2024年のGW直前に、富山県砺波市で開催されている「となみチューリップフェア」に妹と二人で出かけてきました。全体としては2泊3日の行程です。初日は羽田から富山空港へ。その後、バスと鉄道で砺波駅まで移動し、チューリップフェアの会場近くの庄川温泉郷にある「三楽園」という温泉宿に宿泊しました。スタッフのおもてなしも、富山の食材を上手に料理した食事も、成分が豊富な高張性の温泉も良く、お値段以上の宿と思いました。宿泊記と、この宿に泊まっての観光プランをまとめました。
三楽園の概要
- 部屋数は全21室。通常の和室から半露天風呂付のお部屋まで数種類あるが、お部屋のお風呂は温泉ではない。
- チューリップフェア開催中の平日に2人で泊まって1人18,000円くらい
- 泉質が異なる2つの源泉が楽しめて、1つは高張性の温泉
- お部屋でWifiは問題なく使用でき、客室内のコンセントも使いやすい。いろいろ行き届いている感があった。
宿の公式サイト
宿泊したお部屋
宿泊したのは庄川が見える10畳の和室で、こちらの宿の中では一般的なお部屋です。
窓の奥には新緑がまぶしい。窓からは庄川も見えます。庄川の川沿いには遊歩道があり、宿から歩いて5分ほど。翌朝散歩に行きました。宿の近くに歩けるところがあると嬉しいです。
広縁には冷蔵庫があり、中にはピッチャーに入ったお水が冷やされていました。このお水、夕食時にお布団を敷いてくれる時に、ちゃんと補充してくれてありました。こういうところまでサービスが行き届いている宿はとても居心地が良いものです。
2人で泊まったので、鍵も2本いただけました。温泉に入りに行く時などに、相方を待たせる心配がなくとても便利です。
お茶菓子は2種類用意がありました。
お部屋には緑茶の用意があります。お湯は都度沸かすタイプの電気ポットがあります。
コーヒーを飲みたい方は、1階のラウンジに無料でいただけるコーヒーマシンがあります。ココアや紅茶もあるので、コーヒーが苦手な方にも嬉しいサービスです。
お部屋にはお風呂はないですが、トイレと洗面台がついています。トイレはもちろんウォシュレット。洗面台はちょっと狭くて使いづらかったです。化粧ポーチを置けるスペースがあると良いと思いました。
お部屋でWifiは快適につながります。客室内にコンセントも複数個所あり、延長ケーブルの用意まであって、スマホやカメラの充電も困りません。
快適な滞在に欠かせない温度調整もお部屋ごとにスイッチがあり可能です。
浴衣はチェックインの時に選ぶスタイルです。この方式だとサイズ交換でスタッフの手間を取らせなくて良いと思います。しかも浴衣と作務衣の両方用意があり、両方持って行っても良いのです。温泉行く時には浴衣が便利ですが、お食事の時には作務衣が便利だったりするので、ホント手厚いサービスです。
お部屋には湯籠の用意がありました。お風呂で使うタオルやバスタオルは、大浴場前に用意がありました。
お部屋は掃除も行き届いていてとても快適。お布団は夕食を食べている間に敷いてもらえます。その時に冷蔵庫の中の冷水の補充も、使用した急須や湯呑の交換もしていただけました。
温泉
大浴場へは渡り廊下を渡って向かいます。
この廊下沿いにはこんな場所が。特に説明がされていませんが、たぶん鳥越の湯の源泉なのではないかと推測します。鳥越の湯は冷鉱泉なので触ると冷たいです。水盤の周辺がうろこ状になっていますが、浴室内の浴槽周辺もこんな感じでしたよ。
男女の入れ替えはありません。入り口前にはバスタオルと体を洗うタオルが積まれています。
暖簾をくぐったところでスリッパを脱ぎます。脱いであるスリッパの数が少ないと、「ラッキーお客さん少ない」と思うわけですが、スリッパ用のロッカーがあり、脱いであるスリッパの数だけでは中の混雑はわからないのでした。
私はスリッパの数で中の混雑が分かる方が便利だと思っています。私達が宿泊した日は女性のお客さんが多かったのか、チェックインしてから夕食の時間帯までは、いつも女湯は混雑していました。
脱衣所は籠方式で、お部屋の鍵を入れておける貴重品ボックスもありました。
こちらの宿では異なる泉質の温泉を楽しむことができます。
「鳥越の湯」は古くからある源泉のようで、鳥たちがキズを癒したという言い伝えがあります。こういう古くからある温泉は温泉らしくて好きですが、成分表によると源泉の温度が14.8℃と低く、分類としては冷鉱泉になります。そのため加温しています。泉質はカルシウム・マグネシウム・ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉とあり、浴室内では「炭酸鉄泉」と表示されていました。鉄分が多くてお湯は茶褐色です。
もう一つの源泉は「庄川清流温泉」という源泉名がついていました。こちらの泉質はナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉で、成分量が多く高張性の温泉です。鳥越の湯ほど鉄分が多くないですが、やや茶褐色なにごり湯でした。
浴室の写真は撮影できなかったので、公式サイトをご覧ください。
浴室内は内湯に浴槽が一つ、こちらには鳥越の湯が注がれていて、内湯は加水・加温・循環・消毒ALLありです。外(と言っても半露天)には鳥越の湯の浴槽と、もう一方の源泉の浴槽があり、こちらは加水・循環はしていないという表示でした。
鳥越の湯の浴槽はつかると鉄分や塩化物が多いせいか、良く温まります。浴槽が小さいので、妹と2人で入るには良いのですが、見知らぬ人と入るにはちょっと抵抗がある狭さです。人のいない時間帯(早朝など)を狙っていくと、1人でゆっくりつかれると思います。
お食事
夕食・朝食ともに食事処でいただきます。
隣のテーブルとは簾などで仕切られていて適度な距離感です。間隔が十分あいていたので、あまり周囲のことは気になりませんでした。
夕食
夕食は18:00、18:45、19:30スタートの3つからチェックインの時に選びます。時間になったら食事処に行くと、係の人がテーブルまで案内してくれました。
お品書きの冒頭に「ボリュームもありながら840キロカロリーに抑え」と書かれていますが、とても満足度の高いお食事でした。
ノンアルコールドリンクもラインナップも良くて、庄川ゆずジュースのソーダ割を注文しました。1杯495円は安すぎます。600円でも注文します。
まずはテーブルに並んでいた先付と前菜からいただきます。先付はホタルイカと筍で春の富山の食材という感じです。
こちらは前菜。右手前は白エビでこちらも富山の海の幸です。
続いてめかぶのスープです。椀物に相当するのでしょう。蓋を取ったらみどり色のスープと思っていたのですが、蓋を取ったら白いスープでびっくり。生クリーム仕立てなのだそうです。
続いて小鉢としてかわいいお寿司が運ばれてきました。昆布で巻いてありますが、富山県民は昆布が大好きなんだそうです。
続いてお造りが運ばれてきました。こちらの写真は2人分です。お造りが最初からテーブルに置かれている宿もありますが、なんとなく干からびてしまいそうで、私は後から運んで来てもらう方が嬉しいです。
マグロ、タイ、ホウボウ、甘えび、白エビ(大根の上に乗っている)が本日のお造りの内容でした。大根おろしやポン酢、塩、甘めのお醤油でいただきます。白身のお魚には塩とレモンがよく合いました。
焼き物は甘鯛でした。
続いて揚げ物です。通常これくらいになると、もうお腹いっぱいとなることが多いのですが、カロリー控えめのせいか、まだまだいけます。しかも揚げ物はこごみ、フキノトウ、ペコロスと全部春のお野菜でメチャおいしい。
鍋にも火が入り、夕食も終盤です。
この後お食事とみそ汁ですが、自分のお腹事情に合わせて、セルフサービスでした。
最後にデザートが出て夕食は終了です。
デザートが出て食事は終わりと思ったら、さらにお夜食にどうぞ、ともう一皿運ばれてきました。こちらはお部屋に持ち帰りました。お食事、とても満足度が高いのですが、このお値段で良いのでしょうか。
朝食
朝食は7時から食べられます。テーブルは夕食の時と同じテーブルです。部屋番号が表示されているので迷うことはないですし、スタッフが案内もしてくれます。お客さんの数に対して対応するスタッフの数も十分な印象を持ちました。
朝食にもお品書きがあり、富山の美味しい朝ご飯と書かれていました。本当に美味しかったです。
ご飯は卵掛けご飯でいただくのですが、まずは黄身と白身を分離させ、先に白身をご飯にかけて混ぜ混ぜしてから黄身を乗せる手順です。分離させるための道具もちゃんと用意がありました。テーブルに用意されていた海苔出汁が美味しくてご飯がすすみました。
とても美味しい朝ご飯でした。
庄川沿いの遊歩道を散策
宿泊した翌日は10時に宿を出ることになっていたので、朝ものんびり。お部屋からも見えていた庄川まで行ってみると、遊歩道が整備されていたので歩いてみました。往復で1キロちょいのコースです。
こんな感じの遊歩道です。舗装されていて歩きやすそう。庄川はこの先にダムがあり、この遊歩道沿いはゆったりとした流れで、水鳥がのんびり泳いでいました。
遊歩道沿いにはクイズがあったり、この辺りで見られる水鳥の説明があったりと、なかなか楽しめます。
この辺り、鯉がいるのかな。鯉の名前がついた橋や、他にも鯉と恋を合わせたカップル向けの施設もありました。
さらに進むと、何やら変わった建物が。これは鯉恋の宮という恋愛成就のパワースポットという位置付けのようです。下の写真は遊歩道側から見ています。もう少し先まで遊歩道を歩き、帰りは車が通る道路側を歩いて宿に戻ったので、その時に全体を紹介します。
鯉恋の宮をすぎて10分も歩かないうちにダムに到着しました。
ここからは車も通る道路を宿に向かって戻ります。道路沿いには噴水や立派な建物がありましたが、朝飯前の時間帯なので、誰もいなくて静かでした。
さて先ほどの鯉恋の宮、こちらが表のようですね。
上部の先端には鐘が設置されています。
せっかくなので鐘を鳴らしに上ってみました。高所恐怖度なんていう看板があります。
足元がメッシュになっているのでなかなか高度感もありました。きっと恋人同士がキャー、とかわーとか言いながら手と手を取り合いながら上って行くことを想定しているものと思います。おばさん2人で来ても仕方のない施設なのだとこの辺りで気づきました。
こんな感じです。
2階には縁結びのマスコットのような「なで鯉こいっぴ」がいました。この施設、賑わっているのかなー。若い人にはウケそうな施設ですが、そもそも庄川温泉郷にこういう年代の人がどれくらい来るのか疑問です。
ダムから戻る道はこんなルートで、距離は650mと表示されています。宿に向かってダムからは上り坂です。
アクセス
庄川温泉郷は富山県砺波市にあります。最寄り駅はJR城端線の砺波駅で、宿の無料送迎があります。事前予約制です。乗車時間は20分くらいでした。
バスはマイクロバスよりは小さい大きめの1boxタイプで、たぶん9人くらいしか乗れないのだと思います。行きは14:15発と15:00発の2本ありますが、帰りは10時のみです。そのため帰りは乗り切れない人が出ます。その場合はタクシーを用意してくれます。ラッキーにも私達姉妹だけでタクシーで砺波駅まで送ってもらえたので、他のお客さんより早く出発でき、その後のチューリップフェアに行くにもシャトルバスへの乗り継ぎが抜群で大変助かりました。
観光プラン
チューリップフェア
最寄り駅が砺波駅、砺波と言えばチューリップです。今回の旅の一番の目的はチューリップフェアに行くことでした。宿をチェックアウトした後、砺波駅まで送ってもらいましたので、砺波駅からの無料シャトルバスを利用してチューリップフェアに行ってきました。たいへん見ごたえがあり行って良かったです。
庄川遊覧船
宿よりももう少し上流に遊覧船乗り場があります。歩いて行くには距離があるのですが、路線バスでも行ける感じ。車が一番便利と思います。今回は行きませんでしたが、次回庄川温泉郷に来た時には行ってみたいなと思いました。
雨晴海岸と氷見温泉
私達の旅の2泊目は氷見温泉に泊まっています。チューリップフェアを楽しんだ後、氷見温泉の手前の雨晴駅で途中下車し、富山湾の景色を楽しみました。海の向こうに立山連峰が見えると良かったのですが、この日は曇っていて残念。砺波駅からは高岡駅で氷見線に連絡しています。
運河で船のエレベーター体験
最終日は富山駅近くの富岩環水公園から乗船できる富岩水上ラインにのりました。運河の途中にある船のエレベーターを体験できて、乗り物好きには楽しい観光でした。
黒部方面に行く
砺波駅があるJR城端線は、途中の新高岡駅で北陸新幹線に接続しています。北陸新幹線を利用すると、宇奈月温泉にはお昼過ぎに到着できるので、午後のトロッコ列車で欅平往復も可能です。
※2024年は能登地震による被害があり、9月末までは欅平までは行けず、猫又駅までの折り返し運転です。
こちらは私が2019年の秋に黒部峡谷鉄道に乗車した時の記録です。
2泊目はホテル立山というプランも
富山県は海もあれば山もあります。砺波駅から電車やケーブルカー、高原バスを乗り継いで室堂に向かい、ホテル立山に一泊すると、翌朝は静かな室堂で絶景を堪能することも可能です。10時35分に砺波駅を出る列車に乗ると、途中込まなければ14時過ぎにホテル立山がある室堂に到着できます。
まとめ
三楽園は食よしお湯良しスタッフ良しの3拍子揃った宿でした。お食事は高級食材というわけではないのですが、お料理が工夫されている印象があり、とても良かったです。一番の驚きはめかぶのスープでした。朝食の卵掛けご飯や海苔出汁も食が進んでとっても良かったです。
お部屋のコンセントも使いやすく、最初からお部屋に延長ケーブルがあったのも大変助かりました。夕食を食べている間にお布団を敷いてくださる時に、使用済の急須を交換してくれたり、冷蔵庫内の水を補充してくれたりと、細かい所まで行き届いている感がありました。これだけの内容で1人2万円しないというのは、今のご時世、ちょっと安すぎると思いました。
富山を2泊3日で旅してみると、見どころが多く一度では回り切れません。海あり山あり川ありと、自然を堪能できるので是非また訪れたいと思いました。