八幡平の鏡沼に雪解けの時期に現れる「ドラゴンアイ」を見に行った時に、せっかくなら温泉に泊まろうと、松川温泉の峡雲荘に泊まりました。硫黄の香が漂う白濁の湯が魅力です。一人で泊まれて、部屋にトイレがあり、夕食は部屋食という、他のお客さんとの接点が少なく、私好みの宿でした。女将さんはじめスタッフの方も親切で気持ち良く泊まれました。日本の秘湯を守る会の会員宿です。
お部屋
お部屋は洗面とトイレがついた本館と、洗面とトイレがない別館のお部屋がありますが、私はなるべくトイレ付きがありがたいので、本館に宿泊しました。部屋は8畳ほど。1人泊でもトイレ付きのお部屋をチョイスできるのは助かります。
宿泊したのは2021年5月21日。静岡ではすでに25度前後の気温の日もある時期ですが、こちらの宿ではまだ暖房が入っていました。窓の下にある装置が暖房です。暖房は地熱を利用していて、温度のコントロールはできないとのこと。客室に入るととかなり暖かく感じました。暑い場合は窓を開けて下さいとのこと。冷房はないようなので、真夏でも涼しいのかな。標高がそこそこ高いからでしょうが、最近の日本の夏はちょっと心配でもあります。
硫化水素の影響で電化製品がすぐに壊れるので、設備は最小限のものしかないとありましたが、テレビはありました。冷蔵庫、電気ポットはありません。
ポットにお湯が用意されているし、冷蔵庫で冷やしたいものもないので困りませんが、トイレに洗浄機能がないのは少々残念ではあります。
ドライヤーは部屋に備え付けではありませんが、フロントで貸し出してくれます。
wifiは案内ではロビー付近で使用可能とありましたが、お部屋でも使えました。
温泉
温泉はもう最高な青白い濁り湯です。浸かると体は見えないというにごり度。
ポスターに登場する広々とした露天風呂は混浴です。
こちらが混浴露天風呂への入り口。戸を開けると中は男女別の脱衣所になっていますが、女性用の脱衣所はすのこ1枚分くらいの面積しかないです。また脱衣所から湯船まで距離は短いですが、あまりさえぎるものがなく、男性が近い所でお湯につかっていたら、ちょっと行きづらいかもしれません。提灯横の小窓から露天風呂が見えるので、早朝の誰も入っていない時にパっと入ってきました。
でも無理して混浴の露天風呂に入ることもないかな、と思います。女性用の内湯から行ける女性専用の露天風呂も広々していました。お湯の温度もそれほど高くないので、のんびりとつかることができました。ただ露天風呂には屋根がないので、大雨の時はちょっとつらいかも。
浴室にはカランもシャワーもなく、上がり湯をためた桝から手桶でくんで体を洗います。なのでシャンプーはちょっとしづらい感じですね。こういう温泉ではのんびりお湯につかるのが良さそうです。
泉質は単純硫黄泉(硫化水素型)です。pHは5.4で、弱酸性です。源泉の温度が62度あるので、加水して温度調整をしていますが、循環・消毒なしのかけ流しのお湯でした。
食事
夕食は部屋食、朝食は大広間でいただきます。
夕食
籠に盛られた前菜やお造りから始まり、イワナの塩焼き、ホロホロチョウの鍋など、地元の食材を活かしたメニューが並び、品数豊富です。
食材が宿の案内で紹介されていました。
私はお酒を飲まないのですが、地元のノンアルコールの飲み物があると頼んでしまいます。今回はサイダーです。
朝食
朝食は大広間で。こういう時期なのでテーブル同士の間隔はかなりあいていて安心していただきました。小岩井農場の牛乳や、チーズをつかった陶板焼きが美味しかったです。
食後はロビーにコーヒーのサービスがあり、こちらも嬉しかったです。
館内
館内には小さいながらもライブラリーがあったり、晴れていれば山並みを眺められそうなチェアがあったりと、くつろぎスペースがありました。
壁には熊の毛皮も。秘湯の宿という感じがします。
宿周辺の見どころ
徒歩5分の地熱発電所
秘湯の宿というだけあって、周辺には飲食店やお土産物屋さんなどは全くなく、温泉宿が3軒ほどという温泉地ですが、一つ立派な施設があります。それは日本で最初の地熱発電所です。
発電所内の見学はできませんが、資料館が隣接していて、地熱発電の仕組みやこちらの発電所の歴史などを学ぶことができます(無料。冬期は休館)
散策路もある
八幡平周辺は山に登らずとも、あちこちにハイキングコースがあります。宿周辺にはこんな看板があったので、お天気が良ければ散策も気持ちよさそう。この日は雨だったので散策は断念。
ドラゴンアイ
今回の私の旅の目的、ドラゴンアイもこちらの宿からは車で30分程度です。
ドラゴンアイについてはこちらをご覧ください。
宿へのアクセス
秘湯の宿というだけあって、アクセスは便利とは言えませんが、宿の目の前にバス停があり、盛岡駅から岩手県北バスの路線バスでここまで来ることができます。ただ本数が1日3本と少ないです。乗り遅れないようにしましょう。
まとめ
何と言っても硫黄の白濁の湯というのが、秘湯の宿らしさを醸し出しています。駐車場についたときから硫化水素臭が漂い、気分を盛り上げます。1日3本とバスの本数は少ないながらも公共交通機関だけでアクセスが可能ですが、車があると自由に動けるので行動範囲が広がります。周囲に飲食店などはないので、宿の外で飲食したい人には向きません。八幡平の自然を楽しみながら温泉にもつかりたい人向けの宿です。