瀬見温泉駅という無人駅が、陸羽東線の新庄駅寄りにあります。陸羽東線は「奥の細道湯けむりライン」という愛称があり、沿線にはたくさんの温泉があります。瀬見温泉もその一つ。以前陸羽東線で鉄道旅をした時に、窓から木造4階建ての古い建物が見えて、気になっていました。この建物は喜至楼という旅館で、泊まるにはちょっと勇気がある感じだったので、今回は瀬見温泉の中で一番大きな「観松館」という宿に泊まりました。お部屋で源泉かけ流しのお風呂が楽しめる七宝倶楽部のお部屋に宿泊したので宿泊記を書きました。
- ゆめみの宿観松館の概要
- アクセスとチェックイン
- 七宝倶楽部の「きいろい稲穂」に宿泊
- お部屋のお風呂は24時間源泉かけ流し
- お食事
- 館内施設
- 皇室御用達の宿
- 瀬見温泉街
- 今回の旅の旅行記
- 瀬見温泉以外にも陸羽東線にはたくさんの温泉がある
- まとめ
ゆめみの宿観松館の概要
- 58室で全室バス・トイレ付き。上皇様、天皇陛下、秋篠宮様も訪れたことがある宿。
- 七宝倶楽部と呼ばれる半露天風呂付のお部屋が7室あり、源泉かけ流しのお湯を24時間お部屋で楽しめる。今回は七宝倶楽部に宿泊。1人でも宿泊可。
- 館内のPW付きWifiはあるが、泊まった部屋ではほとんどつながらなかった
- 最寄り駅の瀬見温泉駅まで無料送迎あり。歩いても10分ほど。
宿の公式サイト
アクセスとチェックイン
行きは瀬見温泉駅から歩いて向かいました。
徒歩10分くらい。連絡しておけば行きも帰りも無料送迎してくれます。帰りは車で送っていただきました。
駅前の道路を横断して、義経通りをてくてくと歩いて行きます。歩道がついているので歩きやすいです。
小国川を渡る義経大橋を渡ります。橋の奥の方に見える高層階の建物が目指す宿、観松館です。
こちらが宿の玄関。到着です。部屋まで自分の靴で行くスタイルです。これだと外に出かける時に、いちいち靴を持ってきてもらわずとも済むので、私は結構このスタイルが好きです。
玄関を入ってチェックイン手続きをしたら、ロビーで自分のサイズに合う浴衣を選びます。
ロビーにいろいろなアメニティが揃っています。通常のお部屋の場合は、こちらから必要なものを持って行くスタイルのようです。
今回宿泊した七宝倶楽部のお部屋には、浴衣以外のアメニティはそろっているので、浴衣だけいただいてエレベータでお部屋のある3階に向かいました。
七宝倶楽部の「きいろい稲穂」に宿泊
今回は奮発して七宝倶楽部のお部屋をチョイスしました。七宝倶楽部は7室あり、すべてデザインが異なり、すべてのお部屋に源泉かけ流しの半露天風呂がついています。
私が選んだのはツインベッドにダイニングがワンルームになった「きいろい稲穂」というお部屋。予約の時に部屋を指定して予約するスタイルです。こちらがお部屋で、奥のテラスにお風呂があります。
広さは公式サイトによると36.4㎡です。テレビはベッドコーナー側にあり、DVDデッキもあります。
枕元にはコンセントがあり、寝ながらスマホも問題なし。
こちらがダイニングテーブルで、夕食はこのテーブルでいただきました。PC作業するにもちょうど良いテーブルと椅子のセットなのですが、Wifiがほとんどつながらいのが残念。
洗面台は入り口入ってすぐの所にあります。奥の引き戸の中はウォシュレットタイプのトイレです。
洗面台にはドライヤー、基礎化粧品や歯ブラシ、ボディタオルの用意がありました。
カウンターにはお茶のセットが用意されていて、湯呑だけでなくコーヒーカップもありました。ドリップバックのコーヒーも用意されていましたが、ロビーにコーヒーマシンがあり、いつでもコーヒーが飲めます。
お湯は都度沸かすタイプの電気ポットが用意されていて、ポットには氷水がたっぷり入っていました。
ダイニングの上にはお茶請けのお菓子が用意されていました。
小型の冷蔵庫の中身は空で、グラスが冷やされていました。
クローゼットには羽織とタオル類、湯籠の用意もありました。今回は大浴場には行かず、ずっとお部屋のお風呂で温泉を楽しんでいたので湯籠は使いませんでしたが、大浴場に行くのに便利です。
写真は撮っていませんが、お部屋で履くスリッパも、館内を歩くためのスリッパも用意があります。どちらも繰り返して使うタイプですが、室内用のスリッパは使い捨てタイプの物も用意がありました。
お部屋の空調は温度調整も風量調整もできるタイプでした。スイッチがややわかりづらいところにあり、チェックインした時はなんとなくむしっとしていましたが、温度のつまみを低い温度の方に回したら、部屋の中が涼しくなりました。
お部屋からの眺めは森の緑が見えるくらいで、小国川は見えません。が、陸羽東線の列車を見ることができます。カタンカタンという列車の音が遠くから響いてきて、やがて目の前を通過していく、という光景を何度か見ました。
お部屋のお風呂は24時間源泉かけ流し
今回泊まったお部屋にはテラス部分に源泉かけ流しのお風呂があります。宿のサイトには露天風呂とありますが、屋根があるし、窓を閉めれば屋内スペースになるので、半露天風呂という感じです。窓には網戸が入っていて、夜に灯をつけながら入浴しても虫が寄ってくる心配はないし、雨風が強い時でも安心して入れるので、私は良いと思います。
ちゃんと洗い場もあり、シャンプーなどもそろっていたので、私は今回は大浴場を利用せず、ずっとこのお風呂を利用していました。
こちらの宿の大浴場は、深夜は入浴できないのですが、お部屋のお風呂は24時間かけ流しなので、いつでも入れます。3階の部屋なので、なんとなく窓の向こうの建物から丸見えな感じがするのがちょっと気になりますね。簾とかがあると良かったのですが。
瀬見温泉の泉質は「ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩温泉」で、よく温まります。
源泉の温度が67.3℃と高いので、加水しているそうです。瀬見温泉ではこちらの宿を含めて5軒の宿があるそうで、一か所に温泉を集めて、そこから分配しているそうです。大浴場やお部屋のお風呂にも加水しているとはいえ源泉かけ流しで供給できているということは、けっこう湯量豊富なのかもしれません。
お部屋で源泉かけ流しの温泉が楽しめると、大浴場まで行く必要はなく、パッと脱いでざぶんとつかれるのが最高です。大浴場だと湯船の中で肌をスリスリできないですが、今回は存分にお風呂の中でお肌をスリスリしたり、顔を洗ったりできて、本当に温泉を楽しめました。
お食事
七宝倶楽部のお部屋は、夕食はお部屋食、朝食は他のお部屋の皆さんと同じく、宴会場でのビュッフェスタイルです。
夕食
こちらがこの日のメニューで、いろいろなお料理が出てきて楽しめました。
食事の飲み物は、山形ですから日本酒もワインも豊富にありますが、飲めない私はソフトドリンクからチョイスします。ノンアルのカクテルなどもあり、飲めない人も注文したくなりますね。
ノンアルコールの飲み物を注文したら、係の方はベトナムからの研修生でしたが、「食前酒はワインですが、大丈夫ですか?」と確認してくれて、お気遣いが嬉しかったです。日本人でもこういうこと聞いてくれない宿もあります。私は飲めませんが、一口くらいなら大丈夫なのです。
部屋食だと一度にたくさんのお料理を運んでくるので、熱々で頂ければもっと美味しかっただろうに、というものもあります。たとえば蒸し物。熱いうちに食べたかったので、先付より先に蒸し物を食べてしまいましたが、これは仕方ないですね。
山形牛はステーキではなく、ローストビーフとして提供されました。これも熱々での提供が難しいからなのかもしれません。
山形牛を熱々でいただけるよう、固形燃料で温めながらいただく芋煮風のしゃぶしゃぶも用意されていました。が、写真撮るのを忘れました。もう一つ固形燃料のお料理は、山形県舟形町の名産品である、大きなマッシュルームを使ったお料理です。
ここまででもかなりの量を食べた感じですが、この後、お造りと鮎の塩焼きも運ばれてきました。お造りのガラスの容器の中には山形サーモンが入っていて、ガラスの容器が透明になったら食べて下さいとのことでした。
最後はお食事とデザートです。ご飯もデザートも運んで来てほしいタイミングになったら、フロントに電話するシステムでした。ご飯はとろろご飯です。これはおなかの中で膨れるので、食べる量に気を付けていただきました。
デザートはフルーツとシャーベットの盛り合わせで、フルーツの下にシャーベットが入っていました。
どのお料理も丁寧に作られている感じがして、とても美味しかったです。私にはちょっと量が多くて残してしまったお料理もあるので、小食プランがあるとさらに嬉しいかも。山形はフルーツもお肉も野菜も美味しくて良いですね。
朝食
朝食は宴会場でビュッフェ形式です。お部屋に朝食券が用意されていました。
前日の夕食を食べすぎて、なんだか朝はおなかがあまり空いておらず、写真を撮るほどお料理をとらなかったので、別の情報を。前日の夕食のお片付けの際、ベトナム人研修生のスタッフが、朝食のおススメを下さいました。こういうのがあると、食欲がない朝でも、これだけは食べておこうというのが選びやすくて良いと思いました。
会場はこんな感じです。食欲がないながらも、ご飯に納豆、温泉卵、マッシュルームのスープに鳥海山のヨーグルト、フルーツをいただきました。
館内施設
ロビーにはコーヒーマシンが用意されていて、いつでもコーヒーを飲むことができます。
その前のテーブルにはマシュマロや柿ピーなどのお菓子やほうじ茶のティーバッグなども用意されていました。夕食が7時からとちょっと遅かったので、おやつに一ついただきました。
自動販売機もあります。
なんと、シミュレーションゴルフまであるんだとか。
部屋の窓から下を見下ろすと池があったので、庭園もあるのかもしれません。プールもありそうな気配ですが、なんせ今回は部屋から出ることがほとんどなかったので、あまり館内を探検していません。
皇室御用達の宿
瀬見温泉自体はそんなに栄えた温泉街ではない、というか、かなり寂れた印象がありますが、こちらの宿には皇族方が何度か訪れていて、失礼ながら不思議な感じがしました。新庄からは車で20分くらいなので、新庄辺りで催しがある時には便利なのかもしれません。館内には皇族方が訪れた際の写真が飾られていました。
瀬見温泉街
瀬見温泉には小さいながらも温泉街があります。温泉街の長さは100mくらいでしょうか。下の写真右手の建物は日帰り温泉施設です。
この温泉街の中で異彩を放つのが、鉄道の車窓からも見えた、木造3階建?4階建て?の古い建物です。
今も現役の温泉旅館の喜至楼さんです。木造建築の方は日帰り温泉の建物のようで、宿泊は裏手の別館のようですが、別館もなかなかの年季物です。
鉄道の窓から見えて以前から気になっていた建物を直に見ることができて満足しました。
ちなみに観松館と観至館は温泉街の通りを挟んでお隣さん、という位置関係なので、観松館の玄関を出ると、この建物が目に飛び込んできます。
さて、温泉街につきものの神社も観松館の目の前にあり、こちらには飲泉所がありました。
鳥居の横には瀬見温泉の由来なども紹介されています。駅から歩いてきた道が義経通りと言われるのは、義経の子供が産湯を使った伝説に由来しているのですね。
川沿いには「薬研湯(やげんのゆ)」がわいていて、ちょっとお風呂のように岩で囲われていますが、67度くらいのお湯だそうで、入れませんよ、と言われました。義経の妻が出産し、弁慶が産湯を探していたところ、湯けむりがあがる岩を見つけ、薙刀で岩を割ると、湯が湧きだしたという伝説があるそうです。
温泉街にはお菓子屋さんがあり、宿で前日に注文しておくと、朝フロントに届けてくれます。
こちらが宿に頼んでおいた温泉饅頭です。こちらのお菓子屋さんから朝届くわけです。包装も義経と弁慶でした。
温泉街の通りを端まであるくと、小国川を渡る赤い橋がありました。温泉には赤い橋も定番ですね。
瀬見温泉には私が泊まった観松館、気になっていた喜至楼以外にも宿があり、全部で5軒の宿があるそうです。温泉は一か所にお湯を集めて、そこから各宿に分配しているそうなので、どのお宿に泊まっても同じ温泉のようです。
今回の旅の旅行記
瀬見温泉に泊まったのは、2022年9月の大人の休日倶楽部パスでの旅でした。瀬見温泉の前には蔵王温泉に宿泊しています。旅の全体はこちらです。
瀬見温泉以外にも陸羽東線にはたくさんの温泉がある
陸羽東線は「奥の細道ゆけむりライン」という別名があるだけあって、沿線にはたくさんの温泉があります。中でも一番有名なのは鳴子温泉。紅葉の名所でもあります。
鳴子温泉駅の隣の駅、鳴子御殿湯駅前には東鳴子温泉があり、日本ではなかなか貴重な重曹泉が楽しめます。
陸羽東線に乗りながら温泉を楽しむのもなかなか楽しい鉄道旅です。
まとめ
陸羽東線を走るたびに、こちらの温泉が気になっていたので、今回念願かなって宿泊できて良かったです。車窓からだと木造4階建ての喜至楼が目に留まりますが、今回泊まった大型の旅館があることもわかりました。皇室の方が訪れるほどの宿だけあって、きちんとした旅館という印象です。食事の係はベトナムからの研修生ということで、皆さん真面目に親切に対応してくれました。夕食を運んで来てくれた方が、翌日の朝食会場で私を見つけて、あいさつに来てくれるなど、とても感じの良いスタッフさんでした。今回は露天風呂付の七宝倶楽部という良いお部屋だったので、金曜の夜に1人で泊まって2食付きで4万円ほどでした。高いと言えば高いのですが、源泉かけ流しのお風呂が部屋についているとなれば、これくらいのお値段かなと思います。Wifiは要改善と思いました。24時間いつでも入れる露天風呂付のお部屋で一つ注意点があるとすれば、常に温泉が流れる音がしていて、夜は気になる方もいるかもしれません。私は宿泊当日の日中はハイキングしてくたびれていたので、まったく気にせず寝落ちしてしまいましたが。なかなか瀬見温泉駅で下車することってないと思いますが、鉄道旅の途中で楽しめる温泉だと思いました。