長野県の美ヶ原山頂に立つ王ヶ頭ホテルは、めったに一人旅プランがでないこともあり、今まで泊まる機会がありませんでした。昨年の夏に美ヶ原の山頂の王ヶ頭に来た時に実際のホテルを見て、ここに泊まって夕焼けや星空、日の出の景色を楽しんでみたいと思い、旦那さんを誘って宿泊しました。天気に恵まれ360度の大パノラマを楽しめ、食事も美味しく、ホテルスタッフ総出の全力サービスは素晴らしく、思い出に残る旅となったのでご紹介します。
王ヶ頭ホテルの概要
- 部屋数45室。部屋食できるスイートルームもある。お部屋はトイレ付き。
- クレジットカード使用不可
- 部屋でのwifiは電波が弱くて厳しい。ロビー付近では使用可能。部屋のコンセントの数は問題なし
- 男女別の大浴場、無料の貸し切り風呂あり。ただし温泉ではない。
- 松本駅からの無料送迎バスあり
長野県の八ヶ岳中信高原国定公園にある美ヶ原の山頂に立つホテルです。森林限界を超えているので、ホテル周辺はテレビ塔以外視界を遮るものはなく、富士山、南アルプス、中央アルプス、北アルプス、浅間山など、360度の大パノラマを楽しめます。
夏場はマイカーで簡単に美ヶ原高原まで来られますが、冬はそうも行かないので、雪の美ヶ原にはホテルゲストのみという、なんとも贅沢な空間を楽しめます。
ホテルの公式サイト
お部屋
王ヶ頭ホテルのお部屋は展望ビューバス付きのスイートルームから、トイレ付きの和室8畳までカテゴリーが複数あります。お部屋は東館と南館に分かれていて、それぞれ楽しめる景色が異なります。今回1月の宿泊で、日の出を見たかったので、東館の和室8畳という安いお部屋を選びました。窓は曇りのないように磨かれていて、白い大雪原を見渡せます。
窓からの景色はこんな感じです。下の写真では雲の中ですが、八ヶ岳と富士山まで見ることができます。南館だと南アルプスも見えるそうです。
こちらの写真は窓の方から撮ったお部屋の中です。木の扉の中は洗面台です。トイレは入り口横にユニットバス形式のものがついています。つまり部屋でお風呂にも入れます。
こちらが洗面台。コンパクトですがちゃんとお湯も出るし、基礎化粧品やドライヤーもあります。標高2034mの山頂に立っているとは思えない快適さです。
洗面台の下には冷蔵庫があり、庫内にはサービスのミネラルウォーターが用意されていました。
お部屋には沸かす機能がついたポットがあり、お茶は緑茶が用意されていました。下の段にあるのは、加湿器です。
お部屋には浴衣ではなく、館内着と羽織の用意があり、レストランも館内着とスリッパで構いません、ということでしたが、割と薄い生地だったので、レストランは着替えて利用しました。
ホテルにはPWありのWifiの用意がありますが、お部屋ではWifiが弱くて使えません。ラウンジや2階、4階のフリースペースでは使えるようなので、ワーケーションもできるかも。お部屋のコンセントは、テレビや電気ポットのところにあるので、スマホやデジカメの充電も困りませんでした。和室の場合、夕食の間にお布団を敷いてくれます。
ホテルの全力サービス
その1: 雪上車体験
冬の王ヶ頭ホテルのメインアクティビティがこの雪上車体験です。追加料金は不要です。15:15~15:45が受付時間なので、チェックインしてお部屋に荷物を下ろしたら、フロントに戻って申し込みましょう。雪上車は何台かあり、美しの塔までお客さんがいる限り往復してくれるので、受付時間内に受付が終了すれば、すべてのお客さんを案内してくれます。
雪上車は20人くらい乗れて、定員が集まると出発という感じでした。一番前の席に陣取ると、前方の景色も楽しめます。
牧場の中の道ですが、途中アップダウンがあり、出発前に「舌を噛まないように」という案内がありました。確かにお尻が浮くくらいの凸凹感がありました。乗車時間は5分ほど。美しの塔の前で下車します。下の写真、奥の鉄塔が立っている所が王ヶ頭ホテルのある場所です。
ここで15分ほど撮影タイムです。雪上車で来た人しかこの大雪原の上にはいないし、富士山も見えるし、このアクティビティに参加しない手はありません。
ちなみに夏に来るとこんな感じです。
その2: ウェルカムドリンク
17時になるとロビーではウェルカムドリンクのサービスがあります。シャンパン、リンゴジュース、甘酒の用意があり、好きなものを1種類選べます。
ウェルカムドリンクサービス以外の時間には、温かい笹茶のサービスもありました。
その3: 美ヶ原高原の四季をスライドで紹介
スライドで美ヶ原の四季を紹介してくれるイベントが夜8時から30分ほど行われます。スライドでの紹介なので写真はありませんが、こんな会場で説明してくれます。
初めて雪の美ヶ原に来ましたが、雪のない季節も美ヶ原の名に恥じないきれいな景色や草花が楽しめます。私は無雪期に何度か訪れていて、直近では前年の7月に来ていて、いろいろな花が咲いていたのを覚えています。
その4: 星空観測
標高2034mの高地にあり、空気もきれいな美ヶ原では周囲に街の明かりもないので、星空観測にはもってこいの環境です。この日は月もなく、美しい星空が広がっていて、目が慣れてくるとかなり暗い星まで見ることができました。が、私のカメラではその星空を写すことはできないので、お話だけ。夜8:45から15分ほどで、ホテルのスタッフがホテル玄関前で主な星座と一等星、ウルトラの星(M78星雲の場所、肉眼では見えない)を教えてくれます。めちゃくちゃ寒いので、しっかりとした防寒対策が必要です。私はかなり着込んでいきましたが、足元からの冷えがきつかったです。
その5: 朝カフェ(飲み物は有料)
日の出を眺める場所にカフェがあり、日の出の1時間くらい前から開いています。
温かいコーヒーなどをいただくことができます。
ちなみにコーヒーはお代わりもいただけます。
カフェのスタッフの方は、日の出時刻の案内はもちろん、どの辺りの山が赤く染まるかなど、飲み物のサービスをしながら、外のテラスにいるお客さんにまで丁寧に教えてくれました。北アルプスの眺望はホテルの反対側になるのですが、どの辺りの山並みが見えるのかを寒い中走って確認しに行ってくれたりと、本当に親切にしてくださいました。
アクティビティの内容
滞在中のアクティビティや浴室の使用時間、送迎バスの出発時間などは1枚の用紙にコンパクトにまとめられてお部屋に用意されています。
お食事
夕食・朝食ともにレストランでの提供です。HPによると、スイートルームの場合は部屋食のようです。私は一番安いプランだったので、レストランでいただきました。
夕食
夕食の開始時間は18時か18時半からのチョイスです。20時から四季のスライド上映会があるので、スタッフからは18時からを勧められました。この日の献立はこちらです。和洋折衷のフルコースです。
まずは前菜。右は白子蒸し、右上は食前酒の葡萄酒です。
つづいて椀物です。和風のお出汁かと思ったら、コンソメスープになっていました。なかなか工夫されています。
焼き物は岩魚の塩焼きです。豪快に複数テーブル分運ばれてきて、1人ずつに取り分けてくれます。
つづいて冷菜としてお造りとサラダが出てきました。お魚は岩魚と川ふぐとのこと。川ふぐはナマズの仲間のようです。
台の物はクラムチャウダー。
続いて箸休めの「雪原」。洋食のフルコースだとお口直しのシャーベットという位置付けでしょうか。グラスの下に沈んでいる白い部分は、大根おろしと生クリームを混ぜたものだそうです。見た目にも「雪原」を表現しています。
つづいてメインのステーキです。ここまででかなりお腹いっぱいでしたが、脂身が少ないフィレ肉だったので、食べられました。
お食事はニシン茶漬けでこれまた一ひねりしてあります。最後にデザートで終了。お茶漬けも美味しかったのですが、もうお腹いっぱいで残してしまいました。ごめんなさい。ちなみにお茶漬けはお代わりもあるとのことでした。若い人には良いかも。
朝食
朝食は7時半か8時からのチョイスです。基本は和食ですが、最後にコーヒーが提供される際、希望すればパンをいただくことができます。が・・・私はすでに和食でおなかいっぱいだったので、パンは遠慮しました。
一通り食べた後、コーヒーとともにヨーグルトも出てきます。こちらはいただきました。
お風呂
こちらのホテルのお風呂は温泉ではありませんが、標高2034mの山頂にあるのに、大浴場に貸切風呂まで用意されています。水は貴重なのでゲストには節水をお願いしていますが、立派なお風呂が用意されているとは、ホントに感謝です。
大浴場
大浴場は男女別に用意があり、男性は1階、女性は2階にあります。タオル類は大浴場に用意があるので、部屋からは手ぶらで行けます。チェックインから翌日お昼の12時まで、夜中でも利用可能です。
山頂にあるホテルなので、大きくガラス窓が設けられ、展望風呂になっています。
無料の貸し切り湯が3か所
4階には無料の貸し切り湯が3つあり、予約は不要。空いていれば滞在中何度でも利用できます。
貸し切り湯にも洗い場がありました。洗い場の奥に湯船があります。
貸し切り湯も大浴場同様に展望風呂になっています。
日の出の時間帯にこちらから日の出を楽しんでいる人もいました。下の写真のカーテンがない最上階の窓の部分が貸切風呂です。
くつろぎスペース(展望ラウンジ)
貸し切り湯がある4階には北アルプス方向に窓があるくつろぎスペースがあります。
こちらには煎茶、ジャスミン茶などが冷・温両方提供する給茶機があります。
日中はこちらの部屋から北アルプス方向の景色が見えます。日没時にはここから夕焼けを楽しむこともできそうです。
とことん絶景を楽しもう!
王ヶ頭ホテルは美ヶ原の山頂に立ち、周囲にはテレビ塔以外に視界を遮る物はないので、滞在中は360度の絶景をとことん楽しむのがおススメです。
夕暮れを楽しむ
チェックイン後の雪上車体験が終わると夕暮れの時間帯。是非赤く染まる空や富士山を楽しみましょう。
早起きして日の出を楽しむ
夕暮れだけでなく日の出シーンもおススメです。翌朝の日の出の時間はロビーに掲示されています。気温も表示されているので、相応の寒さ対策をして楽しみましょう。1月初旬は日の出時間はまだ遅いので、比較的朝がゆっくりなのは助かります。
この日の日のでは6時50分ですが、6時の時点で東の空が赤くなってきました。
富士山はシルエットで見えています。富士山の近所に生息している私にとって、富士山はドーンと見える山ですが、こうして遠くから見る富士山は本当に厳かで美しいと感じました。
日の出の10分くらい前になると、玄関前のテラスにも大勢の人が集まります。
いよいよ日の出です。太陽の右側の台形の山は富士山ではなく、蓼科山です。
日の出の瞬間の富士山も。富士山と太陽の間の山並みは八ヶ岳です。稜線がくっきり見えています。
ここまではホテル玄関前のテラスで眺めていましたが、太陽が上がったら、今度はホテルバスの駐車場の方に移動して、北アルプスのモルゲンロートを楽しみます。この時間帯に王ヶ頭の山頂に行けば、赤く染まる御岳山が見えたと思います。
屋上展望台から360度の景色を楽しむ
ホテルには屋上展望台があります。
展望台に上がると、テレビ塔以外に視界を遮るものはなく、本当に360度の大展望を楽しめます。まずは東の方向。前日に雪上車で行った美しの塔が大雪原の中にポツンと小さく見えます。
南には富士山を挟んで、左に八ヶ岳、右は南アルプス。
西方向はテレビ塔がかかりますが、北アルプス。槍ヶ岳もはっきり見えます。
テラスの柵には海老のしっぽのような雪の造形ができていました。
百名山に登頂する
王ヶ頭ホテル自体がほぼ山頂ですが、山頂碑や山頂の三角点はホテルから100mほどの場所にあります。標高差はほとんどないので、徒歩5分という感じで山頂です。
こちらが山頂の碑です。碑の左奥の白い山は御岳山です。
お約束の三角点タッチも。夏に来た時には地表から30センチくらいの高さがありましたが、ほぼすっぽり雪に埋もれている感じでした。
美ヶ原の雪原も
ホテルから少し下った所には美ヶ原高原の大きな看板も。背後には夏には牛が放牧されている広大な牧場ですが、今は牛もおらずただただ真っ白な雪原が広がります。
というわけで、冬の王ヶ頭ホテルでは、とことん美しい雪景色と大パノラマを楽しみましょう。
アクセス
冬の王ヶ頭ホテル周辺の道路は、一般車の立ち入りは全くできないため、ホテルの送迎バスを利用することになります。鉄道利用者は松本駅からの送迎があります。車で来ている場合は、美鈴湖に駐車場があるようで、美鈴湖からの送迎になります。私は雪道の運転はちょっと心配だったので、鉄道で出かけて、松本駅からの送迎を利用しました。
松本駅近くから王ヶ頭ホテル方向を見ると、こんな山が見えます。頭に鉄塔が2本たっている山に向かっていきます。
松本駅からは1時間半くらい。途中美鈴湖でトイレ休憩が必要な場合は、美鈴湖のトイレに寄ってくれるようですが、私が乗ったバスはそのまま通過しました。
美鈴湖までは一般車が入れますが、美鈴湖から先は許可車以外の通行はできません。
最初は林の中をくねくねと登っていきますが、やがて森林限界を超えると視界が開けます。そうすると撮影タイムのため、バスを一時停車してくれます。なんせ他に車は来ませんから、安心して景色を堪能できます。なんて素敵なサービス。
この日は北アルプスは雲の中でしたが、松本市や安曇野市街が眼下に広がっていました。
青空が素晴らしくきれいで、白い雪とのコントラストも美しく、テンションがあがります。
霧氷?樹氷?の林もきれい。
王ヶ頭ホテル宿泊の際の注意点
景色もサービスも言うことなしの王ヶ頭ホテルですが、注意点もあります。
クレジットカードが使えない
支払いの際、クレジットカードが使えない、ということです。日常現金を持ち歩く機会が少なくなりましたが、宿泊代+お土産代や飲み物代分の現金を忘れずに持っていきましょう。
冬の早朝・夜間の寒さ対策は万全に
私が泊まった時の星空観測や日の出時間は、マイナス14度くらい。裏起毛のズボンをはいているだけでは寒く、モンベルのダウンのブランケットMサイズを持っていき、腰に巻いて過ごしました。こんなやつです。腰に巻くと、ちょうど足首辺りまで覆われて良かったです。
やや空気が薄い
標高2000mを越えると、人によっては空気が薄いと感じる方もいるようです。またお酒を飲む方は酔いやすくなるので、飲みすぎに注意しましょう。
まとめ
以前から泊まってみたいと思っていたものの、一人では泊まれないホテルだったので、今回念願かなって宿泊でき、しかも冬の絶景を存分に楽しむことができました。ホテル側もゲストを飽きさせないプログラムをチェックインから次々と用意していて、本当にありがたかったです。どのスタッフもてきぱきと仕事をこなし、かといってゲストへの注意も払い、いつも笑顔でゲストが必要とする情報やサービスを提供してくれていて、プロフェッショナルさを感じました。
山の山頂にあり、水の確保も大変と思うのですが、大浴場以外に貸切風呂まで用意があり、食事の内容も素晴らしく、1泊2食付きで1人18,900円はちょっと安すぎる感じがしました。スタッフの人数も多く、サービスが手厚いので、1人25,000円くらいでも良いのでは?と思いました。
一人旅プランがないのが残念なので、平日限定で割高でも良いので、是非是非一人旅プランを出してほしいなと思いました。スタッフの方にお尋ねしたら、コロナの時期でお客さんが少ない時には一人旅プランを用意したこともあったのだとか。この景色とサービスなら、2人分払うから1人で泊めて下さいとお願いしたいほどのホテルでした。
夏に美ヶ原を訪れた時の模様はこちらです。