私が生息する静岡県からそう遠くない岐阜県。岐阜県を縦断するJR高山本線にはまだ一度も乗車したことがなかったのですが、川沿いに進む路線は景色が期待できます。今回、下呂温泉と湯田中温泉を組み合わせて全線乗車するプランを立てて乗ってきました。高山本線は昨年の豪雨で一部区間が不通状態だったのですが、11月にようやく復旧したこともあり、全線乗ってみようと思った次第。なお高山本線は2019年1月時点で交通系ICカードの使用はできませんでした。
- 特急「ワイドビューひだ」で下呂へ
- 座席周りの装備
- 白煙と共に名古屋を出発
- 岐阜駅から高山本線へ入る
- 車窓の景色
- 下呂駅
- 下呂から富山へ
- 猪谷からはJR西日本区間
- 富山駅で
- 長野駅へ
- 長野駅から湯田中温泉へ
特急「ワイドビューひだ」で下呂へ
名古屋駅から特急「ワイドビューひだ7号」で出発です。10:48発のこの列車、出発の15分くらい前にホームに行ったら、すでに入線していました。
今回はせっかく展望席があるひだ号なので、奮発して展望車の最前席をゲットしました。その席はグリーン車なので、ちょっと高くついてしまいますが・・・。お金払った価値があるといいな~。ちなみにひだ7号のグリーン車は10号車です。かなり長い編成ですね。
高山本線は全線非電化なので、周囲の列車がみんなパンタグラフがついている電車なのに、ひだは気動車なのも楽しみです。
早速中に入ってみましょう。グリーン車の座席は2列+1列のレイアウト。2列側の窓側からA,B。1列の席がCなので私の座席は1Cという座席。
座席は通路から一段上がって、景色がよく見えるように高くしてあります。
前方の席に歩いていくと、ここでがっかり。私の席に荷物が追われていたのです。1A/Bや2A/Bに座っていた人の荷物でした。ちょっと信じられますか?まだ始発駅を出発していないのに、誰も来ないと思って荷物を置くってどういう神経しているんでしょう?ちょっとぷりぷりしながら着席しました。
座席周りの装備
座席はかなりゆったりしていて、もちろんリクライニングするのですが、リクライニングさせなくても十分くつろげました。
むしろ私のような体格では、リクライニングさせると、テーブルからの距離が遠くなってしまう感じがしました。
前のテーブルに距離感を感じる場合は、ひじ掛けの中にもテーブルがあるのでこちらを使うこともできます。
フットレストもありますが、私にはちょっと遠いかも。無理して使ってみました(笑)
日よけは上から下りてくるスクリーンではなく、カーテン方式。レースと厚手の二重なのはすごい。でもこれだと景色が見えなくなっちゃうんですよね。上から下りてくるスクリーンだと窓の上の方の日差しだけをカットして、窓の下の部分から景色が見えるので、車窓の景色を楽しみたい私にはスクリーンの方がありがたいのです。
読書灯もついています。
なかなか座席の装備は充実していますが、電源はありませんでした。
白煙と共に名古屋を出発
いよいよ出発です。出発時を動画で撮っていたら、反対方向にかっこいい貨物の機関車が遠ざかっていくのが見えました。それにしてもひだ号の排気ガス、すごいです。
真っ白です。
岐阜までは10号車のグリーン車が最後尾。座席は後ろ向きになりますが、「岐阜で進行方向が変わります。20分くらいなので座席はそのままで」という録音されたアナウンスが流れます。
あ、ディーゼル機関車がいっぱいとまっています。前面というか後面展望なかなか楽しい。グリーン車代を奮発して良かった、とここまでまだ15分も乗っていませんが思いました。
木曽川を渡ります。こういう鉄橋ビューが見られるのもはじっこの席だからこそです。
岐阜駅から高山本線へ入る
名古屋を出て20分くらいで岐阜駅に到着。ここで私の前の運転室には車掌さんに代わって運転士が乗り込み、グリーン車が先頭となります。出発するといきなり前方を別の列車が走っています。げっ、ぶつかっちゃうじゃんと思いました。
と思ったら、高山本線は電車に挟まれた線路を下って行きました。
架線がない単線になり、なんとなくひなびた感じがしてきました。旅情をかきたてます。
前面展望が楽しめてうれしい。天気にも恵まれました。
運転席も楽しめます。
車窓の景色
車内にアナウンスが流れ、進行方向右手に犬山城が見えるとのこと。犬山城は現存12天守の一つなので、実は今回の旅で寄ってみようかなとも思ったのですが、鉄路の都合で今回はパスしました。遠くからでも眺めることができるのは嬉しいです。
やがて木曽川が右側に沿うように見えてきます。このあたりが日本ラインという景勝地のようで、車内アナウンスがありました。
前方に雪山が見えてきました。テンションがあがります。
岐阜を出て最初の停車駅である美濃太田駅に到着。JR太田線、長良川鉄道の起点・終着駅でもあるので、線路がたくさんうねうねしていますね。
ここで上りの特急ひだと列車交換。
美濃太田を出ると、ひだ7号は下呂まで停まりません。次の見どころは「飛水峡」。下麻生、上麻生の駅を通過したら飛水峡です。車内のアナウンスがあります。
が、手前の道路と植え込みであまりよく見えないです。車で行った方が絶景かも。
ダムの近くも通過。
飛騨川を鉄橋で渡ります。これも前面展望の恩恵。鉄橋だ、鉄橋だ、嬉しいな~と心の中で思います。
山間に入ってきた感じがします。
川(ダム湖)ぎりぎりに敷かれた線路。素晴らしい眺め。紅葉の時期も良さそうです。
日陰に雪が残っていますね。山奥に入ってきた感があります。
ビルが見えたりして少し開けた場所に出てきました。どうやら下呂が近いようです。
下呂駅の手前で列車交換。これも特急ひだのようです。特急ひだは本数が多くて助かりますね。
下呂駅
下呂駅に到着しました。
下呂駅の上り線ホームには温泉がわき出る噴泉塔が設置されています。
下りの特急ひだで下呂駅に到着すると、この噴泉塔に寄らずに改札を出てしまいます。かすかに硫黄の香りがして、ぬるぬるっとした触感が楽しめる温泉が出ているので、是非、跨線橋を渡って楽しんでください。
今回は下呂温泉の宿に一泊し、下呂から富山までは翌日乗車しました。宿泊したのは、下呂温泉の老舗旅館、有形文化財の指定を受けた湯之島館です。宿泊記はこちらです。
下呂から富山へ
下呂に到着した時には晴天で、温泉街に雪はなかったのですが、夜に雪が降り、大雪警報が日本海側に発令される始末。富山までは雪見路線になりそうで嬉しいですが、無事通り抜けられるのかちょっと心配になってきました。同じように日本海側に出る大糸線は運行中止とのこと。
でも高山本線は平常通りの運行とのこと。信じて出発しましょう。
下呂駅は列車が来る直前に改札が始まるので、自由にホームに入ることができません。駅舎の中は乗客でごったがえしていましたが、かなりの数が海外からのお客さまでした。ホームに出てみると、下呂駅周辺は特に雪の影響はなさそうです。
さて、富山に向かう特急ひだ3号が入線してきました。ホームにはたくさんの人が待っています。たぶん高山に向かうのでしょう。特急ひだは、下呂を出ると高山までノンストップで走ります。
この日もせっかくなので前面展望が楽しめるグリーン車1C席を予約しました。
下呂駅を出発し、飛騨川を渡って進みます。
こちらは前日に温泉街を歩いている時に撮影したものですが、こんな具合に鉄橋を渡るわけですね。
15分も走ると、いきなり雪の量が増えてきてびっくり。ちなみにこの駅は、上呂(じょうろ)駅。下呂駅は温泉街で栄えていて特急も停まるのに、上呂駅は通過です。
降る雪の量も増えてきて、先行き不安になってきます。
運転士さんがどこかと電話で話しています。途中で運行打ち切りされたらどうしようと不安になってしまいます。
下呂を出て40分ほどで高山駅に到着。ここでひだ号は後ろが切り離されてしまいます。ここから先はあまり人が乗らないのかもしれません。グリーン車の中も私を含めて4人くらいしか乗っていませんでした。
高山駅の付近は雪もそれほど多くなく、晴れ間も見えていましたが、またしても雲行きが怪しくなってきました。目の前の茶色のビニール袋には、高山駅で交代した運転士さんのランチが入っている模様。
速度計は80キロくらいでしょうか。岐阜駅を出たばかりの頃は110キロくらいだったので、ちょっとゆっくり走っている感じです。山間部ですから仕方ないですね。
飛騨国府駅で列車交換。ますます雪は強くなってきました。
飛騨古川駅では、跨線橋からこちらにカメラを向けている方が何人か。雪景色を走る特急ひだの撮影ですね。
すっかり雪国。でも順調に特急は進んでいきます。景色を見逃したくないけれど、トイレにも行きたかったので、ここでトイレ。トイレは男女兼用の普通のタイプ。前は男性が使ったのでしょう、便座があがったままでした。特急クラスは男女別のトイレを設けてほしいです。
雪の山間部を進みます。
右手の川の景色は水墨画のようです。下呂に着くまで、右側を流れていた飛騨川は、列車の進行方向と逆向きに流れていましたが、このあたりの川は宮川か神通川だと思いますが、分水嶺を越えているので、列車と同じ方向に流れています。
モノトーンの世界。こういう景色が見られるなんて、昨日は思ってもみませんでした。とても満足できる鉄道旅です。
猪谷からはJR西日本区間
次の停車駅は猪谷。ずいぶんさびれた駅の風情ですが、ここから先はJR西日本の区間なので、乗務員の交代があります。雪の中で待っている乗務員さんが寒そうです。
普通列車もカラーリングがJR東海とは異なります。
猪谷駅を出ると、少し青空が見えるようになりました。
ダムがあったりしますが、だいぶ平地に降りてきた感じがします。
神通川を渡ります。
最後の停車駅、越中八尾駅に停車。
終点富山駅まではあと15分くらいなのですが、一瞬雪が強まりました。富山に着いたあとは、長野に向かうのでこの先も順調に進めるといいなと願いつつ。
大丈夫のようです。北陸新幹線の高架が見えてきました。
富山駅が見えてきました。この辺りは線路に水を撒いています。雪国らしい設備ですね。私の地元では絶対見られない設備です。
富山駅に到着。ひだ3号、雪の中をたくましく走ってくれてありがとう。絶景でしたよ~。また乗りに来るからね。思っていたよりたくさんのお客さんがおりてきました。ここから金沢とかに行くのかな?
富山駅で
乗り換えに少し時間があったので、改札を出て富山駅前を少し散策。富山と言えば、そうでした、スタイリッシュな路面電車が走っているんですよね。さっそく見かけました。
この先も遅れはほとんどないようで、まずは安心。けれど構内放送で、金沢から関西に向かう特急サンダーバードは、湖西線が雪で一部不通のようで、琵琶湖の東側を迂回するルートを取るので、京都や大阪への到着が予定より30分程度遅れる、と言っていました。運休にしないでちゃんと走らせるところが素晴らしい!
長野駅へ
本日の目的地は、長野県の湯田中温泉です。まずは北陸新幹線で長野駅へ向かいます。北陸新幹線は東京-糸魚川の間しか乗ったことがないので、今日は初めての区間に乗車できてワクワク。
途中晴れていれば立山連峰が見えたのかもしれませんが、この日は大雪で視界不良です。
長野駅から湯田中温泉へ
長野から湯田中温泉へは、長野電鉄という私鉄に乗ります。乗り場がJRからちょっと離れているので、小走りに走りました。ICカードが使えないので、券売機で切符を買う時間も必要です。長野駅から湯田中温泉の最寄駅である湯田中駅まで1,160円でした。
気になる天候ですが、この辺りは雪。1mmというのがどの程度の雪なのかさっぱりわかりませんが、ネット情報では長野電鉄は雪ではめったに停まらない鉄道なんだそうです。
長野電鉄の長野駅ホームは地下。なるほど、地下を走る部分は確かに大丈夫ですね。
長野電鉄は3つ目の善光寺下駅までは地下を走ります。その後地上に出て、大雪の中を走ります。湯田中駅は、長野電鉄の終点で、普通列車に乗った場合、途中須坂か信州中野駅で列車を乗り継ぐ必要があります。意外に時間がかかり、1時間ちょいかかります。特急だと乗り換え不要で45分くらいでついてしまう列車もあるようです。行きに乗ったのはロングシートの普通車だったので、あまり写真は撮れませんでしたが、少し紹介。
なかなか趣がある駅舎の中野松川駅。
次の信濃竹原駅も木造駅舎でした。
1時間に1~2本のペースで走っているようなので、駅めぐりをするのも楽しいかも。途中には小布施などの観光地もあるんですよ。
こんな車両も走っています。明日は特急に乗る予定なのであの車両かも。
そうこうしているうちに終点の湯田中駅に到着です。今日2つめの終点マークですね。
普通列車、お疲れ様でした。
改札を出て、今夜の宿に向かうことにします。
駅舎はこんな感じです
でも昔はこちらが駅舎だったらしい。
湯田中では加命の湯という宿に泊まりました。宿の情報はこちらです。
湯田中駅の近くには、湯田中温泉以外に、ちょっと奥までいくと渋温泉という温泉街があります。どちらも大変良い温泉でおススメです。私もまた行きたいと思います。