自体が平屋なので、すべてのお部屋が1階にあります。私が案内された部屋「五月」というお部屋です。10畳の和室の外に縁側というかテラスがあります。一人旅でこのサイズは十分すぎます。
テラスは庭に面しています。池が遠くに見えますね。庭に出てみたいけど、池に近づくと隣のお部屋の庭先に入ることになるのでそれはあきらめました。蝶々が飛んでいたり、鶯の声が聞こえたり、とても静かな宿です。
お部屋には洗面台とウォシュレット式のトイレがついています。トイレがあるとほとんど部屋にこもっていられて嬉しいです。ただ部屋にはドライヤーがなかったです。
エアコンは各部屋独立式なのも助かります。本間の照明はリモコン式なので、布団に入りながらピッと消せるのも何気に嬉しい設備です。
部屋に案内されると女将さんがお茶をいれてくれます。お茶請けは鮎せんべい。狩野川流域の宿らしいお菓子です。
部屋に用意されているお茶は緑茶のみ。コーヒーカップの用意はありません。
ポットは電気式ではないので、都度沸かすということはできませんが、お布団を敷いてくれる時にお湯が交換され、冷水ポットも用意されていました。この冷水ポットの提供はとてもありがたいです。お風呂から出てくるとやっぱり水分ほしくなりますからね。
部屋の冷蔵庫は有料の飲み物が入っていますが、持ち込みの飲み物を冷やすスペースもあります。冷凍室はありません。
浴衣類はよくある旅館の浴衣セット。バスタオル、お風呂で使うタオル、歯ブラシ、ヘアブラシ、コットンセットが用意されています。帰りに濡れたタオルを持って帰るビニール袋の用意もありました。
夕食の間にお布団を敷いてくれます。10畳だと余裕ですね。枕元に灯が用意されるのも嬉しいサービス。
室内にコンセントがあるので、デジタル機器の充電も全く問題ありません。残念なのはWifiがないこと。山間の宿ですから、そもそもそういう設備はなくても良いのかもしれませんが、部屋にこもってブログを書きたい、なんていう時にはWifiがあるとすごく助かるのですが。ただ全くないわけではなく、ロビーには無料Wifiのステッカーがあり、ロビーや食堂ではつながりました。
今回は車で行ったので、荷物は持ち放題。なのでパソコン持っていきましたが、結局使いませんでした。
食事
温泉宿の楽しみの一つは食事。夕食・朝食ともに食事処でいただきます。お庭の池に面したつくりです。
夕食
夕食は18時か18時半スタートのいずれかから選びます。本日の献立はこちら。メインは天城しゃものすき焼きです。
私は食べられない食材があるので、毎回宿に伝えておくのですが、こちらの食事でも若の食材に変えていただけました。助かります。
天城しゃもの鋤鍋は、きのこがたっぷりで美味しかったです。
太刀魚の天ぷらの後は、しらすごはんとお味噌汁。駿河湾の幸です。
珍しい食材が出るとか、盛り付けが豪華というわけではないのですが、温泉宿らしい食事だったと思います。量も多すぎず少なすぎず、全部食べ切れました。
朝食
朝食は8時か8時半からのチョイスです。焼き魚や卵焼きなど、これも温泉宿らしい朝食。コンロの上の鍋にはすいとんが用意されていました。おなかに優しい感じがしました。セルフサービスで牛乳とコーヒーが用意されています。
チョウザメのいる池
こちらの食事処は庭園に池に面していて、池を泳ぐ鯉を眺めながら食事ができるのですが、池の中を見ていると、大きな黒い魚影が。これ、鯉じゃないよね、というサイズと形です。実はこの魚はチョウザメだそうで、4匹くらい泳いでいました。
チェックイン・アウトタイムやお値段、交通など
チェックイン・アウトタイム
こちらの宿のチェックインは14時。チェックアウトは10時半で、かなり長い時間滞在できます。温泉三昧ができる宿なので、チェックインが14時というのはすっごくありがたく、結局5回、温泉に入れました。
料金
今回は1人で金曜日の夜にとまり、お値段は1泊2食付きで24,000円でした。ちょっと高いですが、4月5月と旅に出なかったので、自粛明けで奮発してしまいました。土曜日の夜でも一人泊プランが平日と同じ料金設定で用意されているのは嬉しいです。(2020年6月現在の情報)
予約方法
楽天トラベルやじゃらんでは物件が見当たりませんでした。宿のサイトはありますが、宿のサイトからの申し込みはできないようで、メールや電話での問い合わせになるような感じだったので、日本秘湯を守る会のサイトからの予約が簡単です。もちろんスタンプ帳へのスタンプも押してもらえます。
交通
今回はまだ自粛明け直後で公共交通機関は避けたかったのでマイカーで出かけました。宿のサイトによると、公共交通機関は修善寺駅から松崎行きのバスで25分とのこと。行ってみるとかなり山奥というか、何もない場所なので、たぶんバスの本数も少ないと思いますが、駅からバスで30分以内ならそんなに不便ではなさそうです。かなりの山奥な感じですが、車で数分のところにコンビニがあります。
まとめ
母と行きたいなと思い、前から気になっていた宿でした。バリアフリーではないけれど、平屋建てなのと、全7室とコンパクトなので、お風呂に行くにも食堂に行くにも歩く距離が短くてすみます。館内の段差もそんなに気になりませんでした。部屋で過ごしていると、隣の話し声が聞こえたりすることもありますが、大人ばかりで過ごしているとお互い気をつけるせいか、気になることはありませんでした。この近辺には修善寺温泉や長岡温泉など、にぎやかな温泉街もありますが、船原温泉は本当に山間にあり静かに過ごせます。我が家からは近いし、休前日でも一人泊OKなので、また行きたいけれど、ちょっとお値段が高いかも。あとはWifiがあると最高です。