2019年3月の上旬、2泊3日鉄道の旅で別所温泉に一泊しました。別所温泉には国宝や文化財の指定を受けている神社仏閣があり、信州の鎌倉と言われたりします。足湯や思わず入りたくなるようなカフェもある別所温泉街を散策しました。
- 歩いた範囲
- 「花屋」から大湯経由で薬師堂へ
- 薬師堂から北向観音へ
- 北向観音から足湯「ななくり」へ
- 足湯近くのパン屋さん
- 足湯から国宝がある安楽寺へ
- 安楽寺から常楽寺へ
- 別所温泉のカフェ
- 温泉と言えば温泉まんじゅう
- 上田電鉄で帰宅の途に就く
歩いた範囲
街歩きしたコースは下の地図の青い太線。スタートとゴールは宿泊した旅館の「花屋」です。チェックアウトが11時とのんびりなので、荷物を部屋に置いたまま、チェックアウト前に散策できるのはとても便利です。全部で1時間10分くらいでした。地図上のオレンジの数字は、神社や足湯など立ち寄った場所。ルートの目印になりそうな場所です。
ちなみに、「花屋」の宿泊記はこちらです。
tetsutorin.hatenablog.com
「花屋」から大湯経由で薬師堂へ
朝食を済ませ、 9時半ころ、花屋を出発しました。
花屋の前の上り坂をテクテクと歩いていくと、右手に共同浴場「大湯」の足湯があるのですが、冬の間は休止なんです。すっかり雪も消えているので、3月から営業してくれていたら良かったのですが。
足湯をすぎるとすぐに共同浴場の「大湯」が見えてきます。(地図緑の①)
「大湯」入り口の左手には「葵の湯」という碑が立ち、その前には飲泉塔があります。
こちら以外の場所にも飲泉塔はあって、他の飲泉塔ではペットボトル持参で温泉を組んでいる人もいました。
葵というのは、木曽義仲の愛妾とのこと。飲泉塔の横に吉川英治の「新平家物語」の一部が記された碑もたっていました。なるほど、木曽義仲は葵とともに別所温泉に療養にきていたのですね。
薬師堂へは大湯の左側の坂道を上がっていきます。上の写真の「この先行き止まり」と書かれている道です。上り始めるとすぐ先に階段が見えます。薬師堂へはこの階段をのぼります。(写真緑の②)
階段を上ると薬師堂歌碑公園に到着。案内板によると、この公園内にある薬師堂は1281年に開かれたとのこと。
歌碑公園とありましたが、園内には与謝野晶子の歌が刻まれた碑がありました。
こけがついたお地蔵さん、歴史を感じる。境内はとても静かです。午前中だからなのか、このシーズンは観光客が少ないからなのか。静かなのは良いですねー。
観音様もいらっしゃいました。手前の水たまりには氷がはっています。やっぱり寒いのですね。上り坂を歩いてきたので、体はポカポカしていて、あまり寒さを感じていませんでした。
薬師堂はこちら。おみくじがたくさん結んでありましたが、おみくじ売っているところはなかったような気がします。(地図オレンジの①)
薬師堂から北向観音へ
つづいて北向観音へ向かいます。来た道を大湯まで戻っていくルートもあります(地図の青い線)が、薬師堂の階段下りたところに、林の中を抜ける未舗装路の方を指す案内板があったので、林の中の道をたどってみました。
未舗装ですが、歩きにくいことはないです。廃屋の脇を抜けます。
道は林の中へ。(地図緑の③)
実はこの林、杉林のようで、さぁ、今から飛びますよー、という花粉がわんさかついていました。花粉症の季節にこんなところを歩いたのは失敗でしたが、幸い気温がまだ低くて飛散前の様子。特にひどい症状にはなりませんでした。
左に上っていく階段と向こう側に降りる道との分岐点。どうしてこういう場所に案内標識を置いてくれないのだろう、と思ってしまいます。ここは下り坂の方へ進みます。
手すりのない下り坂なので、転ばないように気をつけております。
下りると橋があるので、橋を渡り、やや左手方向に上り坂を上ります。(地図緑の④)
坂を上ると目の前にかわせみの宿という旅館があります。この交差点には案内標識があるので、標識にしたがって右に曲がります。(地図緑の⑤)
右に曲がると道は長い下り坂。(地図緑の⑥)
下り坂が右にゆるやかにカーブしたところに、北向観音に行く参道の碑が立っています。(地図緑の⑦)
石畳の参道を進むのですが、ここにはカラーのデザインマンホールが設置されています。「別所温泉 岳の幟」(「たけののぼり」と読む)と書いてあります。上田市役所のHPによると、「岳の幟」は別所温泉に伝わる雨乞いの祭りで、青竹に色とりどりの反物をくくりつけた幟の行列が練り歩き、笛や太鼓に合わせてささら踊りや三頭獅子舞も奉納されるとのこと。国の無形民俗文化財に指定された珍しいお祭りで、毎年7月15日直近の日曜日に開催されているそうです。
石畳の参道を奥へ進むと公衆トイレがあります。屋内は暖房が効いていて、ウォシュレット機能付きのきれいなトイレでした。観光客には嬉しい施設です。(地図緑の⑧)
北向観音の境内に入りました。
北向観音は、ご本尊が北を向いていて、長野市の善光寺と相対する位置関係で、両方お参りしないと「片参り」になるのだそうです。伊勢神宮の外宮と内宮、いずれかしかお参りしない場合も「片参り」になるようです。
境内の手水は温泉が供給されていました。さすが温泉地。
北向観音は別所温泉の比較的高い場所にあるので、境内からは晴れていれば塩田平の眺めが広がっていそうです。
北向観音から足湯「ななくり」へ
北向観音から今度は足湯「ななくり」へ向かいます。アップダウンのある道を歩いてきたので、足湯で休憩したいと思うわけです。北向観音から階段を下りましょう。こちらが北向観音への参道なんですね。(地図緑の⑨)
参道を抜けて、前方に見える階段を上がります。階段を上がると道路にでるので、右に進みます。道路はやや下り坂。
通りを90mくらい下ると、T字路の交差点があるので、右折します。角の建物はこんな感じで、足湯「ななくり」の表示が出ています。ただ、この表示は下から坂を上がってきた人に見やすい方向を向いていて、北向観音から道を下っていくと、見えないので、曲がり角を過ぎてしまわないように要注意です。(地図緑の⑩番)
T字路を曲がると、もう目の前に足湯が見えてきます。(地図オレンジの③)
10時すぎでしたが、誰もいなくて貸切です。熱すぎず、ぬるすぎず、のんびりつかれます。奥の石垣の上は、さきほど行った北向観音です。
足湯に入っていたら、近所の住民の方が出てきて「ごゆっくり」と声をかけてくれました。住民の方も親切です。いい温泉地だ。足湯の隣には湯かけ地蔵というのが立っています。
このお地蔵様の由来について、案内板が設置してあります。それによると、佐渡に流された日蓮上人を慕って行った上田在住の春蔵さんが、佐渡の沼地を歩いていたところ、「春蔵、私はもう長いこと沼の中にいる。一度信州の湯につかりたい。身を清められたらそなたの望みをかなえよう]という声が聞こえてきて、沼地の中から見つけたお地蔵様ということだそうです。こういう案内板があちこちに日英併記で設置されているのを見ると、海外からのお客さまもたくさん見えるのだな、と思います。観光産業の町としては大事なことですね。
湯かけ地蔵の所に掲示してある温泉成分表を見ると、こちらは3号泉となっています。「花屋」の源泉は4号泉だったので、ちょっと違う源泉ですが、成分に大きな差はないように思います。
足湯近くのパン屋さん
足湯の近くに「パンとお菓子 まるふじ」というお店があります。ここで休憩してしまうと、チェックアウトに間に合わなくなりそうだったので、先に温泉街を一回りした後、旅館をチェックアウトしてから行きました。レトロな雰囲気の外観です。(地図オレンジ④)
11時くらいだったと思いますが、店内は行列ができていて、パンはほとんど売り切れ状態。開店は10時なのにびっくりしました。お昼に食べるパンが欲しかったので、行列に並んで買いました。店内でも食べることができます。こんなボードが出ていました。トイレが近くなるコーヒーよりありがたい。パンを買う時に一緒にオーダーしました。もちろんコーヒーもありますよ。
店内の喫茶スペースはこんな感じ。ストーブがいい感じです。
ポタージュスープは弱火で温めるので、15分くらい出てくるまで時間がかかると言われました。待った末に出てきました。
なめらかで、まろやかでとーっても美味しいポタージュスープです。おなかが温まりました。
足湯から国宝がある安楽寺へ
足湯から安楽寺に向かいます。北向観音から足湯に来た道を戻り、北向観音への入り口を北向観音とは逆方向の右方向に曲がります。ちゃんと案内表示が出ているので安心です。(地図緑の⑪)
しばらく歩くと、「黒門」に出ます。(地図緑の⑫)
黒門をくぐって奥に進むと駐車場があり、駐車場の下を右に曲がると、安楽寺に続く階段が見えてきます。(地図緑の⑬) 車道方向ではなく、柵が置いてある右方向の道を進みます。
急な階段を上ります。(地図緑の⑭)
階段を上ると安楽寺の山門です。拝観は朝8時からで、終わりは3月から10月は17時まで。11月から2月までは16時で終了です。
山門から突き当りまで真っ直ぐ進むと、左手に国宝の三重塔の拝観受付があるので、拝観料300円を払って中に入ります。ここから5分くらい坂と階段を上ります。
林の中を上っていくと、上の方に塔が見えてきました。
こちらが「八角三重塔」です。国宝です。受付でもらったパンフレットによると、建立は1290年代、鎌倉時代末期とのこと。歴史ある塔ですね。四重に見えますが、一番下の屋根はひさしに相当するということで、国宝に登録される時に三重塔として登録されたそうです。長野県で最初の国宝だそうですよ。(地図オレンジの⑤)
安楽寺から常楽寺へ
国宝を拝んだ後は、階段を降り、もと来た道を戻りますが、黒門をくぐらず、左手方向に進みます。写真の先は二股に分かれていて、案内表示があり、常楽寺は右側の小道です。常楽寺はこちらという案内標識もあります。(地図緑の⑯) 石畳に沿って進むと間違いないです。
この石畳の道は「さるすべり小道」という名前がついていて、途中、塩田平を一望できる場所もあり、気持ちのいい散歩道です。
山の名前を確認できる透明のボードも設置されていましたが、この日は霞がかかって山並みは確認できませんでした。
石畳の道をそのまま道なりに歩いていくと、常楽寺に到着です。
ぼちぼちそのチェックアウト時刻がせまってきたので、宿に戻ります。宿に戻る道沿いにも立派なトイレ。屋内暖房、ウォシュレット機能付きという観光客が快適に使えるトイレになっていてすばらしいです。
宿のチェックアウト時間が11時だと、朝食の後、こんな具合に街歩きができてとても助かります。ほとんど一周してきました。
別所温泉のカフェ
今回街歩きをしていて、別所温泉はとてものんびりした街並みと感じました。信州の鎌倉と呼ばれるだけあって、国宝などの神社仏閣があり、途中でコーヒーブレイクしたくなるカフェもありました。お寺は今回回れたので、次回はカフェめぐりをしてみたいです。散策中に見かけたカフェをご紹介します。
一つ目は足湯「ななくり」の近所で見かけたジェラートを主体とするカフェ「ハレテラス」。(地図オレンジの⑧)
パンとお菓子のまるふじのお隣にある「茶房まるげん」(地図オレンジの⑨)
常楽寺のすぐそばにある「お茶の間」(地図オレンジの⑩)
常楽寺への参道沿いにある「風乃坂道」(地図オレンジの⑪)
温泉と言えば温泉まんじゅう
せっかく温泉に来たのでお土産に温泉まんじゅうを買って帰りました。滞在した「花屋」の近所のおまんじゅう屋さん「鎌原まんじゅう」に寄りました。(地図オレンジの⑦)
自宅に帰ってから、電子レンジで温めて食べると美味しいとお店の方に教わったので、温めて食べました。ほくほくして美味しかったです。
上田電鉄で帰宅の途に就く
楽しかった2泊3日の鉄道旅もこれでオシマイ。来る時に乗った上田電鉄に乗って帰宅の途につきます。上田電鉄の別所温泉駅はレトロな雰囲気でいい味出している駅舎なんですよ。
駅舎の中のランプもおしゃれです。
駅舎内にコインロッカーがあるので、日帰り旅で別所温泉を楽しむ時には、荷物を預けて歩くことができます。
駅前にはこんな看板があり、10キロのウォーキングコースが表示されていました。塩田町駅まで歩いて、鉄道でまた別所温泉駅まで戻ってこれるコースです。
別所温泉駅の近くには、こんな車両が展示されています。
乗車する列車が到着しました。すぐに折り返し運転です。これに乗って帰ります。
上田までは590円です。
別所温泉を出るとどんどん坂を下っていく感じに走ります。
時速は40キロくらいです。
隣の八木沢駅もレトロな駅舎です。
中塩田駅もレトロな雰囲気。上田電鉄はこういうイメージの駅舎をウリにしているのかもしれません。
千曲川を渡ったら上田駅はすぐそこです。
上田駅からは北陸新幹線で一気に東京へ。上田駅は新幹線の通過線路がないので、通過列車はホームすれすれを走り抜けていきます。ホームドアがついているので、ホームのはじまでいくことはできません。ホームドアの内側にはりついて、通過するかがやきの写真を撮ろうとしたらものすごい風圧でびっくりしました。カメラを飛ばされるかと思いました。
楽しかった旅ももう終わり。次の旅の計画を立てることにしましょう。