2024年3月に出かけたエジプト10日間の旅の3日目はアブシンベルです。
早朝の飛行機でアスワンへ
アブシンベル神殿を観光する場合、カイロを6時過ぎに出発する便でアスワンに向かうという行程をどのツアーでも採用しているようです。この便に乗るために、朝3時45分にホテルを出発します。こんな時間でもきちんとバスが用意されていて、大きな荷物はポーターさんが運んでくれ、ツアーは本当に助かります。
エジプト航空82便、アスワン行きに登場します。国内線ではターミナルに入る時に1回、搭乗ゲートで2回目のセキュリティチェックがあります。
時間通りに出発できるかどうかは神のみぞ知るといったエジプト航空ですが、この日は定刻通りに飛行機が動き始めて感動しました。神様の思し召しです、インシャーラ。
上空からナイル川が見えました。砂漠の中を流れるナイル川沿いにのみ、緑の地帯があるのがわかります。ナイルが母なるナイルと呼ばれるのもわかります。
機内では簡単なパンとペットボトルのお水のサービスがありました。飛行時間は1時間半くらいで、無事アスワン空港に到着しました。タラップで下りて、バスでターミナルビルまで移動です。私が乗った飛行機はB738でしたが、フライトレーダーの記録を見ると、エアバスのA321という機体のこともあるようです。
バスでアブシンベルへ向かう
アスワン空港からアブシンベルへはバスで向かいます。280kmくらいあり、3時間弱かかります。途中、アスワンハイダムに立ち寄りました。今回のツアーはお客さんは8人だけですが、それでもこんなに立派なバスで、長距離移動も楽々で助かりました。
アスワンハイダム
アスワンハイダムはナセル大統領がソ連の協力の元1970年に完成させた巨大なダムです。ダムの幅は3600mあります。ダムによってせき止められたナイル川はダム湖を形成し、大統領の名前をとってナセル湖と呼ばれていて、琵琶湖の7.5倍だそうです。全長は500kmに及び、アスワンからナセル湖をクルーズ船でアブシンベルに向かうツアーもあるようでした。
こちらは下流方向、つまりダムの北側です。このあたり、野良犬がたくさんいました。狂犬病が怖いので、犬には近づかないようにしていました。
東岸側には電力設備もありました。
ダムを見学した後は、次のトイレ休憩まで1時間半くらいかかるので、トイレが心配な人は、ダムのトイレに行っておきましょう。有料でした。
こちらはダム完成を記念する記念塔。エジプトには欠かせない蓮の花をイメージしたモニュメントになっています。
砂漠の中をひたすら走り続ける
アスワンハイダムの見学の後は、ひたすら砂漠の中の一本道をアブシンベルに向かって走ります。Google mapで見ると269kmとあります。
片側1車線ですが高速道路扱いのようで、バスもトラックも皆さん時速100km以上でかっとばしていきます。この道は隣のスーダンまで続いていて、対向車線にはスーダンから子供のラクダをのせたトラックがたくさん走ってきます。食用なのだそうです。この道路を走るトラックの荷台はすべてラクダなんだそうです。
アスワンから1時間半くらい走った所にドライブインがあり、ここでトイレ休憩です。トイレの前にスタッフがいて、チップを払ってペーパーをもらいます。2人で1ドルが目安。
自然のピラミッドや街並みや畑が出現
ドライブインの後もひたすら砂漠の中を突っ走って行くのですが、景色に少し変化があります。黒い小さな山がいくつも見えます。岩山が風化によりできているそうで、自然のピラミッドといった感じ。美しい円錐形の物もありました。
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また突然こんな街も出現。人が住んでいるのだろうか。食料品を買いに行くにも大変そう・・・
灌漑用水がある場所には麦畑も広がっていました。所々かかしが立っている畑もありました。
アブシンベルのペンションのレストランでランチ
アブシンベルの街に入り、ペンションのレストランでランチをとりました。
いかにも現地食という雰囲気で、味が心配でしたが思いのほか美味しかったです。パンのようなものに具を挟み、胡麻のペーストをつけて食べるのがなんとも美味しいのです。エジプトではナスの料理がよくでました。モロヘイヤのスープも美味しかった。
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こちらのレストランで初めてレモンジュースを頼んだのですが、すごーく美味しかったです。滞在中、何度も注文しました。こういうジュースはだいたいどこでも4ドルくらいでした。
アブシンベル神殿
さて、いよいよアブシンベル神殿の観光です。現地のホテルに泊まったので、チェックイン前に湖上から1回、チェックインした日の夜に音と光のショーで1回、翌朝夜明けのアブシンベル神殿を1回と計3回観光の機会がありました。
日中は遊覧船に乗ってナセル湖上から
当初のスケジュールにナセル湖遊覧はなかったのですが、予定していたネフェルタリ王妃の墓の見学が修復作業のため中止となってしまい、代替としてセティ1世のお墓の見学が入りましたが、予算に余裕があるのか? 急遽ナセル湖遊覧がランチ直前に決まりました。しかもランチ場所に遊覧船を呼んでくれるというありがたさ。現地ガイドのサムさん、本当に素晴らしく、エジプト滞在がたいへん有意義に効率的になりました。
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アブシンベル神殿の後ろ側が見えてきました。右側の大きな山が大神殿、左側はラムセス2世が王妃ネフェルタリのために建造した神殿です。手前にナセル湖のクルーズ船が停泊しているのが見えます。アスワンからバスで日帰り可能なアブシンベルまでを、3~4日かけてナセル湖周辺の遺跡を巡りながらやってくるのは欧州の人に人気なのだとか。
神殿がある半島をまわって、私たちの目にも神殿の様子が見えるようになりました。
人が豆粒より小さく見えるので、神殿の大きさがわかります。巨大な大神殿と小神殿を一枚の写真に収めるのは地上からだと難しいと思います。ナセル湖の遊覧船が組み込まれて本当に良かったです。
こちらはラムセス2世の4体の像がある大神殿。
このあと遊覧船で宿泊するホテルまで送ってもらいました。
宿泊したのはこちらのホテルです。プールもあって快適なホテルでした。
夜は音と光のショー
ホテルで夕食を食べた後、バスに乗って音と光のショーに出かけました。通路に所々ライトがありますが、歩道に凹凸がある場所もあるので、1人1人懐中電灯がある方が安心です。神殿前の観客席に着席します。
音と光のショーは、その日に最も多い観客の国の言葉で流れます。この日はフランス語でした。その他の国の観客にはイヤホンガイドが配られて、自国の言葉で楽しむことができる仕組みでした。
ラムセス2世とネフェルタリ王妃の物語などが、プロジェクションマッピングを活用して繰り広げられ、なかなか楽しめました
ショーの後はライトアップされた神殿の撮影タイムです。
砂漠の夜は冷えると聞いていましたが、この日は気温は12℃くらい。風がなかったので、思っていたより寒さは感じませんでした。それでもウルトラライトダウンを着て行きました。
エジプトの遺跡では、あちこちで夜に音と光のショーを開催しています。ガイドさん曰く、アブシンベルのショーが一番ステキとのことでした。おそらく日中の観光とは別料金なので、夜もマネタイズして、地元の宿にもお金が落ちる仕組みにしているのかもしれません。日本も昼の拝観料とは別に、夜のライトアップなどでもう一度来ていただく工夫をしても良いのかもしれません。
朝日が差し込むアブシンベル神殿
翌朝は朝食前にアブシンベル神殿を訪れました。朝も気温は12℃くらい。日が昇ってくると気温も上がってくるので、朝はダウンではなく、シャツの上に薄手のウィンドブレーカーを着て行きました。
ゲートを入り、大神殿に向かって歩きます。昨夜は暗かったので周囲の景色はわからなかったけれど、こんな坂道です。電動カートが行ったり来たりしていますが、エジプトでこの手のサービスが無料なことはありません。
途中歩道からショートカットして神殿方向へ。まさに日が昇ってくるところでした。
早朝からたくさんの観光客が訪れていますが、これでも少ない方なんだとか。ラムセス2世の像が4つ並んでいて、左が若いころ、一番右が年を取った頃のラムセス2世です。
左から2つめの像は完成後の地震で落下して、足下に転がっています。遺跡が発見された時にもこの形で発見されました。
像の足元には王妃や子供たちの像もあります。
神殿への入り口両脇には上下エジプトの統一を祝う儀式の様子を表現した彫刻が残っています。描かれている女神はライル氾濫の神様です。楕円形の中にはカルトゥーシュでラムセス2世の名前が刻まれています。
表のラムセス2世は4体とも生きている時の像ですが、神殿内部に入ると、通路両脇には腕を胸の前でクロスした死者のポーズのラムセス2世が並び、天井にはハゲワシが描かれています。
神殿の奥から入り口を振り返ると、ちょうど朝日が射しこんでくる時間でした。この瞬間は神殿にいないと見えません。夜明けに遊覧船に乗って湖上から観光しているお客さんもいましたが、私は夜明けは神殿で見るのが良いと思いました。
この朝日は神殿の入り口から47m離れた至聖所まで届きます。至聖所には4体の像があり、一番左のプタハ神には1年を通して光が当たりません。これは冥界神だからと言われています。2番目からはアメン・ラー神、ラムセス2世、ハヤブサの頭を持つ太陽神ラー・ホルアクティです。
冥界のプタハ神には日が当たらず、年2回、日の出の光が像に当たる日がありラムセスデーと言われています。私が行ったのはラムセスデーから1か月くらいたっていましたが、十分感動しました。
こんな立派な神殿が今から3000年以上も前に作られたことに圧倒されました。
つづいて小神殿。こちらはラムセス2世が最も寵愛したネフェルタリ王妃のための神殿です。小神殿と言ってもかなり大きいものです。
こちらは神殿内部。こちらにも女神の像や壁画が残っています。3000年以上の時間が流れていることを感じると、とても厳かな感じがしました。
当初はナセル湖に沈む遺跡だった
アブシンベル神殿はアスワンハイダムの完成とともに、ダム湖に沈むはずでしたが、ユネスコが全世界にキャンペーンを行い、募金と移設方法を募集し、約60mほど高い場所に移設されたのです。移設方法はスウェーデンが提案した方法が採用され、大神殿は807個のブロックに切断されて移設されました。世界中が協力してこの遺跡を保存してくれたことにも感謝です。Youtubeに移設工事の模様が紹介されている動画がありました。ホント、移設してくれてありがとう。
まとめ
映像でしか見たとこがなかったアブシンベル神殿を目の当たりして、3000年前の人たちと同じ光景を見ているかと思うと、言葉も出ませんでした。アブシンベル神殿から始まった古代エジプトの遺跡巡り、本当に楽しみになりました。
今回は昼間に遊覧船に乗ってナセル湖からのアブシンベル神殿を眺めることができました。朝日の時間に遊覧船に乗って観光している人たちもいましたが、朝は朝日が至聖所にとどく様子を見る方が感動すると思うので、私たちがたどったように、遊覧船に乗るのなら日中に乗ってしまい、明け方は陸上から神殿を見学するのが良いと思いました。
持参した方が良いもの
音と光のショーに行く時には、懐中電灯がある方が足元が安心です。朝はコバエのような虫がたくさん顔の周りにぶんぶん飛んでくるのでマスクや、ストールなど鼻と口を覆えるものがあると良いです。かなりうるさい虫でした。
夜や明け方は3月でも10度くらいのことがあります。風が吹くと寒いので、適度な寒さ対策をしましょう。私達は風がなかったこともあり、ウルトラライトダウンを着ていると、凍えるようなことはありませんでした。
関連リンク
カイロ到着初日の様子
ドバイ経由で日本からカイロに到着し、到着後に観光した内容です。
ナイル川クルーズ船の乗船記
10日間のツアーのうち3泊4日はクルーズ船に寝泊まりしながらナイル川中流の遺跡を観光します。そのクルーズ船の乗船記です。お部屋の様子やレストランの食事、クルーズ中の必見ポイントであるエスナの水門通過などを紹介しています。