2019年10月19日から2泊3日で立山黒部アルペンルートと黒部峡谷鉄道の旅を楽しんできました。こちらでは黒部峡谷鉄道についてご紹介します。乗車したのは、翌日が即位の礼の祝日となる平日の月曜日でしたが、とっても混んでいました。紅葉の時期だから混んでいるのか、絶景路線だからいつも混雑なのかわかりません。この日は台風の影響で北陸新幹線にまだ不通区間があり、新聞には黒部峡谷鉄道は4500人のキャンセルがあった、なんて出ていたので、ひょっとしたら空いているかも、と期待していたのですが、まったく影響がないように見えました。そんな人気の黒部峡谷鉄道を楽しむには事前の準備も必要です。乗車前に知っておいた方が良さそうなことをブログにまとめました。
注意: 能登半島地震の影響で2024年中は宇奈月温泉と猫又駅間での折り返し運転となっています。終点の欅平までは行けません。一日も早い復旧を願っています。
黒部峡谷鉄道の概要
黒部峡谷鉄道は黒部川の発電所建設のために敷設された鉄道なので、もともとは観光客用ではありませんでしたが、今や日本人だけでなく世界から観光客が押し寄せる鉄道路線になりました。富山県の宇奈月駅から欅平駅までの約20キロを1時間半ほどかけて進みます。
欅平からは基本的には折り返して戻ってくることになりますので※、乗っているだけで3時間はかかります。ずっと黒部峡谷に沿い時にはトンネルの中に、時には目もくらむような高さの橋梁を渡る絶景路線なので飽きることはありません。
※関西電力主催のツアーで、欅平から先、黒部ダムまで抜けるツアーがあります。2019年度版はこんな案内でした。すっごくおもしろそうで、是非行きたいと思っています。
https://www.kepco.co.jp/corporate/profile/community/hokuriku/koubo/pdf/koubo_panfu.pdf
黒部峡谷鉄道を楽しむために知っておきたいこと
1) 乗車駅は「宇奈月駅」です
黒部峡谷鉄道の出発点は「宇奈月駅」ですが、近くに富山電鉄の「宇奈月温泉駅」があります。駅名が似ているので間違えないようにしましょう。温泉噴水があるのが、富山電鉄の「宇奈月温泉駅」です。
改札・駅舎を出て、さらに山奥方向に道に沿って200mほど進みましょう。黒部峡谷鉄道の「宇奈月駅」に到着です。
2) Web予約を是非利用しましょう
切符は当日に駅で購入しても良いですが、Web予約ができるので事前に予約されることを強くお勧めします。Web予約していても窓口に並んで切符をもらわなくてはなりませんが、当日券の販売窓口よりずっと空いていて待ち時間が違います。また紅葉などトップシーズンの時には希望している時間の列車がすでに満席で乗れないなんてこともありえるので、事前のWeb予約を強くお勧めします。
3) 座席指定できないけれど、客車の種類は選べます
黒部峡谷鉄道の列車にはタイプの異なる客車があります。座席指定はできませんが、客車は選ぶことができます。座席にせもたれも窓もないトロッコ車両の「普通客車」と、背もたれ付きのクロスシートで窓付きの「リラックス客車」と、窓付きだけと椅子は向かい合わせ形式の「特別客車」の3種類あります。
列車によって「普通客車」のみの編成だったり、「普通客車」と「特別客車」の組み合わせだったりしますが、一番多いのは「普通客車」と「リラックス客車」の組み合わせです。
私のお勧めは、行きに窓なしトロッコの「普通客車」には乗って黒部峡谷鉄道らしい解放感を味わい、帰りは「リラックス客車」のチョイスです。行きは気分もあげあげの興奮状態ですから、多少寒かろうが雨に濡れようが、これぞ「黒部峡谷鉄道」と思えますが、帰りは景色が同じだし、お疲れモードで眠くなるとおもいます。そんな時、窓なしだと風邪ひいちゃうかもしれないし、背もたれがないとウトウトもしにくいです。
4) 乗車中はトイレに行けません
宇奈月駅から終点の欅平駅までは1時間半かかります。列車にトイレの設備はないので、必ずトイレを済ませてから乗りましょう。女性トイレは混雑しますので、その分の時間も見ておきましょう。ちなみに終点の欅平にはきれいな水洗トイレがあります。列車到着時はどっと混みますが、意外に数があって列はどんどん進む印象でした。
5) 良い座席を確保するには改札に並ぶしかない
改札は出発時刻毎に出発の10分前くらいから始まります。座れる数しか切符は発売されないので、座席は確保されているのですが、宇奈月から欅平に向かう場合は、進行方向に向かって右側の席の方が川側になり景色が楽しめることもあり、川側の座席を確保したいと思うと並ぶしかないですねー。座席指定ではないので仕方ないです。 この日は平日でしたが、翌日が即位の礼の祝日のせいかかなりの混雑でした。紅葉シーズンは人気なのでしょう。
6) 防寒着と雨具をお忘れなく
黒部峡谷鉄道はいくつものトンネルを通ります。トンネルの中は思っていた以上に寒いです。10月中旬に乗車しましたが、ダウンジャケットがあってちょうど良かったです。
私が便利だなと思うダウンはこちら。ユニクロの製品で、たたむとこんなにコンパクトになるのですが、結構暖かいです。
またトロッコ車両の場合、雨が降ると雨を防ぐ手立てがありません。山の天気は変わりやすいので、簡単でも良いので合羽があると安心です。ちなみに合羽はワークマンの合羽を持っていきました。
7) 荷物はコンパクトに
黒部峡谷鉄道の客車にはキャリーケースなど大きな荷物を置くスペースはありません。狭い車内に譲り合って座る感じなので、荷物は自分の足元における程度にコンパクトにまとめる方が良いでしょう。駅にはコインロッカーがあります。私は前日宇奈月温泉に宿泊したところ、駅前のお土産物屋さんで1つ200円で預かってくれるサービスがありました。
8) 足湯用タオルも持っていこう
黒部峡谷鉄道の終点、欅平駅から歩いて5分くらいのところに足湯があります。階段を下りていくので帰りは上りになっちゃいますが、白濁の足湯を楽しめます。また欅平から戻ってきたときに、隣の宇奈月温泉駅との間にも足湯があるので、足湯用のタオルは是非持っていきましょう。こんなにごり湯の足湯があります。
ちなみに私はこちらのコンパクトなタオルを持ち歩いています。たたむと手のひらに乗るサイズ。広げるとスカーフくらいの大きさ。濡れた後も広げておくと乾きます。そのためのカラビナなどもついていてとても便利です。「PackTowl(パックタオル) 軽量速乾 タオル NANO ナノ」という商品です。1500円くらいです。
9) オフィシャルサイトとXで情報収集
Web予約の方法や周辺情報など、情報モノだくさんのオフィシャルサイトで旅の予習を是非。
Xにも公式アカウントがあり情報発信されているので、日々の紅葉の様子などはXが良いでしょう。
絶景の連続を楽しむ
乗車準備ができて、座席も欅平に向かって右側の席を確保できたなら、この後は絶景を楽しみましょう。
「宇奈月駅」出発して間もなく、「新山彦橋」を渡ります。鉄橋を渡る鉄道の「カタン、カタン」という音がやまびこのように響くところから「新山彦橋」という名前がついたとか。
橋を渡って間もなく右手に「宇奈月湖」が見えてきます。宇奈月ダムのダム湖です。
緑の湖面と赤い橋のコントラストが美しいです。
「宇奈月湖」に沿って進んでいくと、間もなく西洋のお城のような建物が見えてきます。こちらは「新柳河原発電所」です。
さらに上流に向かうと、眼下に「さる橋」が見えてきました。運が良いと本当にサルが渡るシーンを見られることもあるそうです。さる用なので手すりがないつり橋です。人は渡れません。
さらに列車は川に沿って標高を上げていきます。
黒薙駅に到着。先頭車両はもう後曳橋にかかっています。
黒部峡谷鉄道は客車が13両くらいあって、かなりの長大編成です。先頭車両が後曳橋を渡っているときも、後ろの客車はまだ黒薙駅のホームにありました。
欅平に向かって右側に乗っていると、後曳橋ではついつい上のような黒薙駅を振り返る構図で写真を撮ったり、あるいは谷底まで60mという高さを実感する写真を撮ったりしてしまいますが、左手には古い水路橋がかかっています。
続いて出し平ダム。
出し平駅では上り列車との列車交換。単線なので途中駅でこういうシーンに何度か出くわします。
出し平駅を出ると右手に「出し六峰」という山が見えます。岩肌と木々のコントラストが美しく、新緑でも紅葉でも映えそうです。
続いて「ねずみ返しの岩壁」が見えますが、うーん、なかなか上手に撮れませんでした。
つづいて黒部川第二発電所が見えてきます。
列車はさらに山奥へ。まだ紅葉には早いですが、紅葉のシーズンは見事でしょう。
進行方向右手には東鐘釣山が見えました。
列車は鐘釣駅に到着。実はこの駅で列車はスイッチバックします。列車はいったん引き込み線に入って停車し、欅平に向けて出発する時には一度バックしてから本線に入って上っていきます。
宇奈月駅を出発して約1時間半。終点の欅平に到着しました。
欅平では散策も楽しめるので、宇奈月に戻るまでに2時間確保しました。欅平での様子はこちらで紹介しています。
まとめ
10月中旬に紅葉狙いで黒部峡谷鉄道に乗りに行きましたが、まだ紅葉には早かったです。11月初旬くらいが良いのかもしれません。黒部川の流れや迫る山並みを見られる絶景路線ですが、よくこんな場所に線路を設置できたものだと感心せずにはいられません。この鉄道により黒部川のダム開発は進んだわけですが、今も線路沿いには工事関係者がいて保線などの作業に当たっていました。線路に沿って設置された冬期歩道にも日本の高度成長期を支えたダム開発の苦労がしのばれます。また季節を変えて乗りに期待し、できればこの沿線の温泉宿に泊まってみたいものです。