2020年も残り僅かになりました。今年はコロナ禍で旅にも制限がありましたが、緊急事態宣言期間以外では、感染に気を付けながら旅を楽しむことができました。振り返ると30か所くらいの宿に滞在していて、この宿は快適だったな、お金を払う価値があるな、と感じた宿もあれば、うーん、ここは私向きではないな、という宿もありました。その中から温泉宿のベスト3をご紹介します(あくまでも私個人にとって良かったかどうかでの判断です)。番外編でリゾートホテルで良かった宿も末尾に加えました。
- 第1位 秋田県乳頭温泉「鶴の湯」(1人泊OK,足元湧出,源泉かけ流し)
- 第2位 福島県会津東山温泉「向瀧」(1人泊OK,朝夕部屋食,源泉かけ流し)
- 第3位は甲乙つけがたし。2軒ご紹介
- ベスト3に入れたい良かった宿
- 番外編 また泊まりたい沖縄のリゾートホテル
- まとめ
第1位 秋田県乳頭温泉「鶴の湯」(1人泊OK,足元湧出,源泉かけ流し)
温泉好きの方ならこの宿を知らない人はいないでしょう。海外からのお客様にも超人気の秘湯の宿で、コロナ流行前はホントに予約が取りづらかったのですが、今年は海外からのお客様がストップしているせいか、一回目の電話で本陣の予約が取れました。一人旅にも人気の本陣を開放してくださるとは、本当にありがたいことです。しかも雪見風呂が期待できる12月の日取り。噂に違わぬ素晴らしいお湯とおもてなしでした。バスを乗り継いで到着した鶴の湯は、タイムスリップしたかのような景色。先頭の写真がその光景です。昼の眺めも良いけれど、夜の灯に照らされた宿もステキなのです。
周囲の電線を地中に埋めてあることもあり、そのたたずまいはタイムスリップしたようです。秘湯感たっぷりの鶴の湯は、日本の秘湯を守る会の会員宿です。
部屋数は30室ほどとこじんまりしていますが、泉質の異なる源泉が複数あり、お風呂の数が多いので、混浴露天風呂以外はほぼ独泉で楽しみました。混浴もにごり湯だし、女性の出入り口は上手に岩で目隠しされているので、ハードルは低いです。
秘湯の宿らしい食事も鶴の湯の魅力の一つです。食事は山菜やキノコを中心に贅沢な食材が並ぶわけではないですが、どのお料理も味わい深く、体に良さそうな食事がとても美味しかったです。中でも名物の山の芋鍋は絶品でした。
温泉、お料理、おもてなしのどれもがレベルが高く、この宿に滞在できて良かった、と心から思えました。温泉は日帰りでも利用可能ですが、食事は泊まってこそ味わえるもの。しんしんと雪が降り積もる中、灯に照らされる宿の雰囲気もステキなので、宿泊で楽しむことをお勧めします。
宿泊記やアクセスなどはこちらのエントリをご覧ください。
第2位 福島県会津東山温泉「向瀧」(1人泊OK,朝夕部屋食,源泉かけ流し)
こちらの宿は日本の名旅館を紹介する雑誌などで時々見かける温泉旅館です。かつては会津藩藩士の指定保養所だった「きつね湯」を引き継いだ旅館の建物は有形文化財の指定を受けた木造建築です。
お湯、食事、おもてなし、どれをとっても素晴らしく、さすが名旅館という印象でした。予約不要の無料の貸切風呂が3つあるので、1人で存分に湯あみが楽しめます。湯口の周囲にびっしりと温泉の成分が析出していて、温泉の歴史を感じさせます。
食事は会津の地元の食材をつかったお料理を夕食・朝食ともにお部屋でいただきます。これは一人旅には嬉しいおもてなしです。
詳細はこちらのエントリをどうぞ。
第3位は甲乙つけがたし。2軒ご紹介
宿に順番つけるの結構難しいですねぇ。1位は断トツでしたが、2位以下は結構迷いまして、同率3位として2軒ご紹介します。
その2 青森県蔦温泉旅館 (足元湧出,源泉かけ流し)
青森県の紅葉の名所として有名な蔦沼の近く、ブナ林の中に立つ宿です。
建物も歴史を感じる木造建築が素敵ですが、なんといっても足元湧出の温泉がとても素晴らしい。これを源泉湧き流しとはなかなか良いネーミング。お湯につかっているとしたからポコッポコッと湧いてくるのがわかります。まったく空気に触れずに湯船を満たしてくれるのです。温泉は撮影不可なので、宿のサイトをご覧ください。
お部屋は洗面・トイレは共同の本館和室から、洗面・トイレ付きのお部屋や特別室まで好みに応じて選べます。人との接触を減らしたい中での旅なので、洗面・トイレ付を選びました。広縁付きで広々としたお部屋。コーヒーマシンまであって、ここが山間の温泉宿ということを忘れてしまいそうです。
夕食・朝食ともに食事処でいただきます。夕食は品数豊富でタイミングよく係の方が持ってきて下さり、たいへん美味しくいただきました。その係の方は蔦沼や八甲田界隈の情報をよくご存じで、旅のヒントを得るのも助かりました。
朝食は、宿のサイトではビュッフェになっていますが、感染防止のため定食での提供でした。ジュースやコーヒーなどの飲み物はセルフでしたが、ドリンクをとる時にはポリ手袋着用を求められました。
蔦沼は紅葉スポットとして有名です。当然紅葉の時期は平日であっても予約が取りづらいのですが、今年は運よく紅葉シーズンに予約ができてラッキーでした。蔦沼の紅葉は早朝が素晴らしいのですが、今年からは密を避けるため事前予約制となりました。私が泊まった時には予約期間終了後だったので、ややピークを過ぎていたのかもしれませんが、それでも湖面に映る美しい紅葉を楽しめました。
その2 大分県長湯温泉「丸長旅館」(1人泊OK, 炭酸泉, 個室食, 貸切風呂)
日本でも有数の炭酸泉が湧く九州大分県の長湯温泉にある宿です。客室数はわずか6部屋。大浴場はなく、3つの貸切風呂でお湯を楽しみます。食事も個室なので他のお客さんとは一度も会わずに過ごせました。ご主人と女将さんの目が行き届く規模の宿ということもあり、おもてなしもつかず離れずで心地よく過ごせました。湯河原の海石榴という名旅館などで修業をされたご主人のつくるお料理は見た目も味も素晴らしく、熱いものは本当に熱々で提供されるのも嬉しかったです。
宿のサイトには「小さくてもいい きらりと光る宝石のような宿」と書かれていましたが、本当にその通りの宿だと思いました。詳しくはこちらに宿泊記をまとめました。
ベスト3に入れたい良かった宿
ここまでにすでに4軒も紹介しておきながら、まだまだこの宿良かったわ~と思う宿はありまして、同率3位に入れたい宿でもあります。
大分県別府明礬温泉「岡本屋」(1人泊OK, 酸性のにごり湯)
いろんな温泉がある別府の中でにごり湯が楽しめる明礬温泉にある宿です。バスを降りるとぷ~んと硫黄の匂いがして、気分が高まります。酸性のお湯ですが肌にピリピリくるような感じはなく、むしろなめらかな感じがしました。食事も美味しくて、また行きたいと思える宿でした。
青森県酸ヶ湯温泉(1人泊OK, 酸性のにごり湯)
豪雪の中継でよくお目にかかる宿ですね。総ヒバづくりの湯殿が有名で、基本混浴ですが、女性専用時間が夜と朝それぞれ1時間ずつあります。また湯あみ着が販売されているので、混浴時間帯でも入浴は可能。女性専用時間帯はどっと女性陣が繰り出してきて、中にはワイワイきゃいきゃいと賑やかなグループもいたので、自分の食事の時間を遅めにして、皆さんが食事をしている時間(つまり18時くらいから)に湯あみ着を着て入るのが良いように思いました。18時から実際に入りましたが、男性は2人程度、全部で5人くらいしかおらず、ゆっくりつかれました。
秘湯の湯治宿のイメージがあり、もちろん湯治客用のお部屋もありますが、今回は最近リニューアルされたツインベッドのお部屋に1人で泊まりました。コーヒーマシンまであって、快適なお部屋でした。
温泉は硫黄の匂いがプンプンして、一度入ると3日くらい自分が硫黄くさく感じるほど。主張のあるお湯は記憶に残り、また行こうと思います。できれば2泊して真ん中の1日は八甲田界隈の散策などをしながら過ごしたいなと思いました。
番外編 また泊まりたい沖縄のリゾートホテル
私の旅は基本的には鉄道で温泉を訪ねるのが定番ですが、時には南の島にも出かけます。今年はちょっと訳あって何度も離島も含めて沖縄にでかけました。その中でも別格だった2つのホテルをご紹介します。コロナ対策の面からも安心して泊まれるホテルでした。
その1 ハレクラニ沖縄
温泉宿とは正反対の極みにあるリゾートホテル。沖縄にはメジャーブランドのリゾートホテルがここ数年、数多く建設されています。ハレクラニは長らくハワイの名門ホテルとして君臨していて、いつかは泊まってみたいものだと思っていたら、2019年に沖縄に進出してくれて、わざわざ国際線に乗らずともハレクラニブランドを楽しめるようになりました。
コロナ禍での旅だったので、なるべく人との接点が少なくなるよう、クラブフロアをチョイス。お値段は高いですが、まぁ安全代だと思うことにしています。全体で350部屋ほどありますが、クラブフロアは25室のみ。クラブフロア宿泊者は、チェックインや朝食、アフタヌーンティーの際にクラブラウンジを使用できるのがメリット。リゾートホテルにはこういうシステムを取り入れているホテルが多いですね。
朝食もアフタヌーンティーも宿泊費に含まれているので、食事なしプランで泊まっても朝ご飯はラウンジで食べられます。ほかにもレストランがあるので、ビュッフェで好きなものを食べたいとか和食が良い場合は、都度お金を払って朝食を取れば良いのですが、正直ビュッフェは避けたかったので、2泊ともラウンジの朝食をいただきました。
ハレクラニには宿泊棟が2棟あり、一つはオーキッドプールの近くに立つビーチフロントウィングと、東シナ海に面して立つサンセットウィングに分かれています。クラブルームはサンセットウィングにしかなく、名物のオーキッドプールやプライベートビーチからは遠いのですが、静かにリゾートライフを送りたいのなら、サンセットウィングのお部屋をお勧めします。オーキッドプールはなんせ賑やかで、この喧騒を前にしたお部屋は遠慮したいのが正直なところ。お部屋は入り口から遠いけれど、その分静かに過ごせました。
サンセットウィングというだけあって、部屋のテラスからは美しい日没を楽しめます。
オーキッドプールからは遠いですが、16歳未満は入れないオーシャンテラスプールがこちらの宿泊棟の前にあり、静かで良いです。静かに過ごしたい大人のリゾートを実現してくれているのがハレクラニの良い所だと思いました。
ホテルスタッフの人数が多いので、サービスが行き届きとても快適に過ごせました。プールに出向くと、スタッフがすぐにタオルと冷たいお水を持ってベッドの用意をしてくれます。その分お値段は高くて夏休みシーズンは1泊1人10万円くらいします。少しピークをずらして行く方が空いていてお財布にも優しいと思います。
その2 オリエンタルヒルズ沖縄
こちらはプライベートを大切にしたい人向けのホテルで、客室数は14室、すべてプライベートプール付きのコテージスタイルです。しかもそのプライベートプールが泳げるサイズなのが素晴らしい。
お部屋は、リビング、ベッドルームがセパレートされ、水回り部分もかなり広く、部屋全体で70m2くらいあります。
那覇空港から専用車での送迎付きなので、夕食の時以外はほぼ人に会わずに過ごせるホテルです。食事はお寿司、鉄板焼き、フランス料理からのチョイスで、私は鉄板焼きにしました。今年あちこちのホテルで鉄板焼きをチョイスしましたが、ここが一番美味しかったです。というのも最初からフィレ肉が用意されていたのです。他のホテルの鉄板焼きはフィレ肉追加料金がめちゃくちゃお高い料金だったり、そもそもフィレ肉の選択肢がないレストランもありました。
1泊2食で10万円くらいしますが、2食付きで専用車での送迎付き、プライベートプールは広いし、部屋の冷蔵庫の飲み物は無料なことを考えると、ハレクラニあたりと比較して高すぎる感じはしません。
車がないとホテルからどこにも行けないので、何日も滞在すると飽きちゃうかもしれませんが、自分へのご褒美的に沖縄の高級リゾートに1泊、というプランにはぴったりのホテルでした。ホテルでレンタカーを手配可能なので、送迎はホテルの専用車を利用し、ホテルからはレンタカーで観光やゴルフに出かけるのが良さそうです。
まとめ
私好みの温泉宿は、規模はあまり大きくないがゆえに宿のご主人や女将さんの注意が行き届いている感じが伝わってきて、お湯の鮮度が良く、お料理への満足度も高い宿です。お料理は必ずしも高級食材である必要はなく、その宿ならではのお料理を美味しくいただけると高評価になります。部屋数が少ない宿は、団体客がいなく、他のお客さんとの接点も少ないので落ち着いて過ごせます。こういう宿は総じてご主人・女将さん以外のスタッフの方も誇りを持ってお勤めされている印象で、おもてなしも杓子定規ではなく、こちらのニーズに合うサービスを提供してくれます。そうしたソフト面が充実していると、本当にお金払って泊まって良かったなと思います。50歳を過ぎたビジネスウーマンの一人旅は、静かにじっくりと宿の良さを味わいたいという方多いのではないでしょうか。今回あげた宿はいずれもその目的に合致した宿だと思います。今回あげた宿の中で、すでに1位の鶴の湯と2位の向瀧は2021年の旅としてすでに予約を入れました。再訪が楽しみです。
リンク
2020年の振り返り記事として、旅をより快適にしようと2020年に購入したグッズの振り返りもupしました。