鉄道と自転車でプチ冒険に出よう

主に鉄道で行く温泉を楽しみ、旅の記念にマンホールの捕獲を楽しんでいます。宿の宿泊記やマンホールカードを紹介しています。

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田辺朔郎氏の偉業を訪ねて。日本三大車窓の一つ狩勝峠を訪ねる

田辺朔郎氏は明治から昭和にかけて活躍された日本の土木技術者です。当時の土木工事は、外国から招へいした技術者の指導のもと行われていましたが、明治23年に完成した琵琶湖疏水工事は、まだ大学を卒業したての田辺氏が指揮を執り、初めて日本人の力で完成させた工事でした。田辺氏はその後も北海道の鉄道敷設に大変な貢献をされた人物で、私としては是非田辺氏の人生を大河ドラマ辺りでやってほしいと思っています。北海道の十勝線ルートを探る中で道なき道を歩き、狩勝峠の名づけをしたとも言われています。日本三大車窓の一つ狩勝峠は是非訪れてみたい場所の一つでした。2022年4月に訪れる予定だったのですが、乗車予定の列車が運休になってしまい、直前で行くことができず、今回リベンジとなりました。

狩勝峠はどこにある?

狩勝峠は北海道空知郡南富良野町と上川郡新得町の境界にある峠です。

三大車窓の一つと言いながら、鉄路からは離れているではないか、と思うかもしれませんが、峠越えの難所に敷かれていた線路を今のルートに移設し、今はトンネルで抜けてしまうので、列車に乗ってもその絶景を眺めることはできません。その鉄路も自然災害によりバスによる代行運転がなされていて、国道38号線で狩勝峠を越えます。これは嬉しいことなのか寂しいことなのかビミョーではあります。代行バスでは狩勝峠は通過してしまうので、今回は新得駅からタクシーで狩勝峠まで行き、田辺朔郎氏の偉業に思いを馳せる旅となりました。

帯広から新得駅へ

今回の旅の初日は帯広空港に空路で入り、「愛の国から幸福へ」のフレーズで人気となった幸福駅や愛国駅を観光した後、十勝川温泉に宿泊しています。2日目はホテルをチェックアウトした後、帯広駅から特急「とかち」に乗り、新得駅に向かいました。

帯広から特急で新得駅へ

この日は狩勝峠を代行バスで越えて旭川まで行くので、乗車券は旭川駅まで買いました。

この日の切符

こちらの路線は単線なので途中の信号場で列車の待ち合わせがあります。

下り列車との列車交換で停車

帯広から40分弱で新得駅に到着しました。

新得駅

駅前には機関車に石炭を投入する火夫の像があります。狩勝峠の急こう配を登るには大量の石炭を投入し、峠で954mのトンネルに入るや、すすと煙と高温の下での過酷な任務となりました。当時の大任を果たしてくれた人々を後世に伝えるために立てられたのだそうです。

狩勝峠を越える機関車の火夫の像

ついに来た、狩勝峠

新得駅から旭川方面に向かうには、代行バスで狩勝峠を越えていきますが、代行バスでは狩勝峠で下車できないので、タクシーで狩勝峠に向かいました。新得駅前にタクシーは1~2台いますが、出払っていると困るので、事前に予約しておきました。

大カーブを眺める

新得駅から狩勝峠に向かう途中に、十勝線の難所の一つ、大カーブを眺められる場所があります。代行バスは通過してしまいますが、タクシーなら立ち寄ってもらえます。

上の地図の赤いマークの部分が大カーブを眺められる場所で、新得駅から国道38号線を狩勝峠に向かっていく途中にあります。入り口には小さいですが「鉄道遺産」の標識が出ています。

この標識が目印

冬にチェーンを脱着する場所なのか、駐車スペースは広いです。道の奥に看板が見えていますね。

大カーブ展望場へ

看板の横からは大カーブの築堤を眺めることができます。

かつての大カーブ

勾配を緩くするためカーブを取り入れて峠を越えるのですが、狩勝峠越えはそれでも25/1000という勾配で当時は北海道最大の難所でした。看板の説明によると除雪も手作業だったとか。苦労が多かったこのルートは昭和41年には勾配が緩い新ルートになり大カーブを走る列車はなくなりました。

大カーブの案内板

昔の十勝線跡は大カーブだけでなく、トンネルや橋梁も残っていて、歩いて回ることもできそうです。こちらのサイトではガイドツアーの案内もあるのですが、残念ながら2022年はツアーはお休みとのこと。歩いて鉄道遺産を見て歩くのも楽しそうです。

www.karikachi.org

狩勝峠

大カーブを堪能した後、いよいよ狩勝峠に向かいました。鉄道路線ではなく国道からの眺めになりますが、田辺朔郎氏が名付けた狩勝峠にやってくることができました。田辺氏が見た景色はどんなだったのでしょうね。

狩勝峠からの眺め

代行バスは峠を説明もなく通過していきますが、駐車場や展望台、トイレもあります。

展望台やトイレなどもある

タクシーの運転手さんが撮って下さいました。

記念撮影

旧新内駅

狩勝峠に立ったあとはタクシーで再び新得駅に戻りました。途中、新内駅があった所に寄ってみたら、SLや昔の車両が展示されていました。

旧新内駅

タクシー情報

事前に観光協会の方にタクシー情報を教えて頂き、新得ハイヤーに予約しました。狩勝峠を往復し、大カーブや新内駅にも立ち寄りほぼ1時間。実走での精算で12,000円ほどです。

city.hokkai.or.jp

新得名産のおそばをいただく

狩勝峠から新得駅に戻り、ちょうどお昼時だったので新得名産のお蕎麦をいただきました。9月末でちょうど新そばに切り替わったばかり。新得駅近くのお蕎麦屋さんの代表は「せきぐち」さんと「みなとや」さんの2軒です。今回は「みなとや」さんでいただきました。

お蕎麦が美味しい「みなとや」さん

開店前には行列することもあるそうで、この時は駐車場にはたくさんの車が停まっていましたが、幸い待たずに入れました。おろしそばをいただきました。

おろしそば

みなとやさんは、新得駅前の通りをまっすぐ歩いて2分ほどの場所です。

もう一軒のせきぐちさんは、本当に駅前です。

こちらがお店。

お蕎麦屋さんの「せきぐち」さん

新得駅の駅舎内にも立ち食いそばがあり、こちらもせきぐちさんが運営されています。

駅舎内のお蕎麦屋さんも「せきぐち」さん

新得駅前でマンホールウォッチングと遺産カード

新得駅前には新得町のデザインマンホールが設置されています。またマンホールカードではないのですが、新得文化遺産カードにこのマンホールがデザインされているのです。

新得町のデザインマンホールと文化遺産カード

文化遺産カードは駅舎内のショップのレジでもらえます。

新得駅舎内のショップ「ステラ」

この文化遺産カードはマンホールカードではないので、マンホールカード検索では出てきません。文化遺産カードはもう一種類ありまして、こちらは石勝線の写真です。新得町訪問の記念に是非。

石勝線の写真が入った文化遺産カード

ショップでは大カーブを走る列車の写真の絵葉書なども売っていて思わず買ってしまいました。

狩勝峠を越える列車

新得駅前にはポケモンの蓋もある

新得駅前に設置されてマンホールはカントリースキーデザインだけではありません。なんと、ポケモンの蓋もあるんです。忘れずに捕獲しましょう。

新得駅前のポケ蓋

代行バスで狩勝峠越え

この日の宿は旭川駅前のビジネスホテルです。13時57分発の代行バスに乗ります。

代行バスは1日4便(2022年9月現在)

大型の観光バスがやってきました。私のキャスター付きの荷物はトランクに入れてもらいました。平日だったこともあり、乗客は10人くらいでした。新得駅からバスに乗る場合、左側の席の方が眺めが良いと思います。

代行バス

タクシーより座席の位置が高いので、窓からの眺めもなかなか良いです。

バスの車窓からの眺め

狩勝峠を越えて、まずは落合駅に停車。代行バスなので、根室本線の駅にしか止まりません。フェンスの向こうは駅のホームがあると思いますが、なんだか草ぼうぼうです。

落合駅

次の駅は幾寅駅で、こちらは高倉健さんが主演の映画「鉄道員(ぽっぽや)」のロケ地になりました。

幾寅駅

レトロ感があります。

幾寅駅

次は代行バスの終点、東鹿越駅です。新得駅と東鹿越駅間は自然災害のため2016年から代行バスでしたが、いよいよ富良野-新得間は廃線となり、バス転換が決定しました。路線の踏切から線路を見ると、もう線路が見えないくらい草が伸びていました。代行バスになる前に乗ってみたかったです。

2022年9月末の根室本線

代行バスの終点、東鹿越駅に到着しました。ここからは鉄道で富良野まで行きます。

東鹿越駅からは鉄道で移動

私が乗った列車は富良野から先、根室本線を走って滝川まで行く列車でした。滝川まで行ってから旭川に向かうこともできますが、富良野駅で富良野線に乗り換える方が早く旭川駅に到着できるので、今回は富良野線に乗り換えました。乗り換え時間があったので駅前を歩いてみたら、富良野市のデザインマンホールがありました。

富良野市のデザインマンホール

富良野市はマンホールカードも発行していて、富良野市の市役所で配布しています。

www.city.furano.hokkaido.jp

市役所までは駅から歩いて15分ほど。乗り換え時間は1時間あったので十分行って帰ってこられる時間でしたし、駅前でレンタサイクル借りればもっと短時間でもらいに行けたのですが、なんだかこの日は疲れもあり、マンホールカードはあきらめました。

 

次に乗る富良野線の列車が遠くからやってきました。ちょうど根室本線の東鹿越行きの列車もやってきますね。

富良野線と根室線の列車が到着

根室線の列車はオシャレな外観の車両でした。この列車は先ほど私が代行バスを降りた東鹿越まで行きます。

東鹿越駅に向かう車両はなんかオシャレな外観

私は富良野線の列車に乗り、夕暮れの十勝岳連峰をながめつつ、旭川まで移動しました。

夕日が当たる十勝岳

狩勝峠と新得町の情報収集先

狩勝峠訪問にあたっては、新得駅前にタクシーはいるのか、駅前でランチできる所はあるのかなど、事前情報が必要でした。新得観光協会にメールで問い合わせるとすぐさまお返事が届き、しかもこんなにたくさんのパンフレットもいただき、大変助かりました。

観光協会から送っていただいたたくさんのパンフレット

新得町観光協会のサイトはこちらです。

https://www.shintoku-town.net/

今回の旅のリンク

今回の旅は3泊4日の行程で、こちらの記事はその2日目の内容です。他の日の様子はこちらです。

www.frostmoonweb.com

こちらは2022年4月に狩勝峠を訪問しそびれた時の様子

www.frostmoonweb.com

狩勝峠を越えた後は旭川に一泊し、翌日は日本で一番早くに紅葉が楽しめる大雪山を訪れ、北海道の最高峰、旭岳に登りました。大雪山は懐が深く、温泉もあり、是非また訪れたいと思いました。

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大雪山での宿泊は、旭岳ロープウェイから徒歩2分ほどのベアモンテホテルです。一人旅用のお部屋があり、とても快適に過ごせました。

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田辺朔郎氏の偉業を知るには

私が最初に田辺朔郎氏のことを知ったのは、びわ湖疏水を訪ねた時です。当時の日本の土木技術は外国から招請した技術者に頼っていましたが、琵琶湖疏水は初めて日本人技術者によって完成した土木工事です。この疏水を船に乗って見学・楽しむことができるびわ湖疏水船の旅はとてもおススメです。

www.frostmoonweb.com

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びわ湖疏水を知るには、田村喜子さんの著書がおススメです。

田村喜子さんは北海道での鉄道敷設にあたっての田辺朔郎氏の貢献についても執筆されていて、こちらの本に中に、当時は名もない峠だった峠に狩勝峠と命名する場面が描かれています。

北海道浪漫鉄道では、石北線についての記載があり、なるほど石北線にも田辺氏は関わっていたのかと知り、石北線完全乗車の旅にも出ました。著書の中に登場する天幕三次郎ゆかりの天幕駅はもう廃止となっていましたが、痕跡を見ることができました。

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まとめ

観光協会からいただいたパンフレットを見ると、新得町周辺には温泉も見どころもあり、四季折々に楽しめそうです。トムラウシ温泉は秘湯感があり行ってみたいですし、狩勝峠の旧線跡ももっとゆっくり歩いてみたいものです。是非再訪したくなりました。狩勝峠を越える道路の状況もわかったので、次回はレンタカーで回っても良いかも、と思いました。

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