山陰本線は京都駅から中国地方の日本海沿いを通り、山口県下関市の幡生駅に至る673.8kmもある長い長い鉄道路線。途中長門市駅から仙崎駅まで「仙崎線」と呼ばれる支線もあり、こちらは2.2km、一駅分だけの路線です。10連休のまっただ中でしたが、それほど混雑にも巻き込まれず、のんびりと途中の温泉や街歩きを楽しみながら乗り鉄旅をしてきました。まずは京都駅から鳥取県の松崎駅までです。途中列車トラブルで遅延発生、乗り継ぐ予定の列車に乗れないというトラブルがありましたが、予定外の浜坂駅での途中下車は足湯あり、鉄子の部屋ありで楽しめました。
京都駅にて
京都駅で切符誤投入のトラブル
山陰線の起点である京都駅についたら、早速トラブル。今回の旅は新富士駅を出発し、京都から山陰線を全部乗車したのち、山陽新幹線に乗って京都までは一筆書きの乗車券でした。ところが京都駅で途中下車するつもりで自動改札を通った時に、切符を取られてしまいました。駅員さんに申し出て無事切符は手元に戻ってきましたが、焦りました。GW中でお客さんがたくさんいて駅員さんも忙しかったと思いますが、とても丁寧に迅速に対応してくださり、本当に助かりました。これからは途中下車する時には駅員さんのいるところを通るように致します。そんなわけで切符には自動改札による出場印が入りましたが、「誤投入により有効」とメモ書きされた切符で旅がスタートしました。
京都駅で出会った特急
京都駅は関西の拠点駅なのでしょう、ホームもたくさんあるし、列車もひっきりなしに発着しています。私が乗る山陰本線は新幹線からは一番遠くのホームから出発です。ホームに行くと、なにやらかわいい列車が停まっていました。キティちゃんのデザインです。こちらは関空行の特急「はるか」ですね。
こちらは私が乗車した特急「はしだて」。ちょっとのっぺりしたお顔です。
特急「はしだて」は城崎温泉行ですが、途中の綾部までは特急「まいづる」を併結していきます。前の方が「はしだて」、後ろが「まいづる」です。連結部分はごっつんこしているようでした。
出発前にホーム上をウロウロしていたら、こんな素敵な壁を見つけました。山陰線に乗る時は、いつも新幹線からの乗り換え口に近い方で乗車していたので、こんな壁があることに初めて気づきました。この壁は京都駅開業100年を記念して1977年に旧駅舎に設置された陶板レリーフで、その後こちらに移設されたそうです。
京都駅は山陰線の起点なので、線路に車止標識があります。規模は小さいけど上野駅のような櫛形ホーム状で長距離列車の出発点みたいな旅情があります。
山陰本線完乗旅のスタート
はしだて3号
それでは10:25発の「はしだて3号」に乗って、山陰線完乗の旅がスタートです。私の指定席は1号車。1号車は前半分がグリーン車で扉で仕切られた後ろ側が普通の指定席です。
私の座席は1号車8番Aという座席。進行方向に向かって左の窓側席でした。前座席のテーブル以外に飲み物が置ける小テーブル付き。
最初は京都の街中を進む列車ですが、やがて保津峡に差し掛かると、車窓には保津峡の絶景が広がります。トンネルを抜けるとこの絶景。秋には紅葉が美しい人気の保津峡です。右端に線路が見えますが、これはトロッコ列車の線路かな?トロッコ列車も楽しそうです。
10:54に園部駅に停車。特急が停まるくらいですから大きな駅なのでしょう。窓の外にはビジネスホテルが。「ビジネスホテル リーズナブル」とは、あまりに直球勝負の名前ですね(笑)
その後列車は川沿いを走ったり、ちょっと高さのある橋梁を走ったりと、絶景とは言わないまでも新緑と青空の車窓を楽しめました。下の写真、気づくのが遅くて撮り逃してしまいましたが、かなり高さのある場所で、隣に古いレンガ造りの支柱跡があったんです。山陰線の旧線のようです。下山駅手前です。
こうのとり5号
「はしだて3号」はダイヤ通り、11:45に福知山駅に到着しました。実はちょっと心配ごとがありました。福知山駅で「こうのとり5号」に乗り換えるのですが、「こうのとり5号」の出発時間は11:46で、乗り換え時間が1分しかありません。大丈夫なのか?という心配です。
「こうのとり5号」は「はしだて3号」が到着したホームの反対側に停車していて、乗り換えはあっという間に完了。けれど1分しかないので列車の写真を撮っている時間はありませんでした。座席は進行方向左手の窓側です。
福知山を出発すると次の駅は和田山駅です。ここには古い機関庫がありますが残念ながら私の座席とは反対側(進行方向右手)なので見えませんでした。反対に突然線路が現れました。地図で見ると播但線の線路でしょう。あちらは架線がないので非電化路線ですね。ローカル線ぽく見えても特急が走る路線。また乗りに来たいと思います。
私の特急券は「こうのとり5号」の終点である城崎温泉駅まで有効なのですが、乗り継ぎ普通列車はなんとしても進行方向右側の窓際に座りたかったので、普通列車の始発駅である豊岡で「こうのとり5号」から下りました。ここで初めて「こうのとり5号」のお顔を拝みました。「はしだて」と似ているのっぺりしたお顔。
豊岡駅にて
豊岡駅には初めて降り立ちました。周囲を見回すと、古い車庫があり中にはディーゼル機関車が入っていました。
真っ赤なボディの車両はラッセル車でしょうか。
ホームは結構長いです。構内に線路が何本も敷かれ、車庫もあるので山陰本線の主要駅なのでしょう。
餘部橋梁との再会
豊岡駅から乗る普通列車は山陰本線ではおなじみのタラコ色の気動車です。城崎温泉までは電化されていますが、その先は非電化なのです。出発時間が近づくとホームには結構人が集まってきましたが、無事海側の窓際席を確保できました。
天井には扇風機、壁にそのスイッチがありますが、この日は冷房が稼働していて扇風機はつけませんでした。
この駅は竹野駅です。
古い駅舎が印象的です。この駅はおりたことがあります。餘部橋梁に行きたくて、竹野駅近くの休暇村に前泊しました。その時には竹野駅の桜並木が見事でした。
竹野駅をすぎていくつかトンネルを過ぎると進行方向右手に日本海が見えてきます。時々港があり、杉板の外壁のお家が集落を形成しています。日本海ブルーがとてもきれい。お天気が良くて良かった。
ここは「鎧駅」。向こう岸との間にたくさんの鯉のぼりが泳いでいました。
鎧駅を出てトンネルを2つくらい通ります。下の方が開いていて日本海が見える構造のトンネルを出ると、いきなり空中に飛び出したような景色。ここが餘部橋梁です。
餘部橋梁を渡るのは2回目です。前回来た時には餘部駅で列車を下りて周囲を歩いてみました。前回来た時には駅から下の道に降りるのに急な坂を下り、駅に戻る時にはその坂をふぅふぅ言いながら上ってきましたが、今はエレベーターで40秒だそうです。本当に見事な鉄橋で、日本人の技術の素晴らしさを感じました。
今回下車しませんでしたが、私と同じような人は大勢いるようで、餘部駅はたいへん賑わっていました。
私も車内から橋梁の上を走る線路をパチリ。
餘部で下車し、鉄橋を鑑賞した時の様子はこちらのエントリにまとめました。
列車遅延トラブルで乗り継ぎ間に合わず
また来たい、と思っていた餘部橋梁を通過できたのは良かったのですが、実は気がかりなことがありました。乗車している普通列車が定刻より10分以上遅れているのです。原因は整理券発行機の不調とのこと。この日は浜坂駅で8分の待ち合わせで14:20発の鳥取行に乗り、鳥取からは特急「まつかぜ」で倉吉まで行き、倉吉から一駅戻って松崎に16:31着と言う予定でした。餘部ですでに15分の遅れです。乗り継ぎできるか心配でしたが、本数が少ない山陰本線ですから、乗り継ぐ列車が待っていてくれるだろうと信じて浜坂駅に14:30頃着きました。
が・・・そこに列車はいません。
そうなんです、列車は私を待っていてはくれませんでした。同じ普通列車で浜坂駅に着いた人の中には「待っていてくれないんですか!!」と駅員に詰め寄る人も。駅員さんは「待てる範囲の遅れではなかったので。本当に申し訳ございません」と本当に申し訳なさそうにしていました。ま、こういうこともあるのね、という勉強になりました。
ただ私は鳥取から先は特急「まつかぜ」に乗るつもりで、特急券も指定席も買ってありました。その分は松崎駅で精算し返金してもらいました。この日は快速ジオライナーが走っていて、次の列車はそのジオライナー。約1時間後の出発で済みました。私の場合は大した痛手ではないのですが、もしも特急まつかぜで益田まで行こうとしていたら、大打撃だったかも・・・。
意外に楽しめる浜坂駅
鉄子の部屋
次の列車まで1時間ほどあるので、改札を出てみました。するとこんな入り口が。
こちらにはこのあたりの鉄道に関する資料が展示されていて、元国鉄マンのおじさんが丁寧に説明してくれます。なななんと、旧餘部橋梁の一部も展示されています。
昔の餘部橋梁の見事な写真もありました。この時代に通ってみたかったな~。
山陰本線をSLが走行していた時代には、転車台もあったのだそう。今は転車台はなくなってしまいましたが「給水塔は残っているよ」とおじさんが教えてくれました。
その給水塔はホームの脇につたに絡まれてすっくと立っていました。
「鉄子の部屋」の室内はそれほど広くはないですが、浜坂駅への愛着を感じるコーナーでした。説明してくれた元国鉄マンのおじさんはとても親切で、次の列車まで1時間ほどあると告げると、隣に足湯があることを教えてくれました。
足湯
足湯があるなんて、「鉄子の部屋」のおじさんに教えてもらわなかったら、気が付きませんでした。観光客がたくさん来るとは思えない駅ですが、立派な足湯で、とてもリラックスできました。
足湯の温泉成分表示を見ると、泉質はナトリウム・カルシウム・塩化物泉。源泉の温度は72.5℃とあります。また近くの石碑にも温泉が紹介されていて、湧出量は自然湧出で毎分300リットルとあります。なかなかいい温泉ですよー。実際とても温まりました。
浜坂駅は湯村温泉や浜坂温泉の玄関口のようです。でも駅前は閑散とした印象。連休の初日なのですが・・・。でもその分静かで良いです。
浜坂温泉は国民保養地にも指定されているんですね。
次の列車が来るまでの1時間、待合室で待っていたら鉄子の部屋も足湯も存在に気付けませんでしたが、駅舎の外に出てみるもんですねー。とっても得した気持ちになります。
本日の宿に向けて
浜坂駅で思いがけず有意義な時間を過ごしたあとは、定刻通りにやってきた快速ジオライナーに乗車します。
ジオライナーの終点は鳥取駅。初めて鳥取駅まで来ました。でも駅周辺を探索する時間は全くなく、米子行のタラコ色キハに乗車。これが本日最後の列車です。
無事定刻通り、松崎駅に到着できました。
駅名標の足元は草に覆われていますね。
松崎駅は倉吉駅より一つ京都よりの駅で今は無人駅です。昔は人がいたのでしょうけれど、窓口にはブラインドがおりていました。
駅舎は木造で、なかなか趣のある駅舎でした。
松崎駅は東郷湖湖畔の羽合温泉や東郷温泉の最寄駅です。なのでこんな歓迎ゲートがあるのですが、大型連休中にも関わらず駅前は閑散としていました。
まとめ
連休中だけど、あまり混雑していないところに鉄道旅に行きたいと計画していたのですが、見事的中。今夜の宿は東郷温泉にある国民宿舎「水明荘」に宿泊です。駅から徒歩5分。宿の紹介はこちらをご覧ください。