鉄道と自転車でプチ冒険に出よう

50代から始めた乗り鉄で温泉とご当地マンホールの捕獲を楽しんでいます。女一人旅の旅行記メインのブログです。

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千と千尋の世界、四万温泉「積善館」。有形文化財の建物を楽しむ

女子旅に人気の四万温泉群馬県の温泉地。こちらにある「積善館」は国の有形文化財に登録されている古い木造建築が魅力の温泉宿で、川にかかる赤い「慶雲橋」から木造3階建ての本館を眺めると千と千尋の神隠しに登場した油屋のモデルになったというのもうなづけます。「積善館」に宿泊したので、建物についてご紹介します。こちらのエントリは建物のことのみ書いていますので、宿泊した部屋や温泉、食事情報はこちらのエントリをどうぞ。 素晴らしい宿でしたよ。 

tetsutorin.hatenablog.com

積善館と歴史と昔の温泉

積善館の歴史はとても古く、元禄4年(西暦1691年)に当主の「関善兵衛」が現在の場所に湯場を作ったことから始まったとのこと。江戸幕府5代将軍の徳川綱吉の時代です。私は四万温泉には車で来ましたが、東京からの距離は結構あるし、上ってくる坂も結構急な坂でした。昔の人は徒歩で来たのでしょうけれど、来るだけでも大変な場所です。今、温泉に行く、というと湯治よりは観光メインがほとんどでしょうけれど、当時、それだけ大変な思いをして四万温泉に来るのは、病を治したいという湯治目的があったからでしょう。宿のご主人による館内ツアーの中で、お母さんを背負った息子さんと思われる人と人力車の写真が残っていました。この頃もまだ今のような道路が整備されていなかった時代。人力車だとしても、ものすごく大変な旅だったことでしょう。本当に苦労してここまで来ていたんだなと思います。

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苦労してここまで来ていた時代の写真

3つの建物

積善館は斜面に建っており、一番古い本館が川に近い低い場所にあります。元禄4年の時代に建物を建てようとすれば、川周辺の平らな場所に建てるしかなかったわけです。その後、増築していくにつれ斜面に沿って上って行ったというわけですね。積善館の当主による、歴史ある建物をめぐるツアーも実施されていて、私も参加してみました。

本館

元禄4年(1691年)に建設された本館は2階建てでした。明治30年頃に3階が増築されたとのこと。昔の写真があり、建物ツアーの中でも紹介されていました。積善館のHPにも掲載されていたのでそちらのリンクをはります。

https://www.sekizenkan.co.jp/datas/blog/images/1_020180411141636_a1o8Q.jpg

「元禄の湯」がある建物も、昔の建物は今と違うように見えます。「元禄の湯」は昭和5年に作られていますから、上の古い写真の時代にはまだなかったのでしょう。

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最初は2階建て、その後3階が増築された本館

本館の立派な玄関は昭和になってから作られたそうです。

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玄関は昭和になってからできた

上の写真の2階部分は白い壁になっていますが、以前は壁はなく外廊下になっていて、人が行き来していました。もう一つ上の古い写真を見ると、外廊下に人が立っています。その1階部分はこんな感じ。

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本館2階の外廊下だった部分の1階部分

本館には今でも湯治棟として使用されていて宿泊できます。湯治棟なのでお布団の上げ下ろしはセルフ、食事はお弁当を広間でいただくスタイルですが、追加料理も注文も受け付けてくれていて、お弁当も写真で見るととても美味しそうなお弁当でした。次回は本館に泊まってみたいです。

山荘

山荘は昭和11年頃の完成です。当時の大工の腕と技巧が生かされた桃山様式の建物で、有形文化財の指定を受けています。本館の後ろに建っていて全体を撮影することはできなかったので、山荘の外観写真はないのですが、下の写真、ピンクの花木の後ろにあるのが山荘です。

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ピンクの花木の後ろが山荘

佳松亭

積善館の中で最も高台に位置する佳松亭は昭和61年に完成した、鉄筋コンクリートつくりの建物です。玄関の工事を前日までしていて、私たちが到着した時には真新しい玄関になっていました。

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佳松亭の玄関

館内

浪漫のトンネル

傾斜に建つ3つの建物を結ぶための通路にも趣を感じます。本館と山荘を結ぶのは「浪漫のトンネル」です。薄暗くて神秘的。下の写真は本館側から山荘方向を撮影しています。一番奥は山荘のエレベーター。現代の設備の扉があるので、なんだかタイムトンネルのようですね。

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浪漫のトンネル

本館の山荘を結ぶ通路はもう一本あって、こちらもトンネルでした。

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本館と山荘を結ぶもう一つのトンネル

 廊下

本館と山荘の中を歩くと、歴史を感じさせる場所がそこかしこに。たとえば本館の廊下。ちょっと低めの木の天井や引き戸の窓枠に年代を感じます。

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本館の廊下

こちらも本館の廊下。本館が建設された元禄時代にはこのような中廊下はなかったようです。中廊下ができるようになったのは、照明やガラスの技術が進んでからではないかと、宿の当主によるツアーでうかがいました。なるほど。

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本館の廊下

本館のいろいろ

本館の客室。こちらは現在は使用していない客室ですが、ガラス戸に年代を感じます。

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年代を感じるガラス戸

こちらは本館のフロント、昔で言うと帳場ですね。日帰り入浴用の券売機がちょっと浮いているかも。

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帳場

フロント前の壁には昔の宿泊料金を示す紙が額に入って飾られていました。

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昔の宿泊料金

階段もこの通り。手すりや踏込み板、階段の上の引き戸に歴史を感じます。

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木の艶に歴史を感じる階段

元禄の間

本館の1階にある「元禄の間」は、かつては上級武士など身分の高い方が使用されたお部屋だったようで、一段高くなった座敷がありました。この日は五月飾りが設置されていました。

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元禄の間への入り口

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五月飾りが置かれていました

ご当主による歴史ツアー

積善館のご当主が、宿泊者を対象にした歴史ツアーを夕方に開催しています。積善館の歴史だけでなく、そもそも温泉に人がくる理由は何だったのか、といった温泉の意義も含めて説明してくださり、勉強になりました。参加者は20人以上いたと思います。

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ご当主による歴史ツアーはなかなかの人気

まとめ

階段をのぼりおりするときの、ギシッギシッという音や、引き戸を開け閉めする時の、ガラガラガラという音に歴史を感じます。大工さんや職人さんが技巧を凝らしたという山荘のお部屋は、障子や欄間のしつらえがとても趣がありました。こうした古い木造建築を維持していくのはとても大変だと思いますが、今でも十分お客さんを受け入れ可能な状態になっていて素晴らしい建物を堪能しました。